中国経済の失速が「台湾侵攻」へつながる恐れ
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年1月18日 17時30分
![中国経済の失速が「台湾侵攻」へつながる恐れ](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/nipponhoso/nipponhoso_413015_0-small.jpg)
ジャーナリストの佐々木俊尚が1月18日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。中国の経済政策について解説した。
![](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2023/01/20221117apec_13RS.jpg)
2022年11月17日、日中首脳会談~出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202211/17apec.html)
中国の人口減少は近代化のため
飯田)中国経済の減速が報道されています。そこから対外的にどうなっていくのかということですが。
佐々木)人口も減り始めたという話がありますが、以前、一人っ子政策を行っていたためというよりは、近代化や工業化が進むと、いわゆる都市住民が増えて自然と子どもが減る傾向にあります。それはヨーロッパでも日本でも、どこの国でも同じです。
飯田)都市住民が増えることで。
佐々木)ヨーロッパの場合は、移民を入れているから増えるのです。ですので、この人口減少は予想された方向だと思います。
人口が減少して給料が増えれば、中国はアメリカのような地域集約型のビジネスに転換していく
佐々木)いまは中国の人件費が安いので、世界の工場と言われるように、あらゆる国のメーカーの製造・組み立てを引き受けている状況でした。しかし、おそらく徐々に給料が上がって少子化が進めば、アメリカ的なビッグサイエンスのような方向に舵を切って、地域集約型のビジネスに転換していく見通しだと思います。
飯田)地域集約型のビジネスに。
佐々木)実際、中国は人工知能(AI)が圧倒的に強いのです。
AI研究が進む中国 ~アメリカを引き離す論文数
佐々木)1月16日に日経新聞がAI研究の論文について書いていました。過去10年のAIに関する論文を調べると、中国が2019年に首位になっている。以降、2020年、2021年、2022年とアメリカを突き放してAIの論文が増えているそうです。
飯田)アメリカに差をつけて。
佐々木)日本もアメリカもそうなのですが、いまはプライバシーの問題が大きいではないですか。AIはデータをいかに集めるかが鍵になります。しかし、プライバシーの問題を言われてしまうと、GoogleやAmazonが批判されているように「データを集めるのはよくない」という話になってしまう。
大量のデータを集めることができる中国 ~データを集めにくい日本やアメリカ
佐々木)しかし、中国はそんなこと何も気にしていません。国が中心になって個人データを集めているくらいですから。そうすると当然、大量のデータが集められる。しかも人口は14億人と、すごく多いのです。
飯田)そうですね。
佐々木)となればAI研究が突出して進むのは間違いありません。ですので今後、中国がその分野で突出した巨大産業をつくれるかどうかが鍵になってくる。とは言っても人口が多いので、沿岸部はともかく内陸部の方まで知識産業になれるのかどうかという問題はあります。
飯田)大陸の内部まで。
中国経済が失速すると、国内の不満を抑えるために台湾侵攻へ向かう恐れが
佐々木)習近平氏の経済に対する疎さなどもあり、短期的には今後、経済はおそらく失速する見通しが高いと考えられます。もし、ここで経済が失速してGDPの成長が止まり、不況になって失業者が溢れるような状況になってきたときに何が起こるのかと言うと……。今回のゼロコロナでもデモが起きて、中国政府がコントロールしにくくなっていたではないですか。
飯田)そうでした。
佐々木)同様に政府がコントロールできないようなデモが、今後増えてくる可能性はあります。習近平氏に対して「ノー」と言っていいのだという気運が高まってくる可能性がある。そうなると怖いのは、どの国でも同じことをしますが、国内の不満の声を抑えるために、対外的に強く出るということです。
飯田)国内を抑えるために。
佐々木)そのときに台湾有事の心配が出てくるのではないでしょうか。国内の不満の声を抑えるために台湾を再占領して、国民に知らしめるところへいくかどうかです。
飯田)習近平氏は強いリーダーなのだと。
佐々木)そうですね。
米ブリンケン国務長官と中国・秦剛外相が北京で会談を計画 ~その結果で今後の中国外交の方向性がわかる
飯田)米ブリンケン国務長官が2月5日~6日の日程で中国を訪れる予定だと、アメリカのメディアが報じています。北京で新任の秦剛外相と会う想定のようですが。
佐々木)戦狼外交で対外的に強く出て、国内に対し中国は偉いのだとみんなに知らしめるような外交方式を進めてきた。さすがにこれはうまくいかないだろうと批判が高まっているのですが、3月以降の新体制で外相も変わるため、それを継続するのかどうかに注目が集まっています。
飯田)戦狼外交を。
佐々木)今回のブリンケン国務長官との会談でどういう対応をするのか、どういうステートメントを発表するのか。それによって、今後の中国が戦狼外交的なものに進むのか、それとももう少し融和的になるのかが見えてくるのではないでしょうか。
秦剛氏を外相にした習近平氏の考えは何か
飯田)秦剛氏は報道官としてかなり高飛車な発言をしていて、戦狼外交の第一人者のような人です。その部下に趙立堅氏という報道官がいましたが、彼は左遷されたのではないかという報道が出ています。
佐々木)そうなのですね。
飯田)この人も強気な発言をしていただけに、どうなるのでしょうか。
佐々木)習近平さんがどちらを望んでいるのかということです。しかし、秦剛氏を外相にしたということは、そちらの継続を望んでいるとも考えられます。
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