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まさに「ミスター追加招集」 ラグビー日本代表に復帰した「山中亮平」というドラマチックな生き様

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年9月19日 17時20分

まさに「ミスター追加招集」 ラグビー日本代表に復帰した「山中亮平」というドラマチックな生き様

話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、ラグビーW杯フランス大会に挑む日本代表に緊急招集された35歳のベテラン、山中亮平選手にまつわるエピソードを紹介する。

【ラグビーW杯2023フランス大会】仏・ニースのコートダジュール空港に到着した山中亮平=2023年9月18日 フランス・ニース 写真提供:産経新聞社

ラグビーW杯プール第2戦でイングランドに敗れ、1勝1敗となった日本。もちろん、決勝トーナメント進出の可能性はまだまだあるが、これで次のサモア戦、最終アルゼンチン戦がますます“負けられない戦い”となった。

この状況で、7月のテストマッチから日本の攻撃面を牽引してきたセミシ・マシレワの負傷離脱は痛い。そんな日本代表の起爆剤となってくれそうなのが、代わって緊急招集された35歳のベテラン、山中亮平(コベルコ神戸スティーラーズ)の存在だ。

山中は前回大会でも活躍した日本屈指のフルバックであり、そもそも8月15日のW杯登録メンバー発表で名前がなかった際も、各メディアで「サプライズ落選」と報じられたほど。それだけに、待望論は根強かった。

その落選時、山中が「X」(旧ツイッター)で残したコメントも、ファンの間では注目を集めた。

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『ワールドカップフランス大会のメンバーに選ばれませんでした。

この1週間いろいろ考えてこのまま諦めるのは性に合わないので山中は、2027年のワールドカップ目指します。

自分になにが足りなかったのか。もう一度自分を見つめ直す。年齢とかそんなん関係ない。できるできへんじゃなくてやるかやらんか。

ラグビー人生、第3章のスタートです』

~山中亮平 公式X(2023年8月15日投稿画像)より

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今回の追加招集の発表後、山中自身がこの投稿をリポストして「第2章がまだ終わってなかった」とつぶやいたこともまた話題となっている。

振り返れば、山中ほど代表活動がドラマチックな男はそうそういないだろう。昔から、故障者が出るたびに代表に招集されることから、「ミスター追加招集」と呼ばれてきただけに、今回の緊急招集でかつての異名を思い出したファンも多いのではないだろうか。

若かりしころの山中はスタンドオフのスター選手として、東海大仰星高と早稲田大学で全国制覇を経験。大学卒業後の2011年、23歳でW杯の代表候補に選出された。ところが、口ひげを伸ばすために使った塗り薬に禁止成分が含まれていたことで出場停止処分を受け、代表入りは叶わず。それどころか、ドーピング目的ではなかったと認定されながら、2年間も公式戦に出られない日々を過ごした。

2015年のW杯もずっと代表候補に留まりながら、最後の最後で落選。それでも目の前のプレーをコツコツと積み上げ、ポジションをスタンドオフからフルバックに変えて臨んだ2019年、31歳にしてW杯初出場。開幕戦からメンバーに名を連ね、決勝トーナメント進出が決まったスコットランド戦では勝利を決める最後のプレーを山中が担当。このプレー時の瞬間最高視聴率が53.7%を記録したことから「瞬間最高視聴率男」の異名がついたほどだ。

前回大会終了直後、山中本人に話を聞く機会があったが、何度も直前で代表入りを逃してきたからこそ、「やっとこの場所まで来たんだ」とW杯初出場への感慨を話してくれた。

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「W杯前はベンチにも入れない状況が続き、『1試合でもいいからW杯に出られたらいいな』と思っていました。でも、そこから評価してもらって開幕戦で先発に。あの試合で、満員のスタジアムで日本代表として国歌を歌えたことが一番嬉しかったですね。『やっとこの場所まで来たんだ』と。それまで経験したことのない感覚で、言葉には表せられない興奮がありました」

~2019年10月 山中亮平の言葉

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ちなみにこのとき、4年後……つまり今回のフランスW杯への意気込みも聞いたところ、当時の山中はこんな言葉を残していた。

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「4年後は考えられないですね。35歳でバックス、は難しいものがあります。『4年後も出ます』とは簡単には言えないけど、現役は続く。まずは神戸での次のリーグ優勝に向けて目標を切り替えていきたい。日本代表に呼ばれればもちろん参加しますが、先のことよりも目の前のことに全力を尽くしたい」

~2019年10月 山中亮平の言葉

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まさに目の前のことに全力を尽くし続けた結果、35歳になったいまも日本屈指のフルバックとしての地位を保ち続け、W杯の切符を掴みとることができたわけだ。

筆者、そしてファンが山中の存在を頼もしく感じるのは、代表随一のキック力を活かしたプレースタイルがまず1つ。そして、自身がずっと“代表を逃してきた経験”があるからこそ、試合に出られない選手のことも考えられる点だ。

4年前のW杯の際も、スコットランドを撃破して決勝トーナメント進出を決めた直後、直前で代表入りを逃した布巻峻介とのツーショット写真をSNSに投稿。その思いをこう話してくれた。

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「ヌノ(布巻)は仲のいい、可愛い大学の後輩です。代表合宿でもずっと部屋が一緒で、しんどい時も励まし合いながらやってきました。だから、ヌノがメンバーから外れたときは悲しかったですけど、その後もヌノは試合前に『頑張ってください』と連絡をくれたんです。『出たくても出られない奴がいるんだから、しっかり頑張ろう』と思ってW杯ではプレーしました」

~2019年10月 山中亮平の言葉

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今回も、怪我で戦列を離れたマシレワ、さらには代表入りを逃した他の選手たちの思いも背負ってプレーしてくれるはず。ここからますます「ワンチーム」としての総合力が問われる厳しい戦いにおいて、その仲間思いの生き様は重要なファクターだ。そんな男のラグビー人生第2章の結末にどんなドラマが待っているのか。W杯はここからが正念場だ。

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