前夜の叱咤激励に一発回答 原監督と岡本和真の「ツンデレな師弟愛」
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年8月3日 17時25分
【プロ野球巨人対ヤクルト】 1回 2点本塁打を放ち生還した巨人・岡本和真はベンチ前でナインとタッチを交わす=東京ドーム
話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、「巨人軍の4番サード」を継承する2人、読売ジャイアンツ原辰徳監督と岡本和真選手にまつわるエピソードを紹介する。
8月2日、東京ドームで行われた巨人対ヤクルト戦。この試合で何とも強烈だったのは、ともに2本ずつホームランを放った坂本勇人と岡本和真、巨人軍の新旧キャプテンによるアベックアーチだ。
特に、岡本が5回に放った24号は、レフトスタンドの電光看板に直撃する超特大弾。この日、4打数2安打3打点と大当たりでお立ち台に立った岡本は、さらに言葉でも確かな存在感を示してみせた。
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『昨日は空気って言われたんで、今日はちょっとおったんかなと』
~『中日スポーツ』2023年8月2日配信記事 より
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この発言は、前日の試合で4打数無安打に終わった主砲に対して、「和真……、いた? きょう?」と語った原監督のコメントを受けたもの。指揮官の叱咤激励を受け止め、それに一発回答で結果を出すのだから、さすがの一言だ。
そんな頼れる4番の活躍に対し、前日は空気のように扱った原監督も「いた! きょうはいたねぇ」と語るだけでなく、しっかりと褒め称えていた。
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『初めてあれだけの打球音を聞きましたね。2本目は。あれだけの音っていうのは憧れだと思いますよ。すごい。並じゃない』
~『中日スポーツ』2023年8月2日配信記事 より
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振り返れば、これまでも「辛辣コメント&叱咤激励する原監督」と「すぐさま結果を出す岡本」という2人のやりとりは何度も見てきた光景だ。そんな愛すべきツンデレな師弟関係を改めて振り返りたい。
●4番・岡本和真と原監督
2018年に史上最年少で3割30本100打点を達成した岡本が、満を持して「開幕4番」を任されたのが2019年のこと。ところが、プレッシャーからか調子はなかなか上向かず、交流戦開幕と同時に打順は6番へと降格することに。この打順変更の狙いを、原監督は当時こう語っていた。
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『チームの最善策。岡本を少し楽な所で打たせたい』
『岡本…ビッグベイビーが困ってるんだったら少し助けよう。坂本、丸、頼むぜといったところですかね』
~『スポニチアネックス』2019年6月4日配信記事 より
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この“赤ん坊扱い”に奮起したのか、6番で迎えた楽天との試合では2試合連続マルチヒット。打順が1つ上がって5番になった3試合目も決勝アーチを含む2安打。3戦連続マルチヒットで完全復調をアピールした岡本に対し、原監督も「ベビー卒業」を認めるほかなかった。
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『結果的にこの3連戦で6本打った。もうビッグベビーと言えなくなったね』
~『日刊スポーツ』2019年6月9日配信記事 より
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このシーズンは7月末にも4番降格を味わった岡本だったが、打順が降格するや、すぐさま3安打2打点と発奮したことがある。そんな岡本の活躍を受け、原監督は次のように讃えていた。
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『そりゃ、いい選手ですから』
~『日刊スポーツ』2019年7月28日配信記事 より
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●サード・岡本和真と原監督
原監督から岡本への叱咤激励は、守備でのコメントも多い。自分自身が現役時代に守ったサードであり、長嶋茂雄という偉大な先達者から受け継いだホットコーナーである、という意識が強いのだろう。このオフにはYouTubeでの発言で、岡本のサード守備について厳しい言葉を並べていた。
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「この秋はとにかく体づくり。バッティングがどうとかこうとかじゃない。とにかく三塁手、曲がりなりにも俺も守ってきた。長嶋さんという素晴らしい三塁手も居る。ホットコーナーを守る上においては、『和真、このままでは来季はサードを守らせることはできないよ』と。そこはいま、必死に取り組んで、練習を含めてやっている。動けない三塁手はダメですね」
~徳光和夫の人生ジャイアンツ 【日テレジータス公式】(2022年11月3日投稿動画)より
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しかし、今季の「サード岡本」は開幕戦から逆転負けのきっかけとなる送球エラーを記録するなど、3~4月だけで4失策。中田翔の故障離脱の影響もあり、5月には新人の門脇誠にサードを任せ、岡本は一塁かレフトの守備に就くことがほとんどだった。
もっとも、定位置を奪われても不貞腐れることなく、黙々と守備練習に励むのが岡本らしさ。その取り組み方も含めて評価された岡本は、6月4日の試合からサードのポジションに復帰。以降、ここまで許したエラーは1つだけだ。そんな岡本の軽快な動きに対して、原監督はこんなメッセージを送っている。
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『良くなったでしょ。構えも良くなった。それも言ったの。和真はちゃんとやっている。去年、おととしのゴールデン・グラブというものがプラスになっていたのかマイナスになっていたのか。俺とかミスター(長嶋茂雄さん)から言わせれば、えっ、ゴールデン・グラブ?って。それが本音でしょう。そういうところも含めて謙虚になった』
~『スポーツ報知』2023年6月20日配信記事 より
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ちなみに、サードに復帰する前日、6月3日の日本ハム戦は、悩める岡本のサヨナラヒットで勝利。原監督はこの試合での岡本の「振る舞い」についても高く評価していた。
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『今日はかなり、昨日も含めて、まあフラストレーションはあったと思いますよ。ベンチでもカッカしてたしね。でもやっぱりそういうものが、あの打席を生んだのかなという感じがしますね』
~『スポーツ報知』2023年6月3日配信記事 より
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キャプテンに就任したこと、WBCを経験したことで戦う姿勢を全面に出すようになった、と常々評価している原監督。その精神性こそ、原監督が最も岡本に求め、成長を期待している部分なのではないだろうか。冒頭の「コメント返し」する岡本の姿も、原監督がいちばん喜んでいるはずだ。
気が付けば、3位DeNAとは0.5ゲーム差。叱咤する監督と戦う主将が、4位からの逆襲を牽引する。
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