ウクライナとロシアの「一進一退」はまだ続く 希望的観測だけは持ってはいけない
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年7月26日 11時45分
【G7広島サミット】G7広島サミットの第9セッションに臨むウクライナのゼレンスキー大統領=21日午前11時59分、広島市南区(代表撮影)
外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が7月24日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ウクライナのゼレンスキー大統領が要請した「NATO・ウクライナ理事会」の開催について解説した。
ゼレンスキー大統領が「NATO・ウクライナ理事会」開催を要請
ウクライナのゼレンスキー大統領は7月22日夜のビデオ演説で、北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長と電話で会談し、先のNATO首脳会議で設置された「NATO・ウクライナ理事会」の開催を要請したと明らかにした。ウクライナ産の穀物の輸出など、黒海の安全保障を議論するためとしている。
ロシアがウクライナ産穀物「輸出合意」の履行停止
飯田)ロシア側が穀物輸出に関して履行停止を発表しています。
宮家)2ヵ月前に更新されて、今回、再び期限がきました。今回もいろいろと言いながらも延長するのかと思っていたら、ロシアは延長しないという。しかも厳しい対応を取ってオデッサを攻撃したり、いままでとは違う動きになっています。
NATO側がどう考えるのかがポイントに
宮家)なぜかは私もわからないのですが、おそらくロシアが本気になった理由は、ある程度NATO側が攻勢に出てきて、ウクライナの軍事的な攻勢も強まってきました。ロシア側に少し余裕ができたのかどうかはわかりませんが、とにかく局面が若干変わってきています。
飯田)局面が変わった。
宮家)ゼレンスキーさんとしては、せっかくできた「理事会」ですから、早速使いたい。つまりNATO諸国とウクライナが対等な立場で話し合うということですが、話し合えば話し合うほど穀物の問題が出てきたりして、それだけNATOとウクライナが近付くことになる。
飯田)ウクライナとNATOが。
宮家)それをNATO側がどう考えるのかもポイントになると思います。非常に巧妙な動きではありますが、こうしたNATOとウクライナの接近がすんなりと進むのかどうか。ロシア側の動きを見極めながら対応していくのではないでしょうか。
これを機に制裁を解除させたいロシア
飯田)穀物は、ウクライナの輸出品目としては非常に大きいですよね?
宮家)ロシアも文句は言っているのですが、ロシアはカスピ海を通す、あるいは他の陸路を使っても穀物を外国に出すことはできます。
飯田)ロシア側は。
宮家)しかし、ウクライナにとってはそれが難しい。だからロシアとしてはこの機会に、掛けられている制裁や攻勢を跳ね除けたいと思っているのでしょうね。
攻撃には防御の3倍の兵力が必要 ~希望的観測だけは持ってはいけない
飯田)ウクライナの反転攻勢が始まっているとも言われますが、実際はどうなのでしょうか?
宮家)攻撃するためには、「防御の3倍の兵力が必要だ」と昔から言われています。今回は状況が大きく違い、近代兵器も入っているので簡単には言えませんが、ウクライナがロシアの3倍の兵力を持っているかと言うと、残念ながら持ってはいません。
飯田)ロシアの3倍の兵力は。
宮家)NATOの最新兵器は入っていますし、ウクライナはそれを使っていますが、ロシア側も防御の準備はしています。地雷原や塹壕をつくるなど、ロシアは攻撃よりも防御の方が上手いと言われていますから、当然ウクライナは手こずりますよ。
飯田)ロシアは防御が上手いので。
宮家)アメリカやドイツなどの最新鋭兵器が入れば、ウクライナが優勢になるという希望的観測でものを言ってはいけないと思います。また、プーチンは(ウクライナの反転攻勢は)全部失敗しているとも言っていますが、それもまた違うかも知れません。なぜならワグネルの反乱があったわけですから、ロシア側も人のことは言えないわけです。
米ブリンケン国務長官「結果が見えるまで、数ヵ月掛かる」 ~一進一退が続いていく
宮家)その意味では、ウクライナ戦争は一進一退が続いていくでしょう。CNNの報道によると、ブリンケン国務長官は「結果が見えるまで数ヵ月掛かる」と言っていました。
飯田)今回の攻勢の結果が見えるだけでも数ヵ月掛かるのですね。
宮家)ウクライナは地雷原を突破して、いまロシア側の弱いところを探しているのだと思います。でも、ロシア側も準備はしているでしょうし、そう簡単に物事が運ぶと考えてはいけません。ウクライナには頑張って欲しいのですが、物事は冷静に見る必要があり、希望的観測だけは持ってはいけないと思います。
停戦はない
飯田)宮家さんは常々、戦争の帰趨は戦場で決まるとおっしゃっていますね。
宮家)戦場で決まります。いまは戦場で物事が決まらないのだから、戦闘は続いていく。当然、停戦もないということです。
飯田)その部分について、交渉云々というようなことも言われてはいます。
宮家)どちらかが負けそうだと感じない限り、戦闘を止めようとは思わないでしょう。喧嘩もそうですよね。勝つつもりでいるのなら、どちらも殴り合いを止めませんよ。
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