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米次期大統領候補「トランプ氏にもバイデン氏にも出て欲しくない」共和党・民主党の「それぞれの事情」

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年11月11日 17時30分

米次期大統領候補「トランプ氏にもバイデン氏にも出て欲しくない」共和党・民主党の「それぞれの事情」

(COMBO) This combination of pictures created on September 29, 2020 shows Democratic Presidential candidate and former US Vice President Joe Biden (L) and US President Donald Trump speaking during the first presidential debate at the Case Western Reserve University and Cleveland Clinic in Cleveland, Ohio on September 29, 2020. (Photos by Jim WATSON and SAUL LOEB / AFP)

東京大学先端科学技術研究センター特任講師の井形彬が11月11日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。米中間選挙から見る民主党と共和党の現状について解説した。

第1回テレビ討論会 米大統領候補者討論会=2020年9月29日 写真提供:時事通信

陰りが見える「トランプ人気」

飯田)米中間選挙の開票が行われていますが、予想を覆して民主党が善戦していると言われており、「共和党内でトランプ氏の責任論も浮上」という報道も出ています。トランプさんは「11月15日に大きな発表を行う」という発言もしていますが、トランプさんが前面に出てきたことによる選挙への影響はあったのですか?

井形)あったと思います。実際に「トランプ前大統領の影響で、共和党が苦戦してしまった」というような分析になっています。

飯田)それがあっての責任論ということですか?

「絶対に勝つだろう」と言われていたトランプ氏支持の議員が敗北

井形)まさにそうですね。「トランプ人気に陰りが見えてきているのではないか」と考える共和党議員の数が非常に多いです。

飯田)共和党、むしろ身内の方がそう見ている。

井形)1月6日の議会襲撃事件や、機密文書を持ち帰ってしまうなど、スキャンダルが続いていたわけです。

飯田)そうですね。

井形)今回、トランプさんが支持した議員で勝った人たちもいるのですが、「絶対に勝つだろう」と思われていた人が負けてしまったパターンもあります。有名なのは、ペンシルベニアのドクター・オズ(メフメト・オズ)さんという、タレントのような人です。

飯田)テレビ司会者もやっていて人気があるという。

井形)認知度は抜群のはずなのに、その人ですら負けた。しかもペンシルベニアはどちらかと言うと、共和党寄りの州だったのです。それなのに負けてしまった。「これはトランプさんのせいなのではないか」ということで、責任論が出ているのです。

トランプさんの「11月15日の発表」がなくなる可能性も

飯田)トランプさんの「11月15日の大きな発表」については、「2024年の大統領選に向けて出馬宣言するのではないか」と言われていますけれど、発表できる環境なのですか?

井形)残りのジョージア州がどうなるかによって、上院が民主党になるのか共和党になるのかが決まります。その選挙が12月頭にある。となると、それまでにトランプさんが「次の大統領選に出るぞ」などと言ってしまうと、「またトランプさんは勘弁だ」という人が民主党に入れてしまうかも知れない。それを懸念して、共和党議員から「トランプさん、ちょっと黙ってくれ」というような圧力がかなり出ているようです。

飯田)そうなのですね。いまのところ、まだ「11月15日の発表を延期する」という情報は出ていませんけれど、もしかすると何も言えなくなってしまうかも知れない。

井形)そうですね。ただ、トランプさんですので「共和党のことなんか知るか」と、「出馬する」ということを言ってしまう可能性もあります。しかし、共和党内からの圧力はかなり強いようです。

米南部フロリダ州のデサンティス知事(アメリカ・フロリダ州ハイアリア)=2022年11月8日 AFP=時事 写真提供:時事通信

共和党の次期大統領候補として注目されるフロリダ州のロン・デサンティス知事

飯田)トランプさんではない人が次の共和党の大統領候補になるとすると、目ぼしい人はいるのですか?

井形)何人かいます。最もホットなのが、今回、フロリダ州知事選で相手に20%近く差を付けて勝ったロン・デサンティスさんです。この方は新しく出てきた方で、いままでの大統領選挙を追っていた人も、「そんな人がいましたか?」と思われるかも知れません。

飯田)ロン・デサンティスさん。

井形)「頭もいいトランプ」などと言われることもあります。

飯田)頭のいいトランプさん。

井形)ハーバード大学やイェール大学で勉強してきたインテリなのですけれども、「トランプさんのようなやり方をすれば、いまのアメリカ人に受けるのだ」ということを理解して、トランプさんのような言動を取るのです。しかし、「頭がいい」ということで人気が上がってきている方です。

飯田)つまり、計算しながら炎上商法を行うのですか?

井形)まさにそうなのです。

共和党はトランプさんの暴走を止めようとし、民主党は意欲を見せるバイデンさんの次期大統領選への出馬を止めようとしている

飯田)エリートで勉強もできて、トランプさんのようなこともできると言うと、イギリスのジョンソンさんに似ているような感じがしますね。

井形)そうですね。「ジョンソン元首相のアメリカ版」という方が正しいかも知れません。

飯田)そういう人が出てくると、民主党にとっては厳しくなりますね。

井形)そうなのです。今回、下院でボロ負けして、上院も共和党に獲られてしまったとなると、バイデンさんの責任問題になります。もしかしたら、「次(の大統領選)は出ません」と言うのではないかという噂があったのですが、意外と善戦したこともあって、バイデンさんがやる気を出し始めているらしいのです。

飯田)「次も出る」とほのめかしているというような報道がありますね。

井形)それに対して、民主党は民主党のなかで「おじいちゃん、ちょっと待ってよ」と。共和党は共和党でトランプさんの暴走を止めようとしている。そして民主党は民主党で、バイデンさんを止めようとしているという。両党とも「おじいちゃん、ちょっと待ってよ」という状況になっていますね。

有力な次期大統領候補がいない民主党

飯田)民主党は、もしバイデンさんが次期大統領選に出ないとすると、有力な候補になりそうな人はいるのですか?

井形)「駒が少ない」というところが民主党の悩みです。ハリス副大統領は想像以上に人気がない。となると、「一体誰なのだ」というところが難しいですね。

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