人工妊娠中絶の権利よりインフレ対策を求めたアメリカ国民 アメリカ中間選挙の国民心理
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年11月9日 18時35分
キヤノングローバル戦略研究所主任研究員で、スティムソン・センター東アジア共同部長の辰巳由紀が11月9日(水)、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』に電話出演。日本時間11月8日夜8時から始まったアメリカ中間選挙について、両党の選挙戦や有権者が投票する決め手について分析した。
中間選挙は、大統領選挙の2年後に、連邦議会の上下両院の議員や一部の州の知事などを選ぶもので、今年は、連邦議会上院の100議席のうち35議席と、下院の435議席すべてが改選される。開票から半日ほどたった放送時点で、下院は共和党が優勢、上院は多数派の確保をめぐって激しい競り合いとなっている。
飯田浩司アナウンサーが「出口調査などによると、有権者は『インフレ』と『人工妊娠中絶の権利』に関心が高いとされますが?」と尋ねると、辰巳は「その2つだと言われているが、一番は正直なところ『インフレ』」、「普通の家庭にとっては、今回のインフレは非常に厳しい。子供を抱える家庭にとって、バターや卵、牛乳などいくらあっても足りないものが、1年前の倍近くになり、これを何とかしてほしいというのが切なる願い」と、国民の現状から見た争点について「インフレ」だと断言した。
これに対して、バイデン政権の取り組みはどうだったのか。辰巳は「民主党側の選挙戦は“浮世離れ”している。人工妊娠中絶の権利といった大きな政策は、日々の生活にゆとりがあってこその問題で、今はそういった問題は普通の人々にとっては机上の空論。“石油価格や中古車価格を何とかしてほしい”といった有権者の懸念に、具体策を示せず今日に至ってしまった」と解説。コメンテーターで数量政策学者の高橋洋一も「環境派のいる民主党は、掘ればいくらでもシェールガスが出るとは言いづらいのだろう」と、民主党が理想論に走った理由を分析した。
一方でトランプサイドの動きについて、辰巳は「トランプ氏は自分自身の事が好きな人なので、来週大発表をするとコメントし、大統領出馬宣言をするのではと見られている。ただし今回はトランプ色を前面に出すのではなく、“台所事情、教育問題など庶民のためになんとかするのが政府だ”といった、普通の人々が共感できるメッセージを共和党候補者が共有し、発信していた」と共和党の選挙戦を分析している。
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