原油の自主減産を継続するサウジアラビアの「苦しい事情」
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年8月27日 17時50分
外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が8月25日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。原油の自主減産を続けるサウジアラビアについて解説した。
サウジアラビア、原油の自主減産を10月も継続する可能性
飯田)サウジアラビアが原油の自主減産を10月も継続する可能性が出てきました。
宮家)サウジアラビアも困っているのでしょうね。私が外務省に入ったころ、サウジの人口は約600万人だったのです。それがいまは3000万人を超えている。他方、サウジの原油生産量は、1日当たり1050万バレルくらいのままです。1200万バレル程度が最大ですが。
飯田)原油の生産量は。
宮家)実質的価値で言えば値段はそれほど大きく変わっているわけではないので、人口が増えれば一人当たりの所得は減ってしまいます。それでも金持ちだからまだ大丈夫なのですが。
これまでは「高すぎず、安すぎず」だったサウジアラビアの戦略 ~いまは「高め」にしようとしている
宮家)サウジアラビアの原油は世界一レベルの埋蔵量を誇ると言われています。しかし、あまり値段が高すぎると代替エネルギー開発が進み、もう石油はいらなくなってしまいます。
飯田)高いから。
宮家)いままでのサウジアラビアの戦略としては、あり余る埋蔵量の価値を最大化し、燃料として売り続けたい。売り上げ高全体、すなわち油価と埋蔵量を掛けたもの、を最大化するためには、値段は高すぎず、安すぎずの「そこそこ」がいちばんいいわけです。
飯田)高すぎず、安すぎず。
宮家)しかし、いまのやり方は間違いなく油価を高めにしようとしています。なぜかと言うと、昔のように少ない人口ではなく、今は人が増えている。イエメンで戦争もしているので、そこでもお金が掛かります。「脱石油の流れのなかで、サウジアラビアという王国を維持しなければならない」という強い使命感が、いまの皇太子にあることだけは事実です。
サウジアラビアのやり方に同調しないロシア ~産油国は必ずしも一枚岩ではない
宮家)そうは言ってもエネルギー価格、特に原油価格は水物です。産出量を減らせば値段が上がる時代もあるかも知れないけれど、いまロシアは必ずしもサウジのやり方に同調していません。だから今サウジはとても困っているのではないでしょうか。
飯田)ロシア産の原油もいろいろなところに……。
宮家)売っていますし、ブラックマーケットがありますからね。
飯田)それによって価格が下押しされているという話もあります。
宮家)ますますサウジは困るので、そうならないように何とか自分で減らしているのです。でも、前回のOPECプラス会合のときにはサウジが減産しようとしたけれど、ロシアはそれに乗らなかったと記憶しています。彼らは必ずしも一枚岩ではないのです。
飯田)産油国も。
宮家)その意味では要注意ですね。うまくいくかどうか……。苦しいサウジの状況は今後も続くのかも知れません。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
OPECプラス、12月から自主減産を縮小=関係筋
ロイター / 2024年9月27日 1時43分
-
サウジ、100ドルの原油価格目標撤回へ シェア確保優先=FT
ロイター / 2024年9月26日 18時29分
-
原油相場は安いのか?高いのか?
トウシル / 2024年9月17日 7時30分
-
OPECプラス8カ国、自主減産を2024年11月末まで2カ月延長で合意(中東、サウジアラビア、ロシア、イラク、アラブ首長国連邦、クウェート、カザフスタン、アルジェリア、オマーン)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月6日 15時50分
-
自主減産縮小を2カ月延期 OPECプラス
共同通信 / 2024年9月6日 12時2分
ランキング
-
1京都市バスが「非常事態宣言」 運転士不足、158人の増員必要
毎日新聞 / 2024年9月28日 9時51分
-
2フランス新首相の就任はEU瓦解への前奏曲だ 「民主主義を守る」戦争を止められないNATOとEUの限界
東洋経済オンライン / 2024年9月28日 9時0分
-
3知人男性を大和川に転落させ殺害容疑、背中のリュックには鉄アレイなど7キロの重り
読売新聞 / 2024年9月28日 9時53分
-
4“羽交い絞めにして口に焼きそば突っ込む”大阪府立消防学校の教育生5人が不適切な動画をSNS投稿 「悪ふざけで撮影しました」
MBSニュース / 2024年9月28日 10時0分
-
5「殺したのは私です」 警察が「王様」と誇った袴田巌さんの虚偽自白
毎日新聞 / 2024年9月28日 7時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください