ウクライナ戦争が終わるとすれば「ロシア国内での政変」 興味深いウクライナ国防省・情報総局長の発言
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年10月21日 17時40分
モスクワで、取材に応じるロシアのプーチン大統領(ロシア・モスクワ)
前統合幕僚長の河野克俊、慶應義塾大学教授で国際政治学者の細谷雄一が10月21日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。今後のウクライナ情勢について解説した。
ウクライナ戦争はいつ終わるのか
ロシアによるウクライナへの侵略が行われてから、10月24日で8ヵ月となる。ウクライナ国防省のキリロ・ブダノフ情報総局長は、「戦争は2023年夏までにすべて終わるだろう」との見通しをウクライナメディアへのインタビューで示した。ブダノフ氏はロシアが占領している南部ヘルソン州を念頭に、「2022年末までに我々は大きな進展を遂げる。すぐにわかるだろう」と強調。その上で、「(クリミア半島を含む)1991年の国境線まで到達することが何よりも重要だ」と語った。また、戦争が終結した際には「一部の地域がロシアから分離するだろう」と指摘し、それはコーカサス地方から始まるとの考えを示した。
ウクライナの中立化、非軍事化を獲得しなければ採算が合わないプーチン大統領
飯田)ロシアによるウクライナ侵略も、間もなく8ヵ月が経過するところです。最近ではウクライナの反転攻勢が伝えられていますが、河野さんはどうご覧になりますか?
河野)この戦争の特異なところは、プーチン大統領の歴史観から始まっているところです。プーチン大統領にとって、ウクライナが独立国であること自体がおかしいという認識です。ウクライナが独立国になったのは、ソ連崩壊のときの手違いだと言っているのです。
飯田)ソ連崩壊の際の手違い。
河野)だから頑なに「戦争」とは言わず、未だに「特別軍事作戦だ」と言っています。彼の頭のなかでは国内問題であり、ウクライナを外国として扱ってはいないのです。ここがなかなか理解しづらいところですね。彼の最終的な戦争目的は、ウクライナの中立化、非軍事化です。これだけの覚悟や犠牲を払ってでも遂行した戦争ですから、成果を獲得しないことには、プーチン大統領にとって採算が合わないわけです。
どちらかに大きな政変がない限り、長期化は避けられない
河野)そうなると、2州や4州を獲って「一応、形が整ったのでやめます」ということにはならないはずです。戦争の目的からしても、4州獲っただけでは釣り合いません。
飯田)4州を獲っただけでは。
河野)プーチン大統領の方から旗を下ろすことは、よっぽどのことがなければできないと思います。しかし、ウクライナにロシアを屈服させられるかと言うと、攻勢はかけられたとしても、なかなか難しいですよね。私が見通す限り、どちらかに大きな政変がない限り、長期化は避けられないのではないかと思います。
興味深いウクライナ国防省・キリロ・ブダノフ情報総局長の発言 ~ロシアに政変が起こる可能性も
飯田)細谷さんはいかがでしょうか?
細谷)夏前にチェコとポーランドを訪問した際、向こうの関係者の方々とこの手の議論をしましたが、「ロシアはとにかくしぶとい」という話でした。ナポレオン戦争や2度の世界大戦、特に第二次世界大戦のときもそうですが、初期段階では不利な状況でも、長い時間で押し返すのがロシアの伝統でもあります。とにかくしつこくて、しぶとい。負けをなかなか受け入れないような傾向があると思います。
飯田)不利な状況でも時間を掛けて押し返す。
細谷)一方で、ウクライナ国防省の情報総局長が言っていたというのは非常に興味深い。つまり、インテリジェンスです。言語や人種が似ているということは、それだけインテリジェンスが浸透しやすいのです。
飯田)言語や人種が似ているということで。
細谷)もちろんロシアも、カウンター・インテリジェンスという形で防諜は強いと思うのですが、おそらく、いまのロシアが思っている以上に脆弱になっていると思います。国内の批判や不満や反発、もっと言えば政府内の分裂などです。いままではそのようなものを徹底的に抑え込み、封じ込んできたと思うのですが、特に部分動員をしてから世論の批判はかなり活発化しています。政治のなかでも、プーチン大統領のいままでの取り組み方は間違いだったのではないか、という不満が広まっています。
飯田)政治のなかでも。
細谷)インテリジェンスの総局長が「2023年夏までにすべて終わるだろう」と言うのは、崩れていくことの大きな示唆だと思います。
飯田)河野さんが先ほどご指摘になった「どちらかの政変」は、ロシアの方が近いかも知れないですね。
河野)ロシア国内では、いま相当な反対意見などが出てきていますよね。
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