限界にきている「国連」の枠組み “独裁”中露との向き合い方に「誰も答えを持っていない」西側諸国
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年11月16日 17時35分
![限界にきている「国連」の枠組み “独裁”中露との向き合い方に「誰も答えを持っていない」西側諸国](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/nipponhoso/nipponhoso_399589_0-small.jpg)
ジャーナリストの佐々木俊尚が11月16日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。限界にきているG20や国連の枠組みについて解説した。
![](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2022/11/000118096RS.jpg)
2022年11月15日、食料及びエネルギー安全保障を議題としたセッション~出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202211/15g20.html)
G20や国連という枠組みが限界にきている
飯田)20ヵ国・地域(G20)などの今後のあり方ですが。
佐々木)G20という国際社会の枠組みそのものが限界にきているのではないでしょうか。国連は英語で言えば“United Nations”です。「国際連合」というと世界中がまとまっているイメージがありますが、本来的には連合国ですからね。
飯田)もともとは有志連合のようなものですよね。
佐々木)第二次世界大戦では連合国、枢軸国があり、連合国がUnited Nationsなので、スタートは戦勝国連合です。第二次世界大戦に勝った国々が「再びドイツや日本のように、我々に立ち向かう国が現れたら、我々は団結してそれに立ち向かう」というところからスタートしているわけです。
飯田)戦勝国が。
佐々木)まさか連合国の内部が分断して、ロシアや中国のような国が出てくることは誰も想定していなかったのです。
飯田)そうですよね。
佐々木)冷戦があり、米ソが対立していたのだけれど、当時と違うなと思うのは、ソ連ではスターリンが出てきて大変な恐怖政治を敷きました。さすがにソ連のなかでも「これほどの独裁者を出してはいけない」ということで、スターリン以降は一貫して集団指導体制だったのです。
緊張が管理され、平和が保たれていた冷戦時代
佐々木)集団指導体制なので暴走することはあまりなく、なおかつアメリカとの間にも一応ホットラインが引かれ、米ソ間の連絡は行われていたわけです。核の対立という非常に大きな危機だったのだけれど、一方では、逆説的に平和が保たれていたのです。
飯田)ある程度、緊張を管理するという。
佐々木)そういうことですよね。
独裁国家である中露と「どうやって向き合えばいいのか」がわからない西側諸国
佐々木)当時、中国はまだ貧しい国でした。経済大国になっていくなかでも、毛沢東時代の反省から、鄧小平氏は「絶対に独裁者をつくってはいけない」ということで集団指導体制をつくった。だから習近平氏が出てくるまでは、(中国共産党の最高指導部である)中央政治局常務委員(通称チャイナセブン)のような集団指導体制をつくってきました。
飯田)そうですね。
佐々木)そこまではよかったわけです。そんななかでロシアでは集団指導体制を無視するプーチン大統領が出てきて、中国でも同じように習近平国家主席が出てきた。国連の常任理事国である、いわゆる戦勝国連合の仲間のうち、2つの国が暴走する独裁国家になってしまったということが、21世紀の現実として立ち上がってきた……こういう流れです。
飯田)いまの中露が出てきて。
佐々木)冷戦時代とは、「独裁国家になってしまった」というところが違う。これに対して日本や他の西側諸国がどう向き合うのかがよくわかりません。誰も答えを持っていない。
アジア版NATOをつくることは現実的ではない
飯田)特に東アジア、インド太平洋地域の民主主義国はアメリカを中心として、アメリカと個別に同盟を組むという形でやってきた。そこがNATOのあるヨーロッパとは違うと言われます。
佐々木)日本、韓国、台湾、もしくは東南アジアの国で「NATO的なものをつくれ」という意見も確かにあるのだけれど、あまり現実的ではないと思います。とりあえずアメリカを中心に米韓、日米、あるいはアメリカと台湾の間の台湾関係法のようなもので対応してきたのです。
飯田)それぞれが個別に。
佐々木)「アメリカがいないと何もできない」という心配は常にあります。経済戦略でTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)をつくると言っても、トランプ前大統領の意向でアメリカが入らなかった。だから安倍元総理がアメリカ抜きのTPPをつくったのだけれど、それが軍事安全保障でも可能なのかと言うと、現実的には難しいところです。それでもインドを引き込んだりして……。
飯田)日米豪印4ヵ国(クアッド)という。
今後、日本は危険な状況にどう向き合うのか
佐々木)オーストラリアと一緒に動くなど、いろいろな手立てを第2次安倍政権のなかで行い、それなりに功を奏しています。しかし、やはりアメリカが中心という構図そのものを変えるわけにもいかないし、現状では変わり得ないですよね。
飯田)変わらないですよね。
佐々木)日本はどうやって危険な状況に向き合うのか。
飯田)そんななかで、昨日(11月15日)発表された国内総生産(GDP)は落ちています。経済が失速しているのは、これはこれで考えものですね。
佐々木)「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」問題などをやっている暇はないだろうと、いつも思うのですが。
飯田)それもあり、閣僚更迭もあったので、補正予算すらまともに上がるかどうかもわからなくなっています。
全国旅行支援の経済効果に期待
佐々木)ただ、GDPは7月~9月はマイナス1.2%ですが、10月以降の数字を見るべきです。10月から全国旅行支援が始まっています。私は出張でいろいろなところに移動しているのですが、驚くほど人が動いています。
飯田)そうですね。東京駅などはすごく混んでいます。
佐々木)新幹線もほとんど満席、飛行機も満席。先週も山梨に行こうと思ってレンタカーを借りようとしたら、もうほぼ埋まっていて、滑り込みで1台予約が取れたという状況でした。
飯田)レンタカーも埋まっていますよね。
佐々木)そうなのです。
飯田)その辺りが数字で出てきてくれるといいですね。
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