岸田政権の少子化対策は「子育て政策」 必要なのは非正規などで収入がなく「結婚したくてもできない」人たちへの支援
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年7月27日 17時40分
ジャーナリストの鈴木哲夫が7月27日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。岸田政権の少子化対策について解説した。
人口動態調査
総務省が7月26日付けで公表した住民基本台帳に基づく人口動態調査によると、2023年1月1日時点の外国人を含む総人口は1億2541万6877人で、前年と比べ約51万1000人減った。日本人に限ると約80万1000人の減少で、減少幅は1968年の調査開始以降、最大を更新。初めて47都道府県すべてでマイナスとなった。
長期スパンの視点が欠けている日本の政治 ~少子化対策は10年前から行わなければできない
飯田)人口減社会と言われて久しいですが。
鈴木)「いつから言われているのか?」という話です。
飯田)確かにそうですね。
鈴木)いま始まった話ではない。人口が「減る、減らない」ということは、1年や2年の政策で変えられるものではありません。10年前から10年後を予測し、「人口が減ったらどうするのか?」を考えて対策する必要があります。少子化対策もそうだけれど、なぜか日本の政治には長期スパンの視点が欠けていますよね。
飯田)長期スパンの視点が。
鈴木)先のことを一生懸命言うよりも、やはり目の前のことに集中してしまう。嫌な言い方ですが、それが票にもなるわけでしょう?
人口減少や少子化問題は日本の政治に10年先を予測する視点が欠けている象徴
鈴木)長期的なスパンで考えている人はいるのですよ。自民党の若手のなかにも、10年後~20年後を考えている人がいるけれど、そういう声は党の運営になるとかき消されてしまい、どうしても目の前のことになってしまう。
飯田)票にもつながるから。
鈴木)まさに人口や少子化に関する問題は、先見性、10年先を予測する考え方が欠けている象徴だと思います。今回は47都道府県全部でマイナスでしょう?
飯田)マイナスになりました。
鈴木)いままでだと、地方で過疎になったところは減っていたけれど、都心部などでは増えていました。でも、今回の数字は本当に減っているという証拠です。
岸田政権の少子化対策は「子育て政策」になっている ~子どもがいる家庭への支援がメイン
鈴木)ここで必要なのは、まさにいま岸田さんが異次元と言っている少子化対策です。しかし、いまのやり方が「本当に少子化対策になっているのか?」と疑問を持ってしまう。「子育て政策」になっているのですよ。いま結婚している方や、結婚して子どもがいる方を積極的に支援するのがメインになっていますよね。
飯田)そうですね。
鈴木)いま結婚している方、それなりに出産・子育てをしている家庭に、例えば2人目の子どもをつくれるようにお金を入れるなど。
「結婚しない人たちに向けて何をやるか」がポイント ~そこが語られていない
鈴木)しかし、少子化対策で大事なのはそこではなく、問題は結婚しない人たちが増えていることです。そちらの方を何とかしなければいけない。
飯田)結婚しない人たちの方を。
鈴木)原因としては、非正規雇用や給料の問題など、いろいろあるでしょう。そこで「結婚しようかな」と思えるようにお金をシフトしていく必要があります。いま結婚・子育てをしている方はそれでいいわけだから。「結婚しない人たちに向けて何をやるか」がポイントなのに、そこが語られていません。
結婚できない人たちにどういう支援をすればいいのか ~社会や労働環境を変えていくこと
鈴木)それから、私はサッカーをどうこう言うつもりはありませんが、なぜイベントをJリーグと一緒になってやるのでしょうか。
飯田)国民運動ですね。
鈴木)最初にキックオフのトークイベントがありましたよね。例えば、語る人たちは子育てをしている人たちでいいのか。「結婚したいけれどできない」人たちであるべきだったのではないかと思います。長期的に見て「何をすべきか」と考えたら、結婚できない人たちにどういう支援をすればいいのかということです。社会や労働環境を変えていくことが必要ではないでしょうか。
飯田)社会や労働環境を変えていく。
鈴木)そういう視点が欠けている気がしますね。このままでは子どもは増えないですよ。
結婚したくてもできない「非正規」や「低収入」の問題に対し、集中的に支援することが必要
飯田)特に責任感の強い人ほど、「いまの収入では育てきれない」などと考えますよね。「結婚と言っても、相手に対して責任を取れないし」など。
鈴木)いまは、昔のように「30代までに結婚して子どもをつくる」というライフスタイルではなくなっている部分もあると思います。それはある意味、仕方ないことかも知れません。しかし、少なくとも結婚したくてもできない、子どもをつくりたくてもつくれない方々がいるとして、収入の問題が関係するならば、そこに集中的に支援することが必要ではないでしょうか。
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