中国を脅威の存在としたのはアメリカより日本の方が先 「国家安全保障戦略」での記述の読み方
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年12月4日 11時30分
![中国を脅威の存在としたのはアメリカより日本の方が先 「国家安全保障戦略」での記述の読み方](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/nipponhoso/nipponhoso_402795_0-small.jpg)
14日、インドネシアのバリ島で、握手する中国の習近平国家主席(左)とバイデン米大統領(ロイター=共同)
外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が12月2日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。年末までに改定する「国家安全保障戦略」について解説した。
![](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2022/11/2022111411874_680.jpg)
インドネシアのバリ島で、握手する中国の習近平国家主席(左)とバイデン米大統領=2022年11月14日 (ロイター=共同) 写真提供:共同通信社
新たな「国家安全保障戦略」
政府は年末までに改定する「国家安全保障戦略」で、地域の安全保障上の課題として最初に中国を記述する方向で調整している。9年前に策定した戦略では北朝鮮が最初だったが、新たな戦略では最初に中国を、次に北朝鮮を記述し、そしてウクライナへの侵攻を続けるロシアについての記述を新たに加える方向で調整を進めている。
飯田)9年前と状況は一変していますか?
宮家)状況はまるで違います。9年前はとにかく、国家安全保障戦略をつくること自体に大きな意味があったわけです。それまでの日本の防衛・安保政策では、まず予算がありました。
飯田)最初に予算。
宮家)予算があったり、中期防があったり。
飯田)中期防衛力整備計画。
宮家)大綱もありますが、実は戦略がなかったのです。本来であれば戦略があって大綱をつくり、中期防をつくって各年度の予算となるはずですが、そうならない不思議な国だったのです。そして、その戦略がようやくできたのが9年前です。
飯田)9年前に。
宮家)いま最終的な文言を詰めているところでしょう。方向性としては正しいのだと思いますよ。
アメリカの国家安全保障戦略でも中国がロシアよりも先に記述
宮家)アメリカの優先順位もいまは完全に中国が最初なのです。
飯田)アメリカも。
宮家)一時は「ロシア、中国等」と言っていましたが、ロシアの力は落ちるけれども、中国の力は今後も伸びるという前提で、中国を最優先にしているところがある。ちなみに、「日本はアメリカの追随だ」と言う人もいます。
飯田)中国を最初に記述することは。
中国を脅威の存在としたのは日本の方が先
宮家)しかし、それは違うと思います。むしろ中国を最初に書きたいのは日本だったと思います。日本にとっていちばん大きな問題ですから。
飯田)中国の脅威が。
宮家)アメリカの国家安全保障戦略や国防戦略において、中国とロシアをどのように書くかは個人的にも関心がありました。中国とロシアを並列にする時期もありましたが、それは違うだろうと。明らかに中国の方が問題だろうという意識を私は感じていました。
飯田)アメリカにとっても。
宮家)ようやくアメリカが中国のことを本当に重視するようになった。重視するというのは、危険視するということですよ。そういう意味では、日米はむしろ逆で、日本が最初に中国を最優先に記述したかった。それは間違いではないのだけれども、今回はタイミング的に向こうの国家安全保障戦略が先にできてしまったということです。日本は「年末までに」改定するので時期的には逆転していますが、方向性としては同じだと思います。
飯田)9年前の記述にしても、中国を意識しつつ、だからこそ二正面はできないからロシアを……というのが当時の戦略ですよね。
宮家)特にウクライナ戦争が始まって状況が見えてくると、やはりみんな目覚めたわけです。そのなかでまともに議論され、ようやく国家安全保障戦略の文書という形で結実していくのかなと。そうだったらいいなと思います。
日本の平和主義は今後も変わらない
飯田)戦略が変わるということは、防衛力整備の計画というか、大綱の部分も変わっていくわけですか?
宮家)先日、セルビアに行ったときに実はその質問を受けました。「日本はもう平和主義をやめるのか?」と。それに対して、「日本の平和主義は変わりません。抑止力を強化し、やるべきことをやっての平和主義だから、政策自体は変わっていません」と説明したのを覚えています。
飯田)やるべきことをした上での平和主義。
宮家)外国の一部にそういう懸念があることは事実かも知れません。しかし、「いままでやらなすぎたことをやり始めているだけなので、懸念には及びません」という説明を続ければいいのだと思います。
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