2月にロシア軍の攻勢が予想される「地域」と「その理由」
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年1月17日 17時45分
![2月にロシア軍の攻勢が予想される「地域」と「その理由」](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/nipponhoso/nipponhoso_412652_0-small.jpg)
地政学・戦略学者の奥山真司が1月17日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。2月以降に予想されるロシアとウクライナの戦いについて解説した。
![](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2022/11/2022110304711RS.jpg)
ロシアで動員された兵士=2022年10月31日、モスクワ州(タス=共同) 写真提供:共同通信社
NATO事務総長がウクライナ支援について「大型兵器の供与」を増やす見通しを示す
北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は1月15日、ウクライナが自国防衛のために要請している大型兵器供与について「近い将来、さらに多くなると見込んでいる」と述べ、欧米諸国の支援が加速するとの見通しを示した。
飯田)「レオパルト2」という戦車をポーランドが供与すると言われています。いよいよだと。
道が凍り、戦車が通りやすくなる2月に15万人の新たな兵士とともにロシアが攻勢を仕掛けてくるのでは
奥山)戦争の状況を予測するのは難しいのですが、いまのところ、1つスケジュール的に見えてきているのは、2月の勝負が迫ってきているということです。
飯田)2月の勝負?
奥山)外に出ている情報として確実にわかっているのは、ロシア側が9月末~10月にかけて30万人の兵隊を新たに募集し、訓練を始めました。その30万人のうち、おそらく半数は既に戦場に出ているのだろうと見積もられています。
飯田)半数は既に戦場に出ている。
奥山)本格的に訓練を行い、兵士として仕上がるには、だいたい3ヵ月くらいかかると言われています。残りの15万人の兵士は10月から3ヵ月ですので、1月で訓練が終わり、おそらく2月くらいから出てくる。
飯田)2月ごろから。
奥山)2月になると道が凍ってしまうので、戦車のようなものは動かしやすくなります。そこで仕上がってくる兵士15万人を追加し、攻勢を掛けてくるのではないかと見積もられています。
飯田)まごまごしていると、春先くらいにはぬかるみ期になってしまう。
奥山)そうですね。泥濘期に入ることになるので、その前に攻勢を掛け、15万人を一気に進めるのではないかと言われています。それがどこに来るのかを、衛星などから見ているのです。
キーウから続くウクライナの補給線をベラルーシから攻撃して寸断するのではないか
奥山)気になるのが、ウクライナのすぐ北側にあるベラルーシです。去年(2022年)の2月24日、ロシアがウクライナの首都・キーウに電撃戦を仕掛けて侵攻してきたのは、ベラルーシからでした。
飯田)そうですね。
奥山)ベラルーシの国境からキーウまでは、90キロくらいしかないのですよ。
飯田)100キロもないのですよね。
奥山)そこに電撃戦を仕掛けて南下したのです。予測することは難しいのですが、今回は同じようなことはせずに、キーウの西側……地図上では左側なのですけれど。
飯田)地図上での左側。
奥山)西側の兵器は、ほとんどがリヴィウを通って1回キーウに集結されるのです。そしてキーウからクリミアやドンバス地方など、各地に流れます。そこに至るまでの補給路、「兵站線を寸断しに行くのではないか」という考えが、いろいろなところで見られます。
飯田)なるほど。
奥山)つまり、キーウを直接狙うのではなく、兵站線をカットすることによって、今度はキーウの首都としての機能を干上がらせる。それが現時点で考えられる1つのシナリオではないでしょうか。
飯田)ウクライナの継戦能力を考えると、西側のポーランドから西にあるリヴィウを通って、キーウに至るのが補給線となる。
奥山)そこをカットしてくる懸念があると思います。
ベトナム戦争でアメリカ軍が北爆したように補給路を遮断する
飯田)ロシア側の立場で考えれば、戦略的な妥当性はあるわけですね。実際に東側で陣地を獲得しようとするよりも、補給を切る方が楽になる。
奥山)ベトナム戦争では、アメリカが北爆という形で爆撃し、補給路を遮断したことがあります。フィジカルで現場に行かないと切れるものではないのですけれども。
飯田)フィジカルというのは、陸上で行うということですか?
奥山)そうです。
飯田)空爆のような形だと、またすぐにつくり直されてしまうからですね。
奥山)そこが鍵になってくると思います。
ウクライナは手元にあるドローンなどを有機的に使って戦うことができている ~創意工夫ができている
奥山)もう1つは「創意工夫が勝因になる」ということです。西側が現場で創意工夫できるかどうか。ウクライナはIT関係の人材が豊富で、ドローンの映像を使って相手がどこにいるのか調べるスポッティングを行ったのです。
飯田)スポッティング。
奥山)「そこにロシアの戦車がいる」とわかったら、「ではハイマースを使って、ピンポイントで精密誘導爆撃しよう」というようなことができます。
台湾有事が起こったとき、日本はウクライナのように「創意工夫できるか」ということを問われている
奥山)そういうことを有機的にできている部分がウクライナにはあります。もし台湾有事になった場合、もちろん官僚主義的に軍隊を動かすことは大事ですけれど、それ以上に「創意工夫できるのか」ということが、我々に問われているのではないでしょうか。米軍はそこを(ウクライナから)学ぼうとしているようです。
飯田)民間ドローンで空撮していたような業者が、飛び入りのような形でウクライナ軍に入り、「あそこにいる」という情報共有などを行っているらしいですね。
奥山)ゲリラ戦のようなものですね。いま手元にあるものを使って、それをネットにつなげて……ということをやる。
マクガイバー主義
奥山)私が翻訳に携わった『デンジャー・ゾーン 迫る中国との衝突』のなかでも、1つの可能性として「マクガイバー主義」という言葉が使われています。
飯田)マクガイバー主義?
奥山)80年代~90年代にかけて放映されていた『冒険野郎マクガイバー』というテレビシリーズがありました。
飯田)『冒険野郎マクガイバー』。
奥山)フェニックス財団のトップエージェントが、銃を使わずにスイスの「アーミーナイフ」を使って現場で工夫し、世界中の悪と戦うのです。そうやって「工夫する戦い方が大事なのだ」ということです。
飯田)ありあわせのものを使う。
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