次期米大統領選「出馬表明」したヘイリー氏に立ちはだかる「2つの壁」
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年2月18日 17時30分
20日、米ニューヨークの国連本部で、北朝鮮情勢について記者団に応じるポンペオ米国務長官(右)とヘイリー米国連大使
筑波大学教授の東野篤子と青山学院大学客員教授でキヤノングローバル戦略研究所主任研究員の峯村健司が2月17日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。次期米大統領選挙に立候補を表明した共和党のヘイリー元国連大使について解説した。
共和党のヘイリー氏が米大統領選に立候補を表明
2024年のアメリカ大統領選に向けて、共和党のニッキー・ヘイリー元国連大使が2月14日、出馬を表明した。ヘイリー氏は51歳のインド系アメリカ人女性。共和党から既に立候補を表明しているトランプ前大統領に対抗する初めての候補者となる。
飯田)トランプさんも一応、歓迎するような声明を出しています。
優秀で人格者でもある国連大使だったヘイリー氏
峯村)ヘイリーさんが国連大使だった当時、私はワシントン特派員として取材したことがあります。トランプさんがかなり信用を置いている1人でした。
飯田)そうなのですね。
峯村)外交や国連の話が頭に入っているようで、記者会見では、どんな質問にも資料を見ずに答えていました。記者への対応も丁寧で、質問が終わるまで最後まで真摯に答えているのが印象的でした。
「女性」「インド系」をどう乗り越えるか
峯村)一方、早い段階で国連大使を辞めているので、大統領選への出馬を考えた動きを着々と進めていていました。有力候補の1人だと思うのですが、まだアメリカでは女性の大統領が出ていません。そしてインド系でもあり、この2つの壁をどう乗り越えるかがキーでしょうね。
飯田)よく「ガラスの天井」などと言いますけれども。
峯村)2016年に大統領選に出馬したヒラリー・クリントンさんもあれだけ優勢だったにも関わらず、トランプ氏に敗北しました。アメリカでは女性という壁はかなり高いのです。ただ、来年の大統領選でバイデンさんやトランプさんが共に出馬した場合、高齢者同士の争いとなるので、まだ51歳とお若いヘイリー氏が有利になるかもしれません。
米下院を共和党が獲ったことでウクライナ支援はこれまで通りに続けられるのか ~問題は大統領選になり、内向きの傾向が出てくること
飯田)米下院は中間選挙で共和党が獲りました。懸念されているのは、ウクライナに対する支援がどうなるかということです。共和党のなかには「そんなことよりアメリカファーストだ」と言う方もいますが、どうご覧になりますか?
東野)共和党のなかでは、「これまで通りに続けていいのか」、「アメリカの安全保障はきちんと保つのか」、「ウクライナにおける汚職に対して、提供した兵器の横流しなどの懸念はないのか」など、厳しい声があるのも事実だと思います。ただ、現在はある程度の団結があるので、急速に動きが滞ることはありません。問題は、どの国でも大統領選に近付けば近付くほど、内向きの傾向が出てくることだと思います。
飯田)そうですね。
東野)まだまだ戦いは続いていると思います。ウクライナにとって最大の支援国であるアメリカの動向は、死活的に重要だと思います。
ウクライナ国防相の汚職疑惑が浮かぶも罷免せず ~説明が十分ではない
飯田)汚職に関して言うと、ウクライナは国防省内で汚職が取り沙汰され、「国防大臣が罷免されるか?」という報道がありましたが、結局、そのまま職務を続けるということです。かなり対策を打ったとも言われますね。
東野)ゼレンスキー大統領としては「責任は大きいだろう」ということで、レズニコフ国防大臣を罷免させる方向だったことは事実だと思います。
飯田)ゼレンスキー大統領としては。
東野)ただ、ウクライナのなかで信頼のおける民間団体に徹底的に調査させるなど、いくつかの宿題を経たことや、レズニコフ氏自体が周りの支援国からの信頼も厚かったため、なかなか動かしにくい人事でもあったと思います。ただ、動かさないのならば、「なぜ動かさないのか」ということを、もっと説明すべきだったと思います。いまの段階では十分ではないと思います。
飯田)やはり、西側からの支援は死活問題ですよね。
台湾有事「2025年が危ない」 ~大統領選での米の内向きの隙を突く中国
峯村)重要ですし、アメリカは選挙の年は内向きになります。先日、米空軍のミニハン大将が台湾有事について、「2025年が危ないのではないか」という内部メモを出しました。
飯田)2025年が。
峯村)その根拠として、2024年が選挙の年でアメリカが内向きになるため、中国がその隙を突くのではないかということです。私も以前から懸念しています。
飯田)大統領選で内向きになっている隙を突く。
峯村)さらに、次の大統領選で、このまま有力候補者が現れず、混戦となる可能性があります。ロシアも同じだと思いますが、中国は混戦してくると「権力の空白ができている」と見る傾向があります。アメリカが内向きになると、リスクの一つになるでしょう。
飯田)前回の大統領選では、ロシアが影響力工作を行ったとされていますが、さらに中国も行う可能性がある。
峯村)そうですね。前回の選挙では、まだ連携はしていませんでした。
飯田)ロシアと中国が。
峯村)しかし、インフルエンスオペレーションに関して言うと、連携の動きが強まっているので、相乗効果で選挙に対する干渉の効果が出てくるのではないかと懸念しています。
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