ウクライナ侵攻でプーチン大統領がもたらしたのは「世界秩序の大崩壊」 高橋洋一が指摘
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年2月22日 11時35分
![ウクライナ侵攻でプーチン大統領がもたらしたのは「世界秩序の大崩壊」 高橋洋一が指摘](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/nipponhoso/nipponhoso_420051_0-small.jpg)
モスクワで演説するロシアのプーチン大統領(ロシア・モスクワ)
数量政策学者の高橋洋一が2月22日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。2月21日に行われたロシアのプーチン大統領の年次教書演説について解説した。
![](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2023/02/jpp044457360RS.jpg)
モスクワで演説するロシアのプーチン大統領(ロシア・モスクワ)=2023年2月21日 AFP=時事 写真提供:時事通信
プーチン大統領、年次教書演説でウクライナ侵攻継続を強調 ~アメリカとの核軍縮条約の履行を一時的に停止と主張
ロシアのプーチン大統領は2月21日、ウクライナ侵略を開始して以降初めて行った年次教書演説のなかで、軍事侵攻を改めて正当化した上で「ロシアを打ち負かすことは不可能だ」と述べ、侵攻を続ける姿勢を強調した。さらに、アメリカとの核軍縮条約の履行を一時的に停止すると一方的に主張し、アメリカを強く牽制した。
久方ぶりの国家間の戦争
飯田)核軍縮条約である「新戦略兵器削減条約(新START)」履行の一時停止が、きょう(22日)の紙面では大きく報じられています。
高橋)ロシアによるウクライナ侵攻は、久方ぶりの国家間の戦争です。その前まではアルカイダやイスラム国(IS)とのテロ戦争がありましたが、アルカイダやISは過激派集団のようなもので、国とは言えませんよね。
飯田)そうですね。
高橋)「国家間の戦争はなくなるのではないか」と言われていましたが、久方ぶりに起きました。また、国連安全保障理事会の常任理事国が核を脅しに使うという話ですから、驚きました。核を脅しに使っている以上、核軍縮の話はしないということでしょう。
飯田)そういうことになりますよね。
国連が機能せず、NATOしか頼れない ~核拡散防止条約(NPT)体制も崩壊
高橋)核拡散防止条約(NPT)体制の話は全部崩壊しましたよね。もともと五大国は使わないのが大前提ですから。安全保障理事会でも常任理事国には拒否権があるのですが、核を脅しに使うところがそれでは話になりません。国連が機能しないので、「北大西洋条約機構(NATO)しか頼れない」という状況になってしまうのです。プーチンさんはすごいことをやりましたね。
飯田)戦後の国連中心主義のようなものを根底から否定した。
高橋)国連は頼りにならず、NATOしか頼れないので、フィンランドやスウェーデンはそこに逃げ込むのでしょう。
ウクライナ侵攻で「世界秩序の大崩壊」を示したロシア
高橋)日本にも「国連主義」と言っている人がいたけれど、もはや国連は厳しいですね。北朝鮮に対しても何の制裁もできませんし。
飯田)北朝鮮は弾道ミサイル発射という明確な国連安保理決議違反を行ったにも関わらず、非難決議1つできないわけですからね。
高橋)そんなことをロシアは言えないでしょう。
飯田)ロシアと中国は反対しました。
高橋)ウクライナ侵攻から1年経ちますが、「世界秩序の大崩壊」というのが私の感覚です。「プーチンさんはまだそれを続けるのか」という感じですね。
アメリカはどう対応するのか
飯田)アメリカの対応がどうなるかというところですが、「核弾頭を配備しようと思えば数ヵ月で配備できる」と言われています。しかしバイデン政権はむしろ「核なき世界を目指そう」と言っていますね。
高橋)でも、相手がいなければやりようがないから、そこまでアメリカもお人好しではないでしょう。
飯田)自分で自分を縛るようなことはしない。
INF全廃条約によって米露が持っていない中距離ミサイルを2000発保有する中国 ~第1列島線に配備されたら、日本はどう対応するのか
高橋)次に何が出てくるかと言うと、中距離ミサイルの話です。これは中国しか持っていません。
飯田)そうですよね。アメリカとロシアには中距離核戦力(INF)全廃条約がかつて存在したので、基本的には使っていなかった。
高橋)そこがぽっかり空いているのですが、中国は2000発ぐらい持っています。あれを第1列島線に配備すると思いますよ。日本はそのときどうするのでしょうか。当面は核ではないものを配備すると思いますが、核に対してこれだけ無秩序になってしまったら、「非核三原則」などと言ってはいられません。
「非核三原則」などと言ってはいられない状況の日本
飯田)国会内でも議論が出てきていて、かつての非核三原則は「つくらず、持たず、持ち込ませず」でした。自分たちでつくってどこかに持って行くことはないという話が、いつの間にか「持ち込ませず」になっていたので、ここを修正しなければならない。
高橋)二原則にしないと。例えば中距離ミサイルに核を入れて、「核共有」というようなこともできなくなります。中国は明らかに約2000発の中距離ミサイルを持っていて、ものすごい脅威にさらされています。
飯田)一方的に。
高橋)それに対する反撃能力を考えると、「中距離を持つ。核を持つ」ということになるのだけれど、そのとき「本当に非核三原則などと言っていられるのか?」ということです。現に非核三原則を言っていたウクライナはロシアに侵略されましたからね。
核共有という形で米製のものを国内に持ち込み日本が運用する ~その議論をするべき
飯田)日本において非核三原則は法律ですか?
高橋)法律ではありません。運用方針ですよ。
飯田)運用方針。
高橋)ですから、政府が判断すればできます。「つくらず、持たず」はわかりますよ。でも共同運用・核共有の形でアメリカ製のものを国内に持ち込み、「運用は日本がやる」と言えばいいのです。そういう形で進めれば抑止力になります。でも必ず「第1列島線に配備」と言われますから、日本は厳しい選択を求められます。議論していないと、そのときにあたふたと慌てるだけになります。
飯田)先日、米海兵隊トップが日経のインタビューに答えていましたが、「まだ具体的に話すところではない」と言いながらも、第1列島線の配備は否定しなかった。
高橋)軍事的には常識です。
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