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キオクシア、米半導体WDとの経営統合「白紙」 官も含めてサポートする必要がある

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年10月30日 18時30分

キオクシア、米半導体WDとの経営統合「白紙」 官も含めてサポートする必要がある

元日本銀行政策委員会審議委員でPwCコンサルティング合同会社チーフエコノミストの片岡剛士が10月30日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。半導体大手キオクシアと米ウエスタンデジタルとの経営統合について解説した。

※画像はイメージです

半導体大手キオクシアと米ウエスタンデジタルとの経営統合が白紙に

半導体大手キオクシアホールディングスとアメリカの半導体メーカー・ウエスタンデジタル(WD)の半導体部門との統合交渉が白紙に戻る見通しとなった。協議は大詰めを迎えていたが、キオクシアに間接出資する韓国のSKハイニックスの同意を得られなかったことが主な要因とみられる。

飯田)東芝の半導体事業「東芝メモリ」などが前身のキオクシアと、米WDの経営統合について、煮詰まってきたという報道も一部にはありました。

半導体の需要が想定より進んでいないなか、業界3位と4位が統合 ~あまり強くなられては困る韓国サイド

片岡)背景の1つに、足元の半導体全体の市場動向があまり芳しくないことがあると思います。世界経済の流れとも直結していると思いますが、特に中国経済の動向があまり盛り上がっていない。そのなかで、いろいろな物づくりに必要な半導体の需要が、全体として当初の想定ほど進んでいないのです。

飯田)半導体の需要が。

片岡)こういう流れのなかで業界の3位と4位が統合し、より収益構造を強化するというのが、今回の合併における1つの目的だったと思います。それに対して、韓国側の会社が「あまり強くなられると困る」ということで経営統合に反対している。むしろキオクシアの方を韓国サイドが経営統合したいのではないでしょうか。

飯田)なるほど。

片岡)そういう思惑もあるのではないか、という話がまず1つあります。

官も含めてサポートする必要がある ~どの程度、政府が介入して市場シェアを維持するか

飯田)一方で半導体に関しては、経済安全保障の文脈でも語られることがあります。

片岡)日米同盟のようなものに対して、半導体大手である韓国のサムスン電子などがありますが、そのような企業がどの程度の影響力を行使するかという問題でもあるわけです。日本の半導体の競争力で言うと、最先端技術を必要とするような半導体分野において、ほぼ日本の競争力がない状態です。

飯田)最先端技術を必要とする半導体分野では。

片岡)自動車等々に使われる半導体のように、超高級・高品質ではないけれど、汎用性の高い分野でどれだけ市場シェアを取れるか。いまの勝負において、そこで黙っていると上手くいかないと思います。経済安全保障の文脈で言うと、汎用性が高く、日本が競争力を保持できそうな分野に対して、民間だけではなく、官を含めてサポートする必要があるのではないか。それが経済安全保障分野における、半導体市場の日本の眼目の1つだと思います。

飯田)官も含めてサポートする。

片岡)この分野における一企業の問題ではあるけれど、どの程度、政府が介入し、全体の市場シェアを維持する形で産業政策を行うべきかという問題に直面していると思います。

かつての円高の状況と違い、日本にとっては追い風になっている部分がある

飯田)かつて、いろいろなメモリの会社や日の丸半導体と言われるものがありましたが、あまり上手くいきませんでした。

片岡)ただ、過去に上手くいかなかった理由には、当時の円高がありました。マクロ的な環境で、いくらコストカットして一生懸命、効率化しても、一企業に対応できるのは年に数%しかない。数十%レベルで円高が進んでしまうと、経営努力は無になってしまいます。しかし、円高から円安になり、なおかつ半導体に限らず、いろいろなところで日本のよさが見直されつつある。海外から工場進出するなど、日本にとっては追い風になっている部分もあります。

飯田)そうですね。

片岡)マクロ的には追い風になっている。しかし、各産業ごとにいろいろな問題があり、そこを「どう是正したらいいのか」という問題に、いまの日本は立っているのです。過去には、いろいろな産業政策の手続きを取っても、マクロ環境が悪いので、まったく意味がなかったわけです。いくらやっても、ほとんど効果がなかった。

マクロ環境が変わり、産業政策を行えばそれなりの効果が出るはず

片岡)ただ、今回はマクロ環境がそこそこ変わってきているので、いろいろな産業政策を行っても、それなりの効果が出てくるのではないでしょうか。私自身はやる価値があると思います。

飯田)むしろいまこそ。

片岡)ここでやらなければ、おそらくこれまで以上にポジションが後退していくのは必至です。そういう状況を是正するのであれば、どんどんやるべきだと思います。

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