月経前に女性の気持ちを不安定にさせる「プロゲステロン」とは
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年2月13日 11時20分
![月経前に女性の気持ちを不安定にさせる「プロゲステロン」とは](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/nipponhoso/nipponhoso_417716_0-small.jpg)
医師で医療ジャーナリストの森田豊氏が2月6日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演。女性ホルモンの働きや身体への影響について語った。
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※画像はイメージです
最強のアンチエイジング・ホルモンの「エストロゲン」と妊娠に向けてのホルモン「プロゲステロン」
飯田浩司アナウンサー)女性ホルモンについて伺います。そもそも女性ホルモンとはどういうものなのか、教えていただけますか?
森田)女性ホルモンには、エストロゲンとプロゲステロンの2種類があります。エストロゲンは卵巣の卵子が入っている卵胞の発育を促し、排卵や妊娠に向けて大きく貢献するホルモンと考えられています。その他、身体の丸みをつくったり美肌を保ったり、血管の老化を予防する働きがあります。さらには骨や関節などを健康に保つような役割もあります。
飯田)エストロゲンは。
森田)私はこの女性ホルモンは、最強のアンチエイジング・ホルモンではないかと思っているくらいです。
飯田)なるほど。
森田)もう1つのプロゲステロンは黄体ホルモンと呼ばれていて、排卵後に分泌量が増え、受精卵が着床しやすいように子宮内膜を安定させる。また、乳腺を発達させる働きがあります。基礎体温を上げたり食欲を高めたり、身体に水分や栄養をため込みやすくするという、「妊娠に向けてのホルモン」と言っても過言ではないと思います。
約28日間のサイクルでこの2つのホルモンが周期的に働いて月経がくる
飯田)この2つのホルモンは、どんなバランスになっているのですか?
森田)女性の身体は排卵する時期を挟んで、エストロゲンとプロゲステロンが多く分泌される時期が交互に訪れる仕組みになっています。排卵前の体温が低い時期はエストロゲンの分泌が多く活躍しているのですが、排卵後の体温が高い時期には主としてプロゲステロンの分泌が高まっているのです。
飯田)排卵後には。
森田)妊娠が成立せず、2つのホルモンの分泌が急激に減少すると月経がくる仕組みです。通常は約28日間のサイクルで、2つのホルモンが周期的に働いて月経がくるようになっていますね。
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飯田浩司アナウンサー、森田豊氏、新行市佳アナウンサー
妊娠しないときには、不快な症状を引き起こすホルモンでもある「プロゲステロン」
新行市佳アナウンサー)エストロゲンはよく耳にしますが、プロゲステロンの話はあまり聞かない気がします。
森田)エストロゲンは血管の老化を予防したり、老化防止にとても役立っています。一方でプロゲステロンは妊娠に向けて大きな役割を演じて貢献し、妊娠維持にも欠くべからざるホルモンなのですけれど、妊娠しないときには「不快な症状を引き起こすホルモン」とも言えます。
新行)不快な症状とはどんな症状なのでしょうか?
森田)プロゲステロンの分泌が高まると体温が上昇し、身体に火照りを感じます。また乳房が張って痛みを感じる人も多いです。さらに厄介なのが、気分の落ち込みやイライラにもつながるのです。
月経前にプロゲステロンの分泌が高まり気分が落ち込む、イライラする ~「月経前症候群(PMS)」
森田)「月経前症候群」または「月経前緊張症」と呼ばれる病気(PMS)があります。月経前になるとプロゲステロンの分泌が高まるので、気分が落ち込んだりイライラして、医療機関を受診する方は少なくありません。
飯田)気持ちが不安定になって。
森田)私が経験した患者さんのなかには、月経前になると夫婦喧嘩をするとか、職場でイライラして喧嘩のようなことになってしまうという方もいらっしゃいました。ただ、それが「プロゲステロンによって起こる仕組みだ」と理解するだけで、症状が緩和される方が多いですね。
飯田)理解することで。
森田)どうしても症状から離脱したいという人には、低用量ピルを飲んでいただきます。自分の卵巣から分泌されるプロゲステロンの量を少なくできるので、7~8割くらいの患者さんに効果があります。婦人科の医師に相談してみてください。
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