これをのめば「限られた拉致被害者は返す」とする北朝鮮の「条件」 青山繁晴議員が言及
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年8月24日 17時40分
作家で自由民主党・参議院議員の青山繁晴が8月24日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。北朝鮮が発射したミサイルについて解説した。
北朝鮮のミサイルが日本上空を通過
日本政府は8月24日未明、全国瞬時警報システム(Jアラート)で北朝鮮がミサイルを発射し、午前4時ごろに日本上空を通過した模様だと速報した。対象地域は沖縄県。韓国軍合同参謀本部は、「北朝鮮が主張する宇宙発射体」が南の方向に打ち上げられたと明らかにした。
一方で、北朝鮮国営の朝鮮中央通信は、軍事偵察衛星の打ち上げを行ったものの失敗したと伝えた。ロケット3段目の飛行中に、非常爆発システムにエラーが生じたとしている。北朝鮮の国家宇宙開発局は、2023年10月に3度目の衛星打ち上げを行うと表明した。
北朝鮮がミサイルを撃つ最大の狙いは外貨獲得 ~独裁を維持するためには武器を売るしかない
飯田)日本政府は、国家安全保障会議(NSC)の会合を総理官邸で開きました。いまのところ、国内で被害があったという情報は入ってきていません。北朝鮮のミサイルについて、さまざまな報道がありますが、北朝鮮の狙いは何でしょうか?
青山)北朝鮮の最大の狙いはお金、特に外貨です。ドルを入手しないといけません。北朝鮮国内では、工業製品も農産物もほとんど期待できませんので、飢えが進行していると国連も懸念を深めています。
飯田)国連も。
青山)ミサイル技術、あるいはミサイルを分解して密かに売る。本当は核爆弾も売りたいけれど、国連やアメリカの監視が厳しくなっているので、それはなかなか難しい。しかし、ソフトだけでも売りたいのです。
飯田)外貨を稼ぐために。
青山)実は莫大な売り上げを誇っています。北朝鮮の収入源は、他にはネットのハッキングで不正に入手したものもありますが、直接的な外貨で言うと、これしかありません。それを続ける以外、独裁を維持する方法がないのです。
北朝鮮からのミサイルにはNSCを開いて対応するが、なぜ中国から発射されたミサイルにはNSCを開いて対応しないのか
青山)政府は、官房長官もほとんど寝ていないような状況で備えていましたし、NSCを開くなど、きちんと対応しています。しかし、一方で中国が沖縄県の与那国島や波照間島の目の前に、ミサイルを撃ち込んだではないですか。日本の排他的経済水域(EEZ)内、島の目の前と言ってもいいようなところに撃ち込まれたときは、NSCを開いていないのです。
飯田)2022年8月ですね。
青山)私は自由民主党の部会で何度も(そのことで)政府を追及しました。政府も困惑するわけです。なぜかと言うと、岸田総理をトップとした首脳の判断で開いていないのです。与那国の町長さんなどは、自由民主党の部会にわざわざおいでになり、憤激されていました。
飯田)中国がミサイルを撃ったときはNSCを開いていない。
青山)今回のように、北朝鮮のことで大騒ぎするのは正しいのですが、どうして中国に対してはしないのか。国民の安全、日本国の安寧を考えたら、これほど深刻な話はありません。
飯田)そうですね。
青山)北朝鮮がビジネスでミサイルを撃っては失敗する。特に偵察衛星のような高度な技術は、中国からもロシアからもきていない、あるいはハッキングによってもガードが固くて入手できないことはわかるわけです。
相手によって対応を変えるのであれば、NSCや国家安全保障局(NSS)は何のためにあるのか
青山)どのような危機においても対処しなくてはいけないのに、相手によって顔色を窺って対応を変えるなら、亡き安倍元首相が苦労の果てにつくったNSC、またはその下の、事務当局である国家安全保障局(NSS)がいったい何のためにあるのかと思います。
飯田)中国と北朝鮮で対応を変えるのならば。
青山)一般的にメディアはそういったことに触れませんので、やはり私たち主権者と、主権者の代理人である私を含めた国会議員、特に自由民主党の議員は責任が重いと思います。
台湾での麻生氏「戦う覚悟」発言 ~抑止力の根幹の部分であり、「戦争をしましょう」ということではない
飯田)台湾有事に関して、麻生太郎氏が「戦う覚悟」と表現しました。そのためには備えが必要ですが、全体としてはどうなのでしょうか?
青山)麻生さんの発言は、抑止力の概念の基本を言っているだけだと私は考えています。抑止力というのは戦争を防ぐために、第二次世界大戦の尊い犠牲のもと、人類が学んだことです。
飯田)第二次世界大戦の犠牲によって。
青山)平和を唱えるだけでは、平和を築くことはできません。「もしも戦争が起きたら重大な被害が自分にも起きる」と、例えば侵略を考える国に思わせること。それが抑止力です。戦争を抑止し、人が死なないようにする。
飯田)抑止力とは。
青山)しかし同時に、それを言うだけではなく、実際に相手が軍事行動を起こしたら「こちらも反撃する」ということが担保されて、初めて抑止力になるのです。
飯田)反撃が担保されて。
青山)その部分がいままですっぽりと抜けていたため、実は国際法のなかでも、日本でも馴染みのある国連憲章に明記されています。かつてはそのような考え方がなかったため、第一次世界大戦のあと、また第二次世界大戦が起きてしまった。国連憲章には、「国連加盟国は空軍の待機部隊を持て」とあります。世界のどこで紛争が起こっても「加盟国はそこへ空軍を飛ばし、武力を用いて平和をつくれ」ということが憲章に盛り込まれているわけです。
飯田)国連憲章に。
青山)ところが、日本には空軍がありません。航空自衛隊しかなく、軍法会議もないので、いざというときに行動できない恐れが非常に強い。
飯田)日本は。
青山)そういう根本的なことを言ったのであって、「戦争をしましょう」と言ったわけではありません。そのように受け取るのはおかしいと思います。
飯田)麻生氏の発言を。
青山)麻生さんはいままで失言もありましたから、「今回も失言か」と受け止められてしまうのは麻生さんの責任でもあるので、仕方がない部分もあります。しかし、発言の中身をフルテキストで見ると、抑止力の根幹を述べているのです。
飯田)抑止力の根幹を。
青山)あれを台湾で言うことは政治的に大きな意味があり、中国に対しては非常に大きな抑止力にもなる。現実的にも中国はすごく反応しており、「身の程知らず」と言ったのは、「憲法9条があるので何もできないではないか」という意味です。
飯田)なるほど。
青山)麻生さんは自由民主党の副総裁ですが、自由民主党はそもそも自主憲法の制定を掲げて1955年につくられた政党ですから、根っこの部分を言っているのです。
日本が「中国相手のときにはNSCを開かない」ことを北朝鮮はよく見ている
青山)北朝鮮に対しても、同じ抑止力を発揮しなくてはいけないのだけれど、中国が相手だと急に腰砕けになるようではいけません。北朝鮮もそれを見ています。「北朝鮮のときだけNSCを開いても十分な抑止力になっていない」ということを考える必要があります。北朝鮮のミサイル発射が成功しようが失敗しようが、それは私たちの姿勢の問題ですので。
憲法9条「国の交戦権は、これを認めない」は「国民が拉致されようが領土を奪われようが、何もできない」と書いてあるのに等しい
飯田)北朝鮮との向き合い方において、日本は拉致問題を解決しなくてはいけません。ミサイル発射などもありますが、その根っこは憲法に関わってきますか?
青山)憲法9条の最後に「国の交戦権は、これを認めない」と書いてありますが、相手が国ならば「国民が拉致されようが領土を奪われようが、何もできない」と書いてあるのに等しいです。
飯田)何もできないことと等しい。
青山)私たちよりも北朝鮮や中国、ロシアの方が、よほど憲法9条の意味を知っているわけです。だから、それを変えないと根本は動かない。拉致問題について言うと、情報は足りませんが、北朝鮮は飢えが進行していると思われます。これは国連も非常に懸念しています。
「横田めぐみさんは死亡している」など、これまで北朝鮮が言ってきた嘘を日本政府が認めれば、限られた拉致被害者を返す ~日朝首脳会談の実現に向けて動いていることは事実
青山)国連はいままでのルートがあるため、かなりの情報を集めています。独裁者のもとにミサイル技術などで外貨がかなり入っているのですが、一般の方々は、普通は冬に飢えが進行するはずなのに、夏にも飢え死にする人が出ているようです。
飯田)夏にも。
青山)あてになるのは外貨が大量にある日本の懐ですので、北朝鮮にとって(日本の拉致被害者のなかから)返すことのできる人だけを返し、その代わり北朝鮮がいままで言ってきた、例えば横田めぐみさんが死亡しているなどの嘘を「北朝鮮のおっしゃる通り本当でした」と日本政府に言えと。それをのむのであれば、いま名前は申しませんが、(亡き安倍さんも知っていた)ごく限られた人を返すと言っています。岸田さんがその通りにするわけではないですが、それを含めて日朝首脳会談に前向きだという話になっているのです。
飯田)日朝首脳会談に。
青山)動いているのは事実ですが、それでは逆に、他の被害者を取り返せない可能性もあります。家族会のおっしゃっている「全被害者の即時一括帰国」は建前ではありません。まさしく行わなくてはいけないことですので、大きな懸念があるのも事実です。
飯田)全被害者を取り戻すことができるのかどうか。
青山)ただ、安倍さんが亡くなったことで動き出したのも事実です。先ほど憲法のことで問題提起がありましたが、安倍さんがいなくなり、岸田さんの方がやりやすいという面はあるのです。安倍さんのときは警戒ばかりされていましたからね。
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