操作性とは? 人間工学とは?
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年9月4日 17時20分
「報道部畑中デスクの独り言」(第337回)
ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム。今回は、エアコンや車の操作性・人間工学について—
残暑厳しい日々が続いています。東京都心は8月、すべての日で30度を超える「真夏日」となりました。熱中症にはくれぐれもお気を付けください。
寝苦しい夜は特につらいものです。エアコンは冷えすぎることもあり、私は昨年(2022年)までできるだけ扇風機や冷感マットでしのいでいましたが、ついに耐えられなくなり、最近は毎夜のエアコンが不可欠になってきました。電気料金の明細が怖い毎日ですが……。
ところで、エアコンのスイッチにもいろいろあります。思い浮かべるのは小さなボタンがびっしりと並ぶ縦長のリモコンですが、我が家のリモコンは卓上式で、これが最高なのです。
「かんたん見守りリモコン」と呼ばれるこのリモコンは、ボタンが大きく、温度調節や運転切り替え、風量、風向きがすべてダイヤル式のボタンで操作できます。文字も大きく、高齢者にも操作しやすいよう設計されたものですが、実は見事な“副産物”がありました。
寝ているときに温度を下げたい……そんなとき、人はどうしているのか? 眠いから目が開けづらい、部屋は暗くて見えない、でも電気をつけるのは面倒……こんな状況かと思います。このように何かあった場合、何かをやりながらのとき、手探りで操作できるスイッチというのは重宝なものです。
一方、スイッチと言えば感じるのは自動車の世界です。多機能になればなるほど、手探りにも限界が出てきます。
レバー、ボタン、タッチパネル……スイッチと称するものにはさまざまありますが、このなかで最も手探りに適しているのはレバーでしょう。代表的なものは変速機構。ひと昔前、クルマにはコラムシフトなるものが全盛でした。
ステアリングのわきから生えている棒状のレバーで変速するものですが、マニュアル車などはコラム部分に小さくシフトパターンが書いてあるだけでも、どのギアに入っているのかがわかりました。
それはフロアシフトもしかり、マニュアル車のギアの位置は、レバーがどこに向いているかでわかりましたし、オートマチックになっても、セレクターの位置はインジケーターだけではなく、手で触れてもおおよそ判別できました。レバーというのは人間が最も認識しやすいものであると、いまでも思います。
パーキングブレーキも同様。フロア式(ひと昔前はアンブレラ式という、ステアリングの左下に設置されているものもありました)は、ギーッとレバーを引くことで、耳で音を確認し、腕に力を入れることで感じ、さらに目でレバーの位置を確かめることで解除の有無がわかりました。
足踏み式になっても、踏む力で、ペダルの位置で、かかるラッチで確認ができました。機械的なものはすべて、こうした仕掛けでON/OFFを認識できました。
最近はどうでしょうか? 電動化が進むことで、変速機構は必ずしも機械的なレバーである必要はなくなりました。ボタン式、ダイヤル式、パドル式の「シフトスイッチ」も珍しくなりました。
こうした機構はインジケーターを見ないと、シフトポジションをほぼ認識することができません。また、電気自動車やハイブリッド車は、電気式変速機で、動かしたあとはレバーが中立位置に戻るものが多く、やはりインジケーターを見ないと確認できません。パーキングブレーキは電動式になると、小さなスイッチを押し引きすることで解除する仕掛けです。
冒頭のエアコンも、自動車のエアコンは、かつてはレバー式のみでした。そこからプッシュボタン、ダイヤル、タッチパネルをミックスした操作パネルに“進化”しています。
こうした操作は、慣れと言えばそれまでですし、デザイン的なスマートさ、未来感、省力化という意味では確かにこちらの方が優れているのかも知れませんが、視覚、触覚、聴覚も駆使できる操作性が、クルマの楽しさ、真の安全運転につながるのではないかと思います。いかがでしょうか? 私は旧い人間なのかも知れませんね。
とは言え、クルマの多機能化が進むにつれて、スイッチ類はどうしても多くなります。限られたスペースのなか、いわゆる「物理スイッチ」を無限に増やすわけにはいきません。多くの機能をどう使いやすくしていくのか……自動車エンジニアもジレンマに悩みながら、苦心を重ねているようです。
例えば、日産自動車のサイトでは「未来へのスイッチ」と題して人間工学チームの取り組みが紹介されています。ドライビングシミュレーターという実験設備を用いて、スイッチやダイヤルのレイアウトをミリ単位で調整し、設計に生かしていると言います。
電動化、知能化という「100年に一度の大変革」の時代……操作性をめぐる人間工学のあくなき探求が続きます。自宅のエアコンのリモコンを見て、こんなことを考えてみました。(了)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
スポーツライディングの革命児!! 自動変速機構を備えた「MT-09 Y-AMT」に試乗
バイクのニュース / 2024年9月24日 7時10分
-
バイク歴30年の筆者も負けを認めた!? ノンクラのMT「Y-AMT」はヤマハが辿り着いた「攻める走りへの裏ワザ」だった
レスポンス / 2024年9月9日 20時0分
-
【BYD ATTO 3 新型試乗】「BYD、選んで大丈夫?」その答えは…岩貞るみこ
レスポンス / 2024年8月31日 17時0分
-
AT車のシフトレバー「2」「L」「B」どんな意味? 実は…めちゃ「便利な機能」も! いつ使うの?
くるまのニュース / 2024年8月31日 7時10分
-
クラッチレバーもシフトペダルもない、ヤマハの自動変速バイク『MT-09 Y-AMT』9月30日に発売決定
レスポンス / 2024年8月30日 17時15分
ランキング
-
1「選対委員長」トレンドに 小泉進次郎氏の起用方針報道に賛否「セクシーな選択」「務まるの?」
日刊スポーツ / 2024年9月28日 15時17分
-
2「被災地来て」「防災省を」=自民・石破総裁に注文相次ぐ―石川県輪島市など
時事通信 / 2024年9月27日 19時35分
-
3新たに2遺体、死者13人に=続く災害、大きな爪痕―能登大雨1週間
時事通信 / 2024年9月28日 18時40分
-
4《芸能人とヤクザの黒い交際》「沖縄のドン」から追放された羽賀研二容疑者と弘道会幹部の20年の蜜月 「幹部から4億円を借りていた」
NEWSポストセブン / 2024年9月28日 17時30分
-
5党幹事長に森山氏、選対は小泉氏 菅前首相に副総裁就任を打診へ
共同通信 / 2024年9月28日 22時10分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください