危うい状況にある「習近平政権」の今後 ~経済も芳しくなく、ゼロコロナ政策も緩和
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年1月17日 11時35分
![危うい状況にある「習近平政権」の今後 ~経済も芳しくなく、ゼロコロナ政策も緩和](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/nipponhoso/nipponhoso_412646_0-small.jpg)
中国の習近平国家主席(ウズベキスタン・サマルカンド)
地政学・戦略学者の奥山真司が1月17日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。習近平氏が独裁する中国の経済状況について解説した。
![](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2022/10/jpp042982286RS.jpg)
中国の習近平国家主席(ウズベキスタン・サマルカンド)=2022年9月16日 AFP=時事 写真提供:時事通信
中国政府が日韓両国で停止したビザの発給を一部容認
中国政府が日本と韓国で停止したビザの発給を公務や一部のビジネスを対象に、限定的に認めていることがわかった。水際対策を強めた日韓両国への対抗措置としてビザの発給を止めたものの、人的往来への悪影響を可能な限り抑えるべきだと判断した。
飯田)「シレッ」と変えましたね。
指針が見えなくなった習近平氏の政策
奥山)変えてきましたね。「ゼロコロナ」政策の解禁を見て感じるのは、習近平さんの政策がブレているのではないかということです。
飯田)習近平氏の政策が。
奥山)ゼロコロナ政策をやめたのは、工場で働く工員の人たちがストライキを始め、それを止められなくなったことが大きいのではないかと思います。今回、ゼロコロナ政策をやめて、一応は経済を開放したことになりましたけれども、全般的に見て目立つのが、習近平さん自身が出している「指針がない」ということです。
飯田)指針がない。
批判もすべて習近平氏が受けなくてはならない ~危険な状況の習近平体制
奥山)ブレている1つが新型コロナによる死者数です。1月14日に突然、新型コロナによる死者数を発表しました。
飯田)1ヵ月で6万人ほどが亡くなったのではないかという。
奥山)その数も本当かどうかはわかりませんが、おそらく外国から批判が出たので、それに対して修正し、「では公表します」という形になったのでしょう。そういうところも含めて、全般的に右往左往している状況が目につくのです。
飯田)右往左往している。
奥山)私がいちばん気になっているのは、地方政府の人たちも含め、一応は習近平思想に則った指針があるということなのだけれども、具体的に指針がないではないですか。
飯田)実際は。
奥山)それは習近平さんにとって、危険な兆候ではないかと思います。中国は習近平さんの独裁体制を取っていますので、習近平さんに責任があることになります。批判もすべて習近平さんが受けなければならない。
悪い経済面の責任も負わなくてはならない習近平政権 ~長期的に見るとダメージは大きい
奥山)李克強さんは以前、常務委員のうちの1人でした。
飯田)首相でした。
奥山)首相でナンバー2の立場にあったのですが、5年くらい前までは彼が経済政策を担当していました。対外的にも李克強さんが担当する経済政策なので、「リコノミクス」という言葉がありました。
飯田)ありましたね。
奥山)しかし突然、習近平さんが「私がやる」ということになって、経済政策の責任も持ち、一気に習近平さんが独裁体制を敷くことになりました。習近平さんの経済政策ということで「シコノミクス」という名前になったという経緯があります。
飯田)中国語だと習近平(シー・チンピン)なので、その「シー」ですね。
奥山)一時期、イギリスの経済紙やアメリカの経済紙でも「シコノミクスだ」と言われていました。
飯田)シコノミクスに。
奥山)しかし、いまの中国経済は芳しくないではないですか。公表でも一応は3%だと言っているのですが、電力などのデータを調べると明らかにマイナスになっているのです。
飯田)マイナスに。
奥山)経済政策が芳しくない。いまの経済を担当しているのは、李克強さんではなく習近平さん、シコノミクスになっているわけです。全般的な独裁政権のマイナス面とも言えますけれど、独裁で全部に責任を持っていると、経済政策の悪い面も自分に負担が掛かってくるという意味では、短期的にはわかりませんが、長期的には習近平政権へのダメージが大きいのではないかと思います。
過去の例からも、落ち始めると焦りから冒険主義に出る可能性がある ~それがいまの中国
飯田)奥山さんが翻訳を担当された書籍『デンジャー・ゾーン 迫る中国との衝突』のなかでも、「焦り」がキーワードとして出てきます。
奥山)焦りがあるからこそ、過去の大国も同じように危険な冒険主義に出たのです。この本に出てくる「チャンスの窓」という概念なのですけれども、いよいよ「ドアが閉まりつつある」という状況です。駆け込み乗車してはいけないけれど、駆け込み乗車したい心理が中国に出てくる、生じてくるということが解説されているのですが、いままさにそのようなシナリオで動きつつあるのが不気味ですね。
飯田)この先、ここから落ちるかも知れない。いつやるのかと言えば、いまだろうとなってしまう。
奥山)過去の大国の例でも、そういう状況が焦りを生んできたのです。日本が大日本帝国だったときも、まさに同じような状況だった部分がありますし、落ち始めると焦るのが人間の心理です。
飯田)落ち始めると焦る。
奥山)特に、上がってきた大国が「あれ? いままでのように上がるのは無理だ」となったとき、冒険主義に出てくる可能性があります。それがいまの中国ではないかと分析されています。
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