たかはしべん、音楽生活45周年 宮沢賢治『雨ニモマケズ』を現代風に書き直した「意図」
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年9月21日 17時20分
それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。
埼玉県川越市を拠点に活動するシンガーソングライター「たかはしべん」さん。昭和24年生まれの74歳です。ニット帽に、まんまるメガネがトレードマーク。いつもニコニコと笑顔が絶えず、こちらまで笑顔になってしまいます。
北海道・富良野の隣にある芦別市出身のべんさんは、子どものころ「山の向こうには何があるんだろう」と思いをめぐらし、夜になると満天の星空を眺めては夢をふくらませるような少年でした。
父親は炭鉱で働く電気技師。昭和30年代、芦別の炭鉱町には約1万5000人が暮らしていたそうです。映画館や大きな病院もあり、幼稚園、小学校、中学校からは子どもたちの元気な声が溢れていました。
「冬はスキーやスケート、春は野原で野球、夏は川遊び、秋は山菜採り。遊びのタネはいくらでもありましたよ」とべんさんは目を細めます。
ところが炭鉱が斜陽産業になると、活気のあった町を不況の嵐が襲います。仕事が減って賃金の支払いが遅れたり、出なかったり……。
「お金がないのに父は酒を飲んでばかりで、母とのケンカが絶えない。だから私は、学校から家に帰りたくないような子どもになっていましたね」
とうとう炭鉱が閉山になって、北海道から千葉県へ移り住んだのは、中学3年生の夏休みでした。
フォークソングとの出会いは高校1年生のとき。友達から「このレコードがいいから聴いてみな」と渡されたのが、キングストン・トリオの『500マイルもはなれて』だったそうです。それがきっかけで、社会的なテーマを歌ったアメリカのフォークソングに興味を持つようになりました。
高校を卒業後、電電公社(現・NTT)に就職し、川越に配属されます。当時は学生運動が盛んで、若者の関心事は安保やベトナム反戦運動。べんさんはフォークソングを歌うことで社会活動に関わっていこうと、アマチュアのシンガーソングライターになり、歌をつくっていきます。
「当時、子どもの自殺が多かったので、子どもの悲しみを書いた『空をとぶ子供』を自主制作でレコードにしたら、新聞やテレビ、週刊誌で紹介され、とても評判がよかったんです」
結婚して子どももいたべんさんでしたが、安定した会社を辞め、歌手一本でいこうと決意。44年前、30歳のときでした。
歌い続け、来年(2024年)で音楽生活45年を迎える、たかはしべんさん。その原点を伺うと、「宮沢賢治」だと言います。
「炭鉱が閉山したとき、子ども心に貧困のつらさを知りましたね。そのころ『雨ニモマケズ』を読んでショックを受け、『宮沢賢治のように生きてみたい』と思ったんです。SDGsの17の目標は、1番目が『貧困をなくそう』で、2番目が『飢餓をゼロに』。『雨ニモマケズ』の延長は、SDGsにつながると思うんですよ」
たかはしべんさんは「子どものしあわせ」や「ペーソスのある笑い」をテーマに、400曲を創作。全国を旅し、一貫して子どもたちの幸せや平和を歌っています。保育園・幼稚園・小学校・中学校なども含め、日本全国で5000回のコンサートを開催してきました。
「子どもたちの前で歌うのが好きなんです。子どもの笑っている顔が大好き。立ち上がってゲラゲラ笑っている子どもを見ると、こっちも幸せになります。しかし、豊かに見える現在の日本でも、なかなか食べられない家族もあって、7人に1人の子どもが貧困だと言われています。そういう子どもたちに夢を届けたいという気持ちで歌っています」
いまから4年前、ふと「いまこの時代に宮沢賢治が生きていたら、どんなことを感じるだろうか」と思いつき、『雨ニモマケズ』を現代風に書き直してみたそうです。
「コンサートで歌うと会場に笑い声がこぼれるんですよ。賢治さんに怒られるのではないかと思いましたが、心の広い賢治さんのことです。きっと笑って許してくれるでしょう!」
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
宮沢賢治の音楽が甦る特別な夜 ー国指定重要文化財で味わうナイトコンサートー [ SEE SHUN-KAN 青春館コンサートシリーズ ]
PR TIMES / 2024年9月25日 12時59分
-
《調子に乗っていた》「DA PUMP」脱退から18年…2児の父となったSHINOBUが続けていた芸能活動「もう一度、積極的にという気持ちはありません」
NEWSポストセブン / 2024年9月19日 10時59分
-
特集は「北極・南極から考える地球の未来」/パリ五輪金メダル・堀米雄斗さんが登場/舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」の裏側に潜入/小中学生向けニュース月刊誌『ジュニアエラ』10月号、9月13日(金)発売
PR TIMES / 2024年9月16日 22時40分
-
「大人になるって、素敵」菊池桃子、年を重ねて気づいた“本物”になるということ
週刊女性PRIME / 2024年9月14日 21時0分
-
クルド民謡で賢治の詩を表現 情景重ね、東京で下旬公演
共同通信 / 2024年9月14日 16時22分
ランキング
-
1まだ「Windows10」を使ってます。早くアップデートしないとマズイですか? 【パソコンのプロが回答】
オールアバウト / 2024年9月28日 20時15分
-
2「エコ機能なのに…」なぜ廃止? 「アイドリングストップ」見かけなくなった? 「振動がヤダ」の声も! スイッチ無くなった理由とは
くるまのニュース / 2024年9月27日 9時10分
-
3プロテイン、クリーム系パスタ、早食い…「おならが強烈に臭い&便がでない人」の特徴と対策
ananweb / 2024年9月28日 19時30分
-
4ランチ代の節約に、240円の「カップヌードル」ばかり食べています。栄養面が心配ですが、普通のランチより“節約”はできてますよね…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年9月27日 2時20分
-
5ワークマンの史上最強「上下セット防水防寒着」が登場 保温性・防水性・使い勝手の良さを満たしたハイスペックウェア
Fav-Log by ITmedia / 2024年9月27日 21時25分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください