なぜビールに「タコのマーク」? 「星野製作所(麦)」のクラフトビール
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年2月22日 17時25分
![なぜビールに「タコのマーク」? 「星野製作所(麦)」のクラフトビール](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/nipponhoso/nipponhoso_419719_0-small.jpg)
それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。
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「ご多幸」からタコのマークに
埼玉県川口市。かつて鋳物工場で栄え、「キューポラのある街」と呼ばれた川口ですが、いまでは駅周辺に高層マンションやオフィスビルが建ち並び、ベッドタウンとして人気の街になっています。
そんな川口駅から「草加駅」行きのバスに乗って、20分ほど。草加市に隣接する地域「榛松」には、いまも多くの町工場が点在しています。
そこに、クラフトビールの醸造所「星野製作所(麦)」があります。ビールを醸造するのは星野幸一郎さん・39歳。
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タコのマークのビールを手にする星野幸一郎さん
「星野製作所」は幸一郎さんの祖父が創業し、父親が受け継いだ金型工場ですが、長男の幸一郎さんは家業を継がず一般企業に就職。営業マンとして働いていました。
10年ほど前、もうすぐ30歳になるとき、「何か1人で始めてみたい……」という気持ちが募ってきます。お酒が好きな幸一郎さんが注目したのは、クラフトビールでした。
年々愛好者が増えており、免許が必要で簡単には参入できない業界。免許を取れば魅力ある仕事だと思った幸一郎さんは、「よし、ビールをつくろう!」と決意します。
とは言っても、まずは「醸造免許」を取らなければなりません。審査を行うのは国税庁で、免許を交付するのは地元の税務署です。幸一郎さんが税務署に行く前にインターネットでいろいろ調べたところ、免許を取るには「醸造経験が必要」だと知ります。
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ホップの香りと喉越しのよさが人気です
クラフトビールをつくった経験などない幸一郎さんは、銀座にあるクラフトビールのお店で、2年ほど修行を兼ねて働きました。その後、「ブルワリーを一緒にやらないか」という会社経営者と知り合い、いろいろ準備を進めていきますが、その社長は毎回遅刻して来るのだそうです。
それを父親に話すと、「時間を守らんヤツとは仕事をするな。時間の無駄だ。ビールをつくりたければ、うちの工場の空きスペースを使ったらどうだ」と言われます。「その父の言葉が嬉しかった」と話す幸一郎さん。
「父はほとんどお酒を飲まないので、僕がビールづくりをやりたいと言ったとき、渋い顔をしていたんです。『どうせ1人ではできないだろう』と見ていたと思いますよ。だから父が理解してくれたときは、すごく嬉しかったですね」
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いろいろな味が楽しめるのもクラフトビールの醍醐味
経験も積み、醸造所の場所も確保できました。あとは税務署から免許をもらうだけ。ところが、担当官からこう言われます。
「会社組織にしてください。これは絶対条件です。会社にしないと、社会的信用を得られませんから」
しかし会社組織にすると、いろいろとお金がかかってしまいます。ビールづくりのための器具や大型冷蔵庫など、資金はそちらに回したい……。そこで思いついたのが、父親を代表にすることでした。
「うちは祖父の代から町工場をやっています。その場所でビールづくりを始めるので、社会的信用がないわけではありません」
こうして2018年3月27日、川口税務署から「醸造免許」が交付されました。「年間6000リッターのビールを売ってください」という条件も付けられます。
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川口での食の祭典2022に出店
飲食店やお祭り、イベント向けに15リッターの「樽」で販売を始めました。年間6000リッターはクリアできましたが、コロナ禍では飲食店が店を閉め、お祭りはすべて中止。ビールがまったく売れず、大打撃を受けました。
その後、家飲み向けに「瓶ビール」の販売を始めます。これが好評を得て、何とか1人でここまで進み、(2023年)3月で5周年を迎えます。
星野さんの名刺には、「川口の町工場が醸すクラフトビール 星野製作所(麦)麦酒(ビール)担当 星野幸一郎」の文字。そして、ビールを飲む可愛いタコのイラストが描かれています。瓶ビールのラベルもタコのマークです。「何でタコなんですか?」と伺ってみました。
「僕の名前は、幸せが一つの『幸一郎』なので、幸せが多いと書く『ご多幸』から、『タコ』のマークにしました」
「あなたに幸せがたくさん訪れますように」と、星野幸一郎さんは、きょうも1人でクラフトビールをつくっています。
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