イスラエル・パレスチナ情勢について議長国として日本がするべきこと 東京でG7外相会合開催
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年11月7日 11時55分
外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が11月3日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。イスラエルとハマスの戦闘について解説した。
イスラエルとハマスの戦闘が湾岸諸国全体に広がることで懸念される原油価格の高騰
飯田)イスラエルとハマスの戦闘が拡大し、湾岸諸国全体に広がれば大変なことになります。
宮家)当然、石油・ガスの供給に関わってきます。世界銀行の原油価格に関する報告書がありますが、下手をすると「1バレル当たり150ドルくらいになるのではないか」という話もあります。
日本でG7外相会合が開催 ~G7で方向性を出さなければいけないところまで来ている
宮家)しかし、いまの状況ですぐに戦火が拡大するとは思いません。イランはアメリカの力を弱めたいとは思っていますが、直接アメリカと戦争をしたいわけではありません。直接手を下さずに、ハマスだけではなく、ヒズボラや……。
飯田)レバノンの。
宮家)いろいろな人たちを使い、アメリカの権益に対して攻撃しているのです。アメリカもそれをわかっています。しかし、直接攻撃してしまったら、戦闘は湾岸にも飛び火してしまう。そうするとイラン側にも対抗措置があるので、「石油・ガスのタンカーが通るホルムズ海峡で何かあったらどうするのか?」という話になるのです。そこはアメリカもよくわかっている。たまたま、今回は日本でG7外相会合がありますよね。
飯田)11月7日から。
宮家)ブリンケンさんは中東を回ったあと、今度は日本に来て、韓国に行き、そしてインドにも訪問します。これはどう見てもインド太平洋シフトではないですか。
飯田)そうですね。
宮家)つまり、中東とインド太平洋は同じ戦域なのです。それが今回、ブリンケンさんの訪問ではっきりとわかった。逆にG7で何をするかと言うと、ただ単にインド太平洋やウクライナではないのです。当然ながら中東とインド太平洋地域、もしくは中東とウクライナ・欧州は密接に関連しており、これを全体的に見た上で、G7で方向性を出さなければいけないところに来てしまっているのです。
飯田)全体を見た上で。
宮家)簡単に言えば、これ以上、中東での事態を拡大させないことです。拡大して喜ぶのは中国とロシアですから、それをどう抑えるのか。アラブ諸国などに関してはブリンケンさんが働きかけを進めてきましたが、今度のG7の場で、初めて「G7としての方向性を出そう」ということになるわけです。いままで、いろいろなステートメントが出ていますが、あれはG7の枠組みではありません。いろいろな経緯があってNATO主要国を中心に議論が進んできましたが、今回は正式な会合が開かれる以上、G7としての方向性が出る最初の機会になると思います。
G7外相会合では議長国としての日本の努力が必要
飯田)G7各国のうち、日本を除く6ヵ国で共同声明が出されました。それに対して、「なぜ日本が入らないのか」と問われた際、松野官房長官が「邦人被害が出ていないから」という発言をしてしまった。それもあるのかも知れませんが、石油やエネルギーなどを考えると、日本の関わり方は他国と違う部分があるのでしょうか?
宮家)いろいろな議論がありますが、これまでの伝統的な中東政策があり、エネルギーも含めて慎重に動いてきました。しかし、今回のように幼児まで含めた民間人を大量に虐殺し、それで「どうなのか」と言われたら、私ならこう考えます。例えば、ならず者が武器をたくさん持って無差別殺人を行い、どこかに立てこもった場合、警察に通報しますよね。そこで「ならず者も警察も、双方とも自制してください」とはなりません。
飯田)そうですね。
宮家)日本もそれがわかっていてイスラエルの自衛権を認め、(ハマスの行為は)テロ行為だと認めているので、これまでの流れから言うと、それほど他の国々と対応が違うとは思いません。今回はG7としての見解を出さないといけないので、日本の議長国としての努力が必要になると思います。
飯田)上川外務大臣もイスラエルを訪問し、コーヘン外相と会談しています。上川さんは上川さんで寝ずに動いている感じですよね。
宮家)そうだと思います。日本の国会もあるので大変ですね。
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