静岡駅の幕の内弁当に、今だけの「おにぎり」バージョン！ その「静岡らしさ」とは？

【ライター望月の駅弁膝栗毛】
「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。

握り飯の幕の内弁当

「幕の内弁当」は個性がないと思いがちですが、じつは幕の内弁当ほど、ご当地性がある駅弁はないとも思います。とくに焼き魚は魚の種類などにご当地性がありますし、ご飯や煮物は、駅弁屋さんによって味わいが全く違います。そんな幕の内弁当のご飯を、ご当地らしさを感じさせるおにぎりにアレンジした駅弁が、今月いっぱい静岡駅に登場しています。

N700S新幹線電車「のぞみ」、東海道新幹線・静岡～掛川間

駅弁の日30周年！　「おにぎり駅弁」特集（第6回／全6回）

富士山をあとに、静岡駅を通過した東海道新幹線のN700S「のぞみ」が西を目指します。3月のダイヤ改正から全席電源コンセント付きのN700Sで運行される列車が大幅に増加。私も混雑時間帯をずらしたN700Sの列車を選んで、東京～広島間を移動してみましたが、パソコン仕事もよく捗り、心地よい旅となりました。海外からの乗客が増えている「ひかり」「こだま」にも、N700Sが入る時間帯があります。

握り飯の幕の内弁当

日中、毎時1本の「ひかり」と2本の「こだま」が停まる静岡駅随一の人気駅弁といえば、東海軒が製造・販売する「幕の内弁当」。このご飯を「おにぎり」にアレンジした「握り飯の幕の内弁当」（1100円）が、4月30日までの期間限定で販売されています。この駅弁も、駅弁の日制定30年を記念した「おにぎり駅弁企画」の1つということで、駅弁カードには、大河ドラマで話題を集める、徳川家康ゆかりの久能山東照宮が紹介されています。

握り飯の幕の内弁当

【おしながき】
・茶飯にぎり　桜えび煮
・桜飯にぎり　まぐろ角煮
・わさび菜のおひたし
・焼き鯖
・蒲鉾
・玉子焼き
・チキンカツ
・海老フライ
・煮物（鶏肉団子、豚肉、筍ほか）
・中華煮
・うぐいす豆
・わさび漬け
・桜漬け

握り飯の幕の内弁当

オリジナルのステッカーが貼られたふたを開けると、いつもの幕の内弁当のおかずはそのままに、2つのおにぎりが登場しました。1つは静岡らしい緑色の茶飯に、駿河湾ゆかりの桜えびがのったおにぎり。もう1つは、桜飯（醤油の炊き込みご飯の静岡での呼び方）に、清水や焼津の港にちなんだマグロの角煮がのったおにぎりです。わさび菜のおひたしも付いて、いつも以上に「静岡らしさ」を感じさせてくれるお弁当が嬉しいですね。

313系電車・普通列車、東海道本線・用宗～安倍川間

新幹線で走り抜ける静岡の旅もいいですが、在来線の東海道本線で各駅に停まりながら、富士山や駿河湾越しの伊豆半島を眺めたり、いよいよ、新茶のシーズンを迎える茶畑のなかをのんびりと旅していくのも、じつは贅沢な時間の過ごし方。いまだけの駅弁をお供に静岡茶の香りを楽しみながら、東海道を下ったり上ったりして、大河ドラマゆかりのまちを訪ねてみてはいかがでしょうか。

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介！

著者：望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個！放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/