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パリ五輪出場をかけて バスケ日本代表ジョシュ・ホーキンソンの「日本愛」と「恩返しの精神」

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年8月31日 17時20分

パリ五輪出場をかけて バスケ日本代表ジョシュ・ホーキンソンの「日本愛」と「恩返しの精神」

話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、バスケW杯を戦う日本代表の不動のセンター、ジョシュ・ホーキンソンにまつわるエピソードを紹介する。

1次リーグ・オーストラリア-日本。第4クオーター、シュートを決める日本代表のジョシュ・ホーキンソン(上)=2023年8月29日、沖縄アリーナ 写真提供:時事通信

バスケットボールW杯、世界ランク36位の日本代表は1次リーグE組最終戦(第3戦)で世界ランク3位のオーストラリアに力及ばず、89対109で敗戦。1次リーグ敗退が決まった。

だが、第2戦フィンランドとの試合で劇的逆転勝利を収めたことがここから生きてくる。今後の順位決定戦で「アジア最上位」を勝ち取れば、パリ五輪出場権を獲得できるからだ。

今大会に出場したアジア勢は6ヵ国。その内、1次リーグで勝ち星を挙げたアジア勢は日本のみ。最大のライバルと思われていた中国も3戦全敗と勝ちがつかなかった。順位決定戦は1次リーグの成績を持ち越して争うため、パリ五輪獲得に向けては、まだまだ希望がある状況なのだ(※オーストラリアはオセアニアエリアのためアジア勢には含まれない)。

『最初からゴールはアジア1位。絶対できると思うので、もっと頑張りたいと思います』

~『スポニチアネックス』2023年8月29日配信記事 より

オーストラリア戦の試合後、こう答えたのは今大会、ここまで大活躍の日本代表センター、ジョシュ・ホーキンソンだ。初戦のドイツ戦で9得点10リバウンドを記録すると、18点差をひっくり返しての奇跡的な逆転勝利を演じたフィンランド戦では、28得点19リバウンドのダブルダブル。最終的に20点差がついたオーストラリア戦でも両チーム最多の33得点、7リバウンドをマークした。

ちなみに、これまでのW杯(前身の世界選手権含む)では、すべての試合で相手チームにリバウンド数で負けていた日本。だが、フィンランド戦で初めて相手チームのリバウンド数「35」を上回る「36」のリバウンドを記録。その半分以上をホーキンソン1人でもぎ取ったことになる。まさに、「リバウンドを制するものはゲームを制す」を証明してみせた形だ。

1次リーグ終了時点で、総得点70点と平均得点23.3は大会全体で4位。36リバウンドと平均リバウンド12.0本は何と全体1位タイという好成績を収めた。日本代表入りは帰化申請が下りた2023年2月以降とまだ半年足らずだが、文字通り「日本の大黒柱」となっている。

アメリカ時代のニックネーム「ビッグホーク」にちなみ、日本名は鷹大(たかひろ)。チームメートやファンからは親しみを込めて「タカちゃん」と呼ばれているジョシュ・ホーキンソン。彼の魅力といえば、成績面もさることながら、ほとばしる日本愛も外せない。

生まれ育ったのはアメリカ・シアトル。高校まではバスケと野球の二刀流だったため、憧れの選手はMLBシアトル・マリナーズで活躍したイチローだった。

『来日前、日本で知っていたのはイチロー、任天堂、寿司の3つ。イチローがシアトルにいた時、みんなが彼のことを好きだったね。伝説的な選手だし、マリナーズ史上最高の選手の1人。イチローがプレーしているところを見て、僕はいつも度肝を抜かれていたよ。なんでもうまいからね』

~『スポーツナビ』2023年8月28日配信記事 より

その後、バスケに専念したワシントン州立大学時代には、“シーズン平均ダブルダブル”の活躍を見せてNBA入りも期待される逸材だった。ところが、NBAドラフトでは指名漏れ。失意のホーキンソンが選んだ進路こそ、イチローの母国・日本でプレーすることだった。

2017年、Bリーグ2部だったファイティングイーグルス名古屋でプロキャリアをスタートさせると、3年後にBリーグ1部の信州ブレイブウォリアーズへと移籍し、順調にキャリアアップ。来日7年目の今年(2023年)2月、ついに⽇本国籍取得を果たすとともに、日本代表入りも勝ち取ったのだ。

『日本でのプレーも長くなって、お世話になった方々に恩返しがしたいと考えた時、帰化のことを教えてもらいました。もっと日本のバスケットボールを盛り上げたい気持ちもありましたし、何よりも恩返しの気持ちで帰化を決断しました』

~『バスケット・カウント』2023年2月20日配信記事 より

まさに今大会での活躍ぶりは、これ以上ない「恩返し」のプレーだ。そして、宣言通り、日本のバスケットボールを盛り上げる一助となっている。

パリ五輪の切符をかけた順位決定戦は31日(木)と9月2日(日)。自力での五輪出場が実現すれば、1976年モントリオール五輪以来、48年ぶりの快挙だ。ますます盛り上がりそうな日本バスケの真ん中で、ホーキンソンがリバウンドをもぎ取り、得点を重ねる姿を期待したい。

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