温暖化になるとなぜ大雨が増えるのか 森田正光 気象予報士が解説
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年2月21日 19時1分
![温暖化になるとなぜ大雨が増えるのか 森田正光 気象予報士が解説](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/nipponhoso/nipponhoso_419969_0-small.jpg)
黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(2月7日放送)に気象予報士の森田正光が出演。異常気象について語った。
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※イメージ
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。2月6日(月)~2月10日(金)のゲストは気象予報士の森田正光。2日目は、異常気象が起こる自然界の仕組みについて—
黒木)温暖化、二酸化炭素といろいろ聞きますが、一体どのようになっているのでしょうか?
森田)2021年に真鍋淑郎先生という方が、気象学でははじめてノーベル賞を獲られました。真鍋先生は二酸化炭素などの物質が増えると温暖化が進むということを初めて研究なさった方です。
黒木)そうなのですね。
森田)それまでのノーベル賞は、天文や素粒子というようなことが対象でした。それが今回、温暖化に対してノーベル賞が与えられたということは、いまの地球が「このまま二酸化炭素を出し続けるとおかしくなってしまうよ」という、世界的な警告の意味も込められているのです。
黒木)警告の意味が込められている。
森田)CO2を出すことによって、地球全体の温度が1.1度ぐらい上がっています。温度が上がることによって、集中豪雨が増えたり、あるいは干ばつが長引いたりというようなことが実際に起きています。並々ならぬ決意を持って、我々は二酸化炭素などの排出を抑えていかなければいけない時代に入っていると思います。
黒木)そのような異常気象は人為的でもあるという見解ですか?
森田)この10年ぐらいは、人間のせいでもあります。「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」という国連の組織がありますが、「95%以上が人間のせいで温暖化になっている」ということが発表されました。
黒木)人為的ということは、1人ひとりが気を付ければ変わっていくということですか?
森田)方向的にみんながそのように思えば、企業も考え方が変わり、販売する商品自体もその変化に影響されます。そのようなことで社会が変わっていきます。いまから30年ぐらい前に「オゾン層破壊」ということが問題になりましたよね。
黒木)ありましたね。
森田)オゾン層に穴が空いてオゾンホールができて、紫外線の量が増えているということでした。ところが、1989年に「モントリオール議定書」というものができて、オゾン層に穴を空けるフロンガスをやめようと言ったら、最近ではもうオゾン層破壊についてのニュースを聞かなくなりましたよね?
黒木)聞きませんね。
森田)実は修復しているのです。気象庁のページにも「現在、修復途中」と書かれています。温暖化もそうなのですが、「いまやらないと修復しないよ」ということなのです。特に人為的な問題というのは人間がやっていることなので、人間がやり方を変えれば修正できると思います。
黒木)よくニュースで、「これまでに体験したことのないような大雨が降ります」という言い方をしますが、この「これまでに体験したことのない」というのは異常気象とはまた違うのですか?
森田)我々は「30年に1回起きるかどうか」という頻度のことを異常気象と言います。いま、その異常気象の頻度が10年に1回ぐらいになっていて、30〜40年前に比べると3倍ぐらいに増えているのです。
黒木)3倍ですか。
森田)「これまでに経験したことのない」というフレーズがたくさん出てくるのは、その場所自体が30ヵ所あったら1ヵ所は起こるということです。これまでマスコミではあまりそのようなことを言わなかったのですが、防災が重要だということで、積極的に言うようになりました。昔に比べると、異常気象が増えていることも確かです。
黒木)雨の量も増えていますね。
森田)20年ぐらい前から統計がありますが、80ミリ以上の大雨が降る回数は1.8倍になっています。明らかに激しい雨が増えています。
黒木)1.8倍。
森田)なぜ温暖化になると激しい雨が増えるのかと言うと、自然界は、不安定になると安定させようする仕組みがあります。温度が高くなると、その温度を冷やそうとして大雨が増えるのです。このような仕組みによって、温暖化になると大雨が増えるのです。
黒木)雨が増えると、今度は干ばつするところもあるということですよね?
森田)その通りです。
黒木)それもすべて安定させるためにそうなっているのですか?
森田)そうなのです。大雨になっているということは、どこかからその大雨の水蒸気を持ってきているということです。その水蒸気を持って行かれたところは干ばつになります。ですので、大雨と干ばつはセットになっているのです。
黒木)そのように考えると、お天気というのはミステリアスではなくて、なるようになっているのですね。
森田)自然界は普通の状態に戻そうと必死になっています。そこに我々が余分なことをしているというイメージですね。
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森田正光 / 気象予報士
森田正光(もりた・まさみつ)/ 気象予報士
■1950 年・名古屋市生まれ。72歳。
■財団法人日本気象協会を経て、1992 年に初のフリーのお天気キャスターとなる。
■1992年、民間の気象会社 株式会社ウェザーマップを設立。
■親しみやすいキャラクターと個性的な気象解説で人気を集め、テレビやラジオ出演のほか全国で講演活動も行っている。
■2005年、財団法人「日本生態系協会」理事に就任。
■2010年から環境省が結成した生物多様性に関する広報組織「地球いきもの応援団」のメンバーとして活動。 環境問題や異常気象についての分析にも定評がある。
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