紛争による被害の上での地震災害 シリア国内の現状を現地・ユニセフ駐在員が解説
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年2月16日 17時30分
![紛争による被害の上での地震災害 シリア国内の現状を現地・ユニセフ駐在員が解説](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/nipponhoso/nipponhoso_418962_0-small.jpg)
10日夕、トルコ南部カフラマンマラシュの倒壊した建物で、救助犬などを使いながら生存者の捜索を行う日本の救助チーム ※ヘルメットの名札を消すため、一部画像を加工しています※
ユニセフ(国連児童基金)シリア事務所の三田みちる氏が2月16日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。トルコ・シリア地震の被災地であるシリア国内の現状について語った。
![](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2023/02/10000000000000090519_20230216113842083187_P230213000084RS.jpg)
10日夕、トルコ南部カフラマンマラシュの倒壊した建物で、救助犬などを使いながら生存者の捜索を行う日本の救助チーム ※ヘルメットの名札を消すため、一部画像を加工しています※=2023年2月10日 写真提供:産経新聞社
トルコ・シリア地震、死者4万人以上 ~国連各国に資金の拠出呼びかけ
トルコ南部のシリア国境付近を震源に発生した大地震で両国の死者は、2月15日までに4万1000人を超えた。国連のグテレス事務総長は2月14日、シリアでの緊急人道支援に今後3ヵ月間で3億9760万ドル(約530億円)が必要だとして各国に拠出を求めた。
飯田)三田さんは、いつごろからシリアにいらっしゃって、どのような活動をされているのですか?
三田)2019年12月にこちらに赴任しました。シリアでは12年におよぶ紛争があり、そのための人道支援に携わってまいりました。
飯田)そんななかで今回、地震が起こりました。シリア国内での伝わり方はいかがですか?
三田)私がいたダマスカスは、被害は少なかったのですが、異常なくらい長く揺れが続きました。私も「大変なことが起きているな」と感じました。ユニセフのシリア事務所は国内に6ヵ所設けられているのですが、今回、被害の大きかったアレッポにも事務所があり、アレッポの事務所は外壁が一部損傷しました。
紛争に加えて2022年からはコレラが流行しているアレッポ ~そこに今回の地震で人々は疲弊しきっている
飯田)アレッポはかつて反体制派が根城にしていたところで、非常に厳しい状況にあることがコロナ禍前から報道されていました。そこへ地震が起こったわけですが、物資の行き渡りなどはいかがでしょうか?
三田)地震から10日くらい経ちましたので、徐々に物資は流れてきている印象があります。飯田さんがおっしゃったように、紛争の影響で崩れた建物がまだまだ残っている状態です。
飯田)崩れた建物が。
三田)私が赴任してからすぐにコロナ禍もありましたし、去年(2022年)からはコレラも流行しています。
飯田)コレラも。
三田)そこに今回の地震が起きました。さまざまな緊急事態がずっと起こっており、本当に疲弊しきっていると言っていいと思います。
アサド政権も災害支援に向けて動いている
飯田)アサド政権の救助活動は、積極的に行われているのでしょうか?
三田)報道もされていますが、人道支援を目的にトルコとの国境を2ヵ所開けることになりました。あとは「ブランケット・アプルーバル」と言いまして、国外からの救援や支援、人道支援に関する移動などがしやすくなっています。ユニセフに対しても、ヨルダンの地域事務所から応援がある場合、ビザを優先的に出してくれています。私の肌感覚としては、政府からの「一刻も早く支援して欲しい」という気持ちは伝わってきます。
飯田)さすがにことここに至っては、必死に全力でやらざるを得ないし、やっているということですね。
三田)国際機関もそうですが、一丸となって地震対応、災害支援に心が向かっていると感じます。
飯田)支援活動においての治安はいかがですか?
三田)いまのところ国内では、特に治安が悪くなったという情報は地域事務所からもありません。支援に焦点をあてて向かうことができています。
子どもたちの冬服や毛布、医療品、食料が不足
飯田)発生から10日が経ちましたが、これから先必要になるのはどういったものでしょうか?
三田)直近のニーズとしては、朝晩はとても冷え込み、氷点下まで気温が下がるので、子どもたちの冬服や毛布です。あとは医薬品と食料ですね。
飯田)医療品と食料もですね。
三田)地震の前から、「国民の9割が経済的に困窮している」というデータもあるくらいでしたので、栄養状態がよくない子どもたちも少なくありません。
飯田)地震の前から。
三田)経済的な困窮で学校に通えていない子たちがいる上に、今回の地震で倒壊した学校もあります。今後、学校に通えない子どもたちが多く出てくるのではないかという懸念があります。
紛争による被害の上での今回の地震 ~今後も息の長い支援が必要
飯田)日本に対するメッセージや、望む支援はありますか?
三田)シリア人は長い紛争で国際的に孤立してきた背景があります。今回の地震災害に関して、日本の皆さんから励ましや応援の言葉をかけていただいていることに、シリア人の同僚もとても喜んでいます。
飯田)シリアの方も。
三田)地震で被災した方への対応について、支援のニーズはとても大きいのですが、一方で、既に紛争によって医療施設や学校、下水道施設などが破損・倒壊した状態が続いています。その上で今回の地震がありました。そこから再建していくという意味において、これからも息の長い支援が必要になると思います。今後も日本からの支援をいただければと思います。
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