青学大・原晋監督が明かす、駅伝選手の成績と私生活の相関「彼女ができると……」
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年1月1日 17時50分
黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(12月27日放送)に青山学院大学陸上競技部監督の原晋が出演。箱根駅伝の区間のエントリーや楽しみ方について語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。12月26日(月)~12月30日(金)のゲストは青山学院大学陸上競技部監督の原晋。2日目は、箱根駅伝の区間のエントリーについて—
黒木)箱根駅伝の選手は往路と復路で10人いらっしゃるではないですか。よく、「前日までに決めるわけではない」という解説があるのですが、本当ですか?
原)大学によっても違いますけれども、一般的には、29日に区間エントリーが実施されます。
黒木)12月29日ですか。
原)12月29日です。区間の割り振りをするのです。そして補欠の選手が6名決まるわけなのですけれども、ルールとしては1回割り振られたら、補欠からその区間に変更することしかできないのです。例えば「1区の競技者と10区の競技者を変更することはできないのです。
黒木)補欠競技者と交替することしかできない。
原)仮に29日から箱根駅伝まで30、31、1、2日と4日間ありますけれど、もし4日間のなかで急に体調を崩したり、急に事故を起こしたときに、1から10まで正規の選手を仮に入れていた場合にで、エースの2区がそういう不慮の事故が起こったときに、11番目の選手をエース区間に持っていくことになれば、その区間の戦力が「グッ」と落ちるわけです。他校はエースで自チームは11番目の選手が走ることになるのです。
黒木)そうなりますね。
原)ですから、戦略的に「ダミーとしてエースを補欠に回しておく」という戦略は各大学がお決まりでやっているのです。皆さん、「当日、変更されるのは可哀想だな」というお気持ちになるのですけれど、これはチーム戦略としてやっているのが実態ですね。
黒木)どの選手にも個性や癖があり、得意、不得意があります。1区から10区までに「どの子を入れるのか」というのは、どんな作戦があるのですか?
原)同じように練習して、同じようなタイムを持っていても、駅伝当日に120%の力を発揮する子と、力の半分しか力を発揮できない子が、なぜかいるのです。19年目の監督業ですけれども、何年経っても、完璧に仕上げたつもりなのがダメだったり。あるいは、不安な状態で送り出したのがよくなった、というのがあるのです。これが人間ですかね。
黒木)そういうことがあるのですね。
原)21大学のなかで、私ども青山学院の原監督夫婦だけが寮に住み込んで、選手と一緒に生活しています。一緒に生活しているからこそ、「この子はメンタルが強い」とか「弱い」というようなことがだいたいわかります。
黒木)寮で一緒に生活をしているからわかるのですね。
原)逆に寮生活をしていない監督さんは、どういう心理状態なのかなと思います。
黒木)一緒に寮生活をしていない監督さんは。
原)もし、私が逆の立場だったら、すごく不安ですよね。やはり、グラウンドレベルだけではない、裏の生活と言いますか、「監督が見えないところでどう行動しているのか」ということが直結するのが陸上競技の長距離なのです。私は見えている方だとは思いますが。
黒木)原監督の名言集がたくさんあります。「レースで1分1秒を気にするのに、私生活で1秒を無駄にするのはおかしい」という名言があるのですけれども。
原)かっこいいことを言っていますね。
黒木)私生活のところでやはりおわかりになるわけですね。
原)私どもは男子部員18歳から22歳のやんちゃ盛りの若者を4年間、預からせていただいていますけれども、男は単純ですね(笑)。
黒木)どういう意味でしょう?
原)彼女ができると、まぁハイテンションになってきますね。なんだかニコニコするのですよ(笑)。
黒木)成績もよくなるのですか?
原)成績もよくなります。
黒木)本当ですか!
原)でもこれは魔法みたいなものなので、魔法が解けた途端に3倍下がりますね。
黒木)なるほど。
原)「頼むぞ、彼女! 振るタイミングだけは間違えてくれるなよ」と、心に念じます。
黒木)振るのは駅伝が終わってからにしてくれと。
原)はい。逆に、付き合うのは駅伝前に付き合ってくれと。
黒木)では、駅伝を観るときに、調子のいい選手は「恋してる」と思えばいいのでしょうか?
原)そんな単純なものではないですけれどね、少しはあると思います。「何かいいことあったな」と。
原晋(はら・すすむ)/ 青山学院大学陸上競技部監督
■1967年 広島県三原市出身。
■中学時代に陸上を始め、1984年、世羅高校3年時に主将として全国高校駅伝2位。
■中京大学に進学し、3年時に日本インカレ5000メートル3位。
■1989年、中国電力に入社。中国電力陸上競技部1期生として部の創設に参加。
■1993年、主将として全日本実業団駅伝に初出場。
■5年目の1995年、27歳のとき、故障が原因で競技生活を引退。その後10年間、中国電力でサラリーマン生活を送る。
■知人の紹介により、2004年、青山学院大学陸上競技部監督に就任。
■2009年、青山学院大学を33年ぶりに箱根駅伝出場に導く。
■2015年、青山学院大学初となる箱根駅伝総合優勝を達成。
■2017年には箱根駅伝3連覇に加え、大学3大駅伝である出雲駅伝、全日本大学駅伝、箱根駅伝の優勝により、大学駅伝3冠を達成した。
■2018年、史上6校目となる箱根駅伝4連覇を達成。
■2019年4月より青山学院大学の地球社会共生学部の教授を務める。
■2022年箱根駅伝2年ぶり6回目の総合優勝を達成。
■2022年は出雲駅伝4位、全日本大学駅伝3位。2023年の箱根駅伝では2年連続7度目の総合優勝を目指す。
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