ウクライナ侵攻を続けるロシアに接近するイランの思惑 「泣きつかれ、断れなかった」国際政治学者が解説
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年11月14日 20時10分
![ウクライナ侵攻を続けるロシアに接近するイランの思惑 「泣きつかれ、断れなかった」国際政治学者が解説](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/nipponhoso/nipponhoso_399188_0-small.jpg)
中東情勢に詳しい放送大学名誉教授で国際政治学者の高橋和夫氏が11月14日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演し、辛坊と対談。ウクライナ侵攻を続けるロシに武器の供与などで接近するイランの思惑について、「アメリカからいじめられて、仕方なく」と解説した。
![](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2022/11/jpp042410485TRRS.jpg)
2022年7月19日、イランのテヘランで開催されたシリアに関する 3 カ国首脳会議で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領 (左) がイランのエブラヒム・ライシ大統領 (右) と握手。EPA/SERGEI SAVOSTYANOV / KREMLIN POOL / SPUTNIK POOL / EPA=時事
イランのアブドラヒアン外相は11月5日、ロシアに無人機(ドローン)を提供したことを初めて認めた。こうした中、アメリカのCNNテレビはイランがロシアに対して核開発に関連した支援を求めているとの見方を報じている。一線を越えた行動を取るイランの思惑は一体どこにあるのか。
辛坊)イランとロシアは、もともと今のように近い関係にあったのでしょうか。
高橋)いえ、イラン人はロシアが嫌いです。なぜなら、19世紀にはペルシア帝国とロシア帝国は争っていて、現在のアゼルバイジャンとアルメニアがロシアに奪われてしまったことがあります。また、第2次大戦中には旧ソ連軍がイランの北半分を占領していたこともあります。さらに、イラン・イラク戦争では、イラクがイランにスカッドミサイルをどんどん撃ち込みました。そのスカッドミサイルは旧ソ連が輸出したものです。
こうした歴史を背景に、イラン人はロシアを好きではないし、信用もしていません。しかし、アメリカにこれほどいじめられていると、イランとしてはロシアくらいしか頼るところがなくなってしまっているんですね。
辛坊)イランは対アメリカとの比較からロシアに近づいているということですか。
高橋)そうです。「仕方なしに」という感じなのでしょう。
辛坊)ロシアがウクライナに対する攻撃に使っているドローンがイラン製ではないかと、日本でも話題になっています。
高橋)イランは当初、否定していましたが、証拠が次々に出てきて隠しようがなくなったため、認めました。ただ、ロシアに輸出したのはウクライナ侵攻の前で、ロシアが約束を破って勝手に使ったというような言い方をしていましたね。しかし、実際には最近、輸出したものです。
辛坊)イラン製ドローンの性能は、どの程度なのでしょうか。
高橋)トルコ製、イスラエル製、アメリカ製と比べると、トップの性能とはいえません。ただ、価格が最も安く、1基当たり約200万円です。ドローンの種類はいろいろありますが、ロシアが使っているイラン製は「カミカゼ・ドローン」といわれているもので、爆弾を抱えていって、そのまま目標を爆破するタイプです。目標の上空周辺をずっと回って、目標が定まると落ちていって爆破します。業界用語では「徘徊型」ともいわれています。
辛坊)イランがドローンをロシアに提供する目的は何でしょうか。
高橋)おそらくロシアに泣きつかれ、断れなかったということだと思います。それと、アメリカとの対立です。特に核問題の交渉で、ロシアはずっとイランの味方をしてくれたので、あまり冷たくもできないという事情があるのでしょう。加えて、ロシアから何らかの見返りをもらえると思っているのかもしれませんね。
辛坊)今後、イランはこの勢いでロシアに近づいていくのでしょうか。
高橋)イランとしては、ロシアがウクライナで始めたことは「戦争であり、違法行為だ」と主張しています。ただ、ロシアから嫌われたくはないので、「ロシアをやむにやまれないところに追い込んだのは北大西洋条約機構(NATO)の拡大であり、双方が悪い」というようなことも言っています。とはいえ、イランとしてはロシアのプーチン大統領と一緒に泥船に乗りたいとは思っていないはずです。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「え、ロシア戦闘機を別の国に輸出!?」海外展開を目指す “南の大国” 裏に潜む思惑とは
乗りものニュース / 2024年7月24日 9時42分
-
ゼレンスキー氏、長距離兵器の必要性訴え キーウ無人機攻撃受け
ロイター / 2024年7月22日 8時29分
-
「ロシアと中国の船舶の安全は守る」...イエメン・フーシ派との「危険な急接近」
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月8日 14時25分
-
イタリアでリビア向けの中国製ドローンを押収、UAEなどを通じて途上国中に拡散する実態
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月4日 18時24分
-
爆破され「瓦礫」と化したロシア国内のドローン基地...2枚の衛星画像が示す「シャヘド136」発射拠点の被害規模
ニューズウィーク日本版 / 2024年6月26日 21時15分
ランキング
-
1「家族の誰ひとり、事実がわからなかった」息子まで攻撃の対象に…“いじめ告白”記事炎上の日々、小山田圭吾の家族が体験した試練
文春オンライン / 2024年7月24日 6時10分
-
2北里大学病院で女性切りつけか 夫を逮捕 神奈川・相模原市
日テレNEWS NNN / 2024年7月24日 0時51分
-
3〈華麗なる一族、親子トップ2人が辞任〉報告書で暴かれた小林製薬のヤバすぎる製造管理体制…従業員が異変を報告も品質管理担当者は「青カビはある程度は混じる」記者会見は開かず逃げ切りか?
集英社オンライン / 2024年7月23日 20時6分
-
4堀井学・衆院議員、秘書に「代理で参列しても香典は堀井学個人名に」再三指示…支持拡大図る狙いか
読売新聞 / 2024年7月24日 7時48分
-
5河川敷で身元不明の遺体 損傷激しく性別も不明 作業中の草刈り機に巻き込まれ発見
KKT熊本県民テレビ / 2024年7月24日 9時28分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)