「糖質」に気を付けるだけでは不十分! 医師が解説、病や老化を防ぐ食習慣
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年12月12日 12時19分
![「糖質」に気を付けるだけでは不十分! 医師が解説、病や老化を防ぐ食習慣](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/nipponhoso/nipponhoso_404686_0-small.jpg)
12月7日(水)、昭和大学医学部教授で医師の山岸昌一先生が、ジャーナリストの笹井恵里子がパーソナリティを務めるラジオ番組「ドクターズボイス〜根拠ある健康医療情報に迫る!〜」(ニッポン放送・毎週水曜21時~21時20分)にゲスト出演。30年以上前から、老化の原因物質「AGE」に着目し、600の英語論文を発表して生活習慣病の治療に取り組んできた山岸先生に、AGEがたまる理由、AGEを少なくできる食べもの、酒とAGEの関係、AGEを防ぐ生活習慣などを聞いた。
同窓会などで数十年ぶりに友人と再会した時、実年齢より若く見える人と、「ずいぶんと老けたな」という人がいないだろうか。老化の最大の要因は、かつては体内に取り込んだ酸素の一部が活性酸素に変わる「酸化」といわれてきたが、近年はそれに加えて「糖化」が注目を集めている。
「糖化」とは体内で過剰になった糖にタンパク質がくっつく現象で、その結果、タンパク質が劣化。この時、体内で老化を促進する悪玉物質も発生し、これが「AGE」と呼ばれ、体の中にたまっている人ほど糖尿病や心臓病などの病気にかかりやすくなること、そして老化が進行しやすいことが明らかにされている。
■AGEがたまる理由(1)「早食い」と「ドカ食い」
山岸先生:AGEのでき方には2種類あります。(1)体の中で作られるパターン。(2)食品など体外から取り込まれるパターンです。(1)の体の中で作られる場合は 、「過剰な糖がタンパク質と結びついてできる現象」なので、高血糖にならないようにすることが大切です。
笹井:例えば?
山岸先生:糖尿病患者さんは血糖値が高く、AGEがとてもたまりやすいので、きちんと治療することが大事です。糖尿病がない場合でも、「早食い」「ドカ食い」によって食後の血糖値が上がるので、AGEができやすい状態になります。
笹井:早食い、大食いが高血糖に繋がるのですね。
山岸先生:はい。食べ物の消化と吸収が早くなるので、一気に食後の血糖値が跳ね上がり、AGEができてしまいます 。
■AGEがたまる理由(2)「高温加熱調理」
笹井:AGEが食品など体外から取り込まれるパターンについてですが、調理過程で生まれるそうですね?
山岸先生:気を付けてほしいポイントは「高温加熱調理」です。おいしいものにはどれもAGEがたくさん含まれているんです。
笹井:例えば?
山岸先生:肉や魚の焦げ目というか焼き目、ホットケーキのきつね色、プリンの茶色の部分、こういった部分がすべてAGEなんです 。
笹井:でも、甘いものでも調理法に気をつければ、AGEを少なくすることが可能なのですよね。
例えば……
・「焼き餃子」と「水餃子」なら、「水餃子」の方がAGEが少ない。
・「レアチーズケーキ」と「ベイクドチーズケーキ」なら、「レアチーズケーキ」の方がAGEが少ない。
・「草団子」と「みたらし団子」なら、「草団子」の方がAGEが少ない。
簡単にいえば「加熱していないもの」「茶色くないもの」を選ぶといいということですね?
山岸先生:そうですね。私たちの周りには、焼いたり揚げたりするとおいしい食べ物がたくさんありますが、実はそういうところにAGEがあるという落とし穴があるんです。
笹井:はい。
山岸先生:調理する時は、高温加熱で調理しないのがポイントです。水を使うと温度が100度ぐらいまでしか上がらないので、油を使って揚げたり焼いたりするのに比べ、圧倒的にAGEができにくいです。蒸しもの、茹でものは調理している時、食材から脂や糖が抜け落ちるので、AGEを防げます。
■AGEを少なくできる食材
山岸先生:食物繊維が豊富な食べもの、あるいは機能性の高い食材の中に、糖とタンパク質の反応を抑えるような作用があることが分かってきました。
笹井:はい。
山岸先生:具体的には「ブロッコリースプラウト」や「舞茸」などのきのこ類、「玉ねぎ」などの中には食物繊維も含まれているし、食後の血糖値を抑えるだけでなく、体の糖化反応を抑える働きがあることも分かってきました。
■酒の「種類」や「糖質」に気を付けるだけでは不十分!
笹井:お酒とAGEの関係はいかがですか?
山岸先生:お酒について、AGEは糖からできるから、焼酎みたいな蒸留酒さえ飲んでおけば大丈夫なんじゃないか? と言う質問をよく受けますが、残念ながら違います。
笹井:違うのですね。
山岸先生:お酒の中の糖はAGEに与える影響は微々たるものなんです。お酒とAGEの関係で一番大事なことは、酒の種類より「量」です。
笹井:お酒の量?
山岸先生:はい。圧倒的に「量」です。酒を飲むと肝臓で代謝され、アセトアルデヒドという物質になり、酢酸になり、水になりますが、最初にできるこのアセトアルデヒドからAGE が作られます。なので、「たくさん飲むとアセトアルデヒドができ、AGEができやすい」ということです。
笹井:そもそも、二日酔いの原因が毒性のあるアセトアルデヒドが体内に溜まった状態、ということですよね。
山岸先生:そうですね。ですから、次の日に残るくらい酒も飲むのは要注意です。
笹井:連日二日酔いというのは避けた方がいいですね。
■毎日の「ちょこまか活動」で老化を防ぐ
笹井:他にAGEを防ぐ習慣はありますか?
山岸先生:「ちょこまか運動」「ちょこまか活動」が大事です。
笹井:はい。
山岸先生:例えば、ラジオを聞くときに背筋を伸ばして聞くとか、これが意外と効果があります。ですから、必ずしも激しい運動をしなくてもいいんです。エレベーターを使わずに階段を使う、歩く時には早歩きをする、立っている時は姿勢を良くするなど、こうしたちょこまか活動が、AGE対策になることが分かってきました。
笹井:そうなのですね。
山岸先生:これは、食後の血糖値を抑えられる、肥満防止になることから、AGEが抑えられるのではないかと分かってきています。
笹井:肥満を防ぐというと脂肪を減らすイメージがありますが、「運動はどこかの脂肪を減らすというより、糖を効率よく使える体になるということだ」、とこの番組の第4回でゲストで来てくれた、吉木伸子先生が教えてくれました。
山岸先生:そうですね。特に食後に血糖値が上がりやすいので、ご飯を食べた後にちょこまか運動をする、ちょこまか活動をすることが大事です。「座りっぱなしでいない」ということが大切なポイントです。
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