ウクライナ核攻撃でプーチン大統領を悪者に「画策する強硬派がいる」専門家が解説
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年12月26日 19時50分
ロシア政治が専門の筑波大学名誉教授、中村逸郎氏が12月26日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演し、辛坊と対談。長引くロシアによるウクライナ侵攻が今後、どのような展開を見せるかについて解説した。
ロシアのプーチン大統領が22日、10カ月にわたって続くウクライナ侵攻について、「我々はこの戦争を終わらせることを目標としている。早ければ早いほどいい」などと戦争の終結を望んでいることを明かした。来年1~2月に首都キーウ(キエフ)への総攻撃もささやかれる中、このタイミングでのプーチン大統領の発言にはどんな思惑があるのか。
辛坊)ロシアによるウクライナ侵攻の展開は今後、どうなるのでしょうか。
中村)プーチン大統領は壁にぶち当たっています。そのはけ口がどんどんウクライナへ向いています。そんな中、ロシア国内には「プーチン大統領にもっと悪いことをさせてやろう」とあおる強硬派の人たちがいるんですよ。つまり、今回の戦争の責任を全てプーチン大統領のせいにして、「自分が戦争を止めてやる」と画策する人たちです。
辛坊)具体的に名前が出ているのでしょうか。
中村)1人は、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創始者として知られ、「プーチン大統領の料理人」とも呼ばれているプリゴジン氏です。プリゴジン氏は、プーチン大統領に近い新興財閥オリガルヒの1人でもあります。プリゴジン氏は、できるだけウクライナに攻撃を仕掛けさせ、最終的にはキーウを狙って戦術核兵器を使わせるつもりだと思います。そうなれば、ロシア国内でもプーチン大統領に対する批判の声は大きくなるでしょうから、プーチン大統領を悪者にできるわけです。それで、この戦争は終わりです。
そのうえで、プーチン大統領を南米ベネズエラへ送る計画があるという噂もあります。なぜ、ベネズエラかというと、ロシアとベネズエラは非常に仲がいいとされているからです。また、ベネズエラはアメリカから経済制裁を受けているからです。そのような状況下のベネズエラであれば、プーチン大統領を喜んで受け入れてくれます。ただし、その後どうなるかというと、ベネズエラはプーチン大統領をアメリカへ差し出すでしょう。そして、ベネズエラは経済制裁を解いてもらうというシナリオがささやかれています。
辛坊)それでは誰も救われませんね。
中村)救われるのはプリゴジン氏だけです。実は、プリゴジン氏は次期政権を狙っているんですよ。
辛坊)それは、いつ頃から顕在化しますか。
中村)来年1月末頃からだと思います。しかし、既にロシア国内では公然の話です。プーチン大統領を悪者にしようと画策するオリガルヒは、もう1人います。プリゴジン氏と同じオリガルヒの1人で、「プーチン大統領の金庫番」と呼ばれるコヴァリチュク氏です。コヴァリチュク氏はプリゴジン氏のスポンサーになっているという話があります。ロシアでは2024年3月に大統領選が予定されていますが、プリゴジン氏は自分の保守政党をつくるとしています。この政党の資金を提供するのがコヴァリチュク氏です。
辛坊)そうした状況が顕在化する中、キーウに戦術核兵器が使用されることを何とか止められないものでしょうか。
中村)今、最も現実味があるのは、アメリカがウクライナへ供与する地対空ミサイル「パトリオット」による核ミサイルの迎撃です。ただ、自衛隊幹部に直接聞いたところ、核ミサイルを大気中で迎撃したことは人類史上なく、何が起きるかは読めないそうです。
辛坊)核物質の飛散も懸念されますよね。
中村)そうです。また、爆発するかもしれません。自衛隊幹部によると、ただ言えることは、キーウに落下するよりは被害が少ないのではないかという予測だけだそうです。
辛坊)だから、パトリオットなんですね。そう言われてみれば、いろいろなことの整合性が取れます。
中村)ロシアが年明けにもキーウを狙って核ミサイルを撃ちそうだということを前提に、ウクライナのゼレンスキー大統領が先日、慌ててアメリカを訪問し、パトリオットをキーウに配備してもらうことを依頼したのだと思います。パトリオットを運用するためには、ウクライナ兵の訓練も必要です。そうしたことを考慮すると、アメリカ訪問は実はぎりぎりのタイミングだったといえます。
辛坊)なるほど。プーチン大統領の置かれている状況がよく分かりました。パトリオット配備の背景もよく理解できました。
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