中国報道官が「台湾独立分裂勢力を叩く目的」と言った「2つの狙い」 台湾海峡周辺で中国軍が軍事演習
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年9月28日 11時35分
杭州アジア大会の開会を宣言する中国の習近平国家主席=23日、中国・杭州(共同)
作家で自由民主党・参議院議員の青山繁晴が9月28日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。台湾海峡周辺で行われた中国軍の軍事演習に関して、「台湾独立分裂勢力の横暴と謀略を断固として叩く目的だ」と述べた中国報道官の発言について解説した。
中国報道官が「台湾独立分裂勢力の横暴と謀略を断固として叩く」と強い言い方をした2つの意味 ~1つは台湾総統選への圧力
飯田)中国・国務院の台湾事務弁公室は9月27日、中国軍が最近、台湾海峡周辺で演習を行っていたと発表しました。朱鳳蓮報道官は会見のなかで、「台湾独立分裂勢力の横暴と謀略を断固として叩く目的だ」と述べています。
青山)習近平政権の異常な姿勢ですね。報道官がわざわざ「台湾独立分裂勢力の横暴と謀略を断固として叩く」と発言するのは、いつもの言い振りと言えば言い振りなのですが、それにしても異様に肩に力が入っています。
飯田)力が入っていますよね。
青山)理由はおそらく2つあって、1つは来年(2024年)、相次いで世界の首脳の選挙があります。「惑星直列の年」と私は言っているのですが、日本も予定通りであれば、自由民主党の総裁選挙が2024年9月に行われます。
飯田)そうですね。
青山)アメリカは11月に大統領選挙があります。その2024年1月、いわば惑星直列の冒頭に台湾の総統選挙があるのです。
飯田)台湾の総統選挙。
青山)蔡英文総統はきちんと台湾でのルールを守り、(次の選挙には)出馬しません。親中派の国民党は、ここがいまの民進党から政権を奪うチャンスと見ているわけですが、全体の情勢としては、蔡英文さんほど次の民進党候補の人気がありません。それでも、やや有利ではないかと中国国内でも見られています。
飯田)民進党候補の方が。
青山)総統選までには半年ほどありますが、「独立派である民進党候補がまた総統になるようなことがあれば、中国は武力侵攻も辞さない」という姿勢を見せている。簡単に言うと台湾国民を脅して、いまの選挙情勢をひっくり返し、国民党の総統誕生に結びつけようというのが普通の狙いです。
飯田)普通の狙い。
中国の外務大臣と国防大臣が相次いで解任された背景にあるもの ~実戦経験のない中国軍は台湾有事でアメリカ軍と戦いたくない
青山)しかし実際には、もう1つ隠れた狙いがあると考えています。このごろ中国で外務大臣が行方不明になっていますよね。
飯田)秦剛氏ですね。
青山)どうもアメリカのスパイ扱いをされているらしいのです。女性スキャンダルが表に出ていますが、本当はスパイ疑惑ではないかということが1点目です。それだけでも驚きだったのですが、次に国防大臣が突然、いなくなりました。
飯田)李尚福さん。
青山)この人は軍出身の国防大臣でしたが、外務大臣も国防大臣も両方、習近平国家主席が気に入って任命した人だったので、「これは一体何だ」という事態になっています。
飯田)何が起こっているのかと。
青山)国防大臣の解任劇の背景には、「中国軍が台湾有事を行いたくない」ということがあるようです。平たく言うと、中国軍は図体はとても大きいのですが、実戦経験がありません。陸軍は遥か昔に中越戦争を行いましたが……。
飯田)ベトナムとの間の。
青山)そこでは負けています。負けたからといって経験がないわけではなく、貴重な実戦経験なのですが、空・海軍はゼロです。まったく戦ったことがありません。
飯田)空・海軍は。
青山)そこで逆に、実戦経験豊富なアメリカ軍の空・海軍の存在があります。台湾には台湾海峡がありますが、私たちが思っているよりも広いので、空・海軍の勝負になります。中国軍としては、実戦経験がないなかで米軍とはやりたくないのです。
フィジーで米軍と会った中国軍から「戦いたくない」という意向が米軍側に伝わったのでは
青山)その動きがちらほらと見えるようになっています。例えば8月半ばに、アメリカ軍で太平洋を管轄しているインド太平洋軍のジョン・アクイリノ司令官が、太平洋のフィジーで中国軍と会っています。
飯田)フィジーで。
青山)そのときの中身は軍同士なので当然、出ていませんが、私の個人的な見方としては、中国軍からさりげなく「戦いたくない」という意向が米軍側に伝わったのではないかと思います。
北戴河会議で「戦争をやりたくない」という姿勢を取った中国軍の首脳 ~「台湾有事はないのでは」を覆すための報道官の発言か
青山)また、北戴河という有名な海辺の保養地があります。そこで長老会議をいつも行うのですが、この夏に異変があって、かつて鄧小平さんと仲のよかった軍の首脳である遅浩田さんが出てきました。
飯田)軍の首脳。
青山)そこでは一言も発しなかったのですが、いわば無言の圧力で、「戦争をやりたくない」という姿勢を取っていたのではないかと思います。そのようなことから「実は台湾有事はないのではないか」という話が出てきたので、ここで演習を行い、「いやいや、やるんだよ」と示す。特に総統選挙で台湾の人々がまた民進党を選ぶのであれば、「やはりやるのだ」というポーズなのではないかと考えています。
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