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「中国につく、日本につく」とはならないASEAN諸国との今後の関係

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年11月7日 17時30分

「中国につく、日本につく」とはならないASEAN諸国との今後の関係

ジャーナリストの須田慎一郎が11月6日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。岸田総理のフィリピン・マレーシア訪問について解説した。

2022年11月17日、日中首脳会談~出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202211/17apec.html)

2022年11月17日、日中首脳会談~出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202211/17apec.html)

岸田総理大臣がフィリピンとマレーシアを訪問

岸田総理大臣は11月3~5日までの日程でフィリピンとマレーシアを訪問した。フィリピンではマルコス大統領、マレーシアではアンワル首相とそれぞれ会談し、中国を念頭に安全保障分野での連携を強化していくことで一致した。

ASEAN中心に「政府安全保障能力強化支援」を展開 ~フィリピンにレーダーを納入

飯田)岸田総理は一連の日程を終えて、5日夜に帰国しました。12月に東京で日本とASEANの特別首脳会議が開かれることもあり、前捌き的なものでしょうか?

須田)中国の脅威にどう向き合っていくのかというところで、「民主主義という価値観を共有する国々で連携していこう」という方針なのだと思います。ただ連携するだけではなく、「日本からも応分の協力を行う」というところで、「政府安全保障能力強化支援」の枠組みができました。これは武器の供与ではなく、防衛力のインフラ整備です。これをASEAN中心に展開する戦略なのだと思います。

飯田)インフラ整備に関しては、フィリピンにレーダーを出したり、今回の訪問でも大型巡視船の追加供与など、いろいろなことが出ています。

中国と日米を天秤に掛けるマレーシア

須田)武器というラインには振れないような形で、インフラ整備については日本も積極的に提供していくのだと思います。ただ、マレーシアは日米寄りというよりも、首相は中国にも2回ほど行っています。「両睨み戦略なのかな」という気もしなくはありません。

飯田)マレーシアは、昔は東方政策があり、「日本を見習え」とマハティールさんが提唱して自動車をつくるなど、日本も支援していました。しかし、最近は中国の存在感がASEAN各国でも大きいのでしょうか?

須田)経済協力を含め、中国の魅力は非常に大きいので、天秤に掛けているのではないでしょうか。それが東南アジアの国々なのだと見ておくべきだと思います。

中国に警戒心を持つも経済的依存度が高いベトナム

飯田)海沿いのフィリピンやベトナムなど、実際に向き合っている国とそうではない国とでは温度差がありますか?

須田)ベトナムもかつては中越戦争を経験しています。中国に対する警戒感はあるのですが、その一方で中国に対する経済的依存度は非常に高いです。その辺りを日本がどのように捉えていくのか。

飯田)日本は白黒はっきりつけずに付き合えるところがあるのでしょうか?

須田)日本としても、「白黒はっきりつけろ」と要求するのではなく、いかに関係を深めて取り込んでいくのか、あるいは関係を強化していくのかが1つのポイントだと思います。

2022年11月17日、日中首脳会談~出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202211/17apec.html)

2022年11月17日、日中首脳会談~出典:首相官邸HPより(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202211/17apec.html)

「中国につく、日本につく」ということにはならないASEAN諸国 ~そのなかで日本の存在感をいかに高めていくか

飯田)今回の訪問はフィリピンとマレーシアでした。12月には東京で日ASEANの特別首脳会議がありますが、各国が集まると玉虫色のものしか出てこなくなりますか?

須田)それぞれの国で事情が違いますからね。ASEANという1つの括りになってしまうと、なかなか「中国につく、日本につく」ということにはならないと思います。

飯田)「完全に向こうに行かないようにする」ということが安全保障上でも大事になりますか?

須田)そうですね。両天秤のなかで、日本の存在感をどのように高めていくのか。5:5ではなく6:4、7:3にするような戦略なのだと思います。

近付きつつある中国とオーストラリア

飯田)朝刊の国際面に掲載されていますが、上海で国際的な博覧会が開かれ、そこにオーストラリアのアルバニージー首相が出席したようです。オーストラリアと中国の関係が少し近付きつつあるというような報道もありますが、風向きが変わってきているのでしょうか?

須田)風向きが変わったというより、現実路線だと思います。オーストラリアの報道によれば、日本とは日豪軍事同盟のような枠組みのなかで成り立っています。日本も中国との経済的な関係は強いですよね。これまでオーストラリアは、中国とは逆振れしていたので、少しずつ戻ってきているのだと思います。

飯田)大勢としては、それほど変わりないということですか?

須田)そうですね。

飯田)日本、オーストラリア、アメリカ、あるいはそこにインドを加えた枠組みは大事になってきますね。

中国との完全なデカップリングは不可能

須田)経済的な相互の結びつきが強かったので、完全なデカップリングは100%不可能なのです。オール・オア・ナッシングという戦略は取り得ない。どこと結びついて、どこを切っていくのかということだと思います。

飯田)経済安全保障上、大事なものに関しては切り離していくけれど。

須田)特に半導体や通信などは部分的なデカップリングになりますが、製造業などについては協力し合うような状況になると思います。

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