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「バウアー語録」で振り返る サイ・ヤング賞投手激動の1年

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年11月8日 17時20分

「バウアー語録」で振り返る サイ・ヤング賞投手激動の1年

話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、2023年のプロ野球を熱く盛り上げたひとり、横浜DeNAベイスターズでプレーしたトレバー・バウアー投手にまつわるエピソードを紹介する。

【プロ野球セ・リーグCSファーストステージ・広島対DeNA】DeNA練習。カメラを構えながら手を振るDeNA・トレバー・バウアー=2023年10月13日 マツダスタジアム 写真提供:産経新聞社

【プロ野球セ・リーグCSファーストステージ・広島対DeNA】DeNA練習。カメラを構えながら手を振るDeNA・トレバー・バウアー=2023年10月13日 マツダスタジアム 写真提供:産経新聞社

日本シリーズが終わるや否や、ソフトバンクと巨人との間でのトレード情報が駆けめぐるなど、早速動きだしたストーブリーグ。このオフの動向が注目される選手と言えば、DeNAのバウアーだろう。

来日1年目で10勝4敗。そして2度の月間MVP受賞と、元サイ・ヤング賞投手の肩書き通りの素晴らしい投球を見せてくれた。そして、投球内容以外でも、試合後のインタビュー、そして自身のYouTubeで語る「言葉」にも人を惹きつけるものがあった。

今回は、今季のバウアーが発した「言葉」を振り返りつつ、希代のサイ・ヤング賞投手が日本球界にもたらしたものを改めて考えたい。

■「投げる科学者」として

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『きょうは3つのミスがあった。球種の選択、精度、ゲームプラン。3つも重なったらいい結果にはならない』

『打たれたのはほとんど変化球。もっと直球を投げるべきだった。米国での投球スタイルを続けているが、今は違うリーグ。もっと相手を知り、学ばなければいけない』

~『スポーツ報知』2023年5月9日配信記事 より

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鳴り物入りで日本球界デビューを果たし、初戦で見事に勝利を収めたバウアー。だが、勝った試合以上に、負けた試合でも真摯にコメントを残すバウアーの言葉にこそ印象深いものは多い。

例えば、来日初黒星となった5月9日の巨人戦。どこが悪かったのかを的確に表現するその言葉からは、「投げる科学者」の異名通りの印象を受けた。また、「もっと相手を知り、学ばなければいけない」というコメントからは、日本野球を下に見ず、真摯に向き合うリスペクトの姿勢も感じることができた。

■ヒーローインタビューは日本の文化

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『日本の野球観戦で、アメリカより優れていることの1つ。お客さんが選手と交流、掛け合いではないけど、選手の生の声を聞く機会はなかなかない。ヒーローインタビューは素晴らしい』

~『日刊スポーツ』2023年6月15日配信記事 より

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初登板初勝利のお立ち台では「ヨコハマシカカタン!」。2勝目の試合後には「ヨコハマ、ダイスキ!」と第一声。さらに、来日初完投を挙げた試合では「ヨコハマ、サイコッチョー!!」と、印象深いフレーズでヒーローインタビューに彩りを与えていたバウアー。

その根底にあるのはファンサービスの精神だ。そして、試合後のヒーローインタビューこそ、アメリカ野球にはない、日本野球ならではの素晴らしい文化だとバウアーが認めていたのが印象深い。

ちなみに、人気を博すバウアーのYouTubeでは、日本のプロ野球を初めて観戦した試合の様子をレポート。その際も熱く語っていたのは、ヒーローインタビューがエンタメになっていることへの驚きについて。さらに、「ヒーローインタビューでぬいぐるみがもらえるの?」と通訳に質問していた様子が収められている。

「僕がヒーローになるたびにぬいぐるみをもらっていたら、もう一部屋借りなきゃならないね……そうなるといいな」と語っていたバウアー。集めたぬいぐるみはその後、どうしたのだろうか?

■YouTuberバウアー

バウアーのYouTubeと言えば、日本のさまざまなスポットを訪ねる様子も人気のコンテンツ。ある休養日には両親とともに東日本大震災の被災地の福島を訪れ、海外のファンに向けて何が起こった場所なのかを丁寧にレポートする姿もあった。

他にも、広島の原爆ドームや大阪の道頓堀など、さまざまな場所からレポートを続けたバウアー。その狙いを次のように語っている。

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『人として成長できる部分はあると思います。野球選手である前に人としての成長が何らかの形で野球選手としての成長にもつながるんじゃないかなと思っています』

~『日刊スポーツ』2023年8月16日配信記事 より

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■鉄腕バウアー

バウアーといえば、中6日が主流の日本野球は物足りないと語るかのように、中5日登板が当たり前。ときには中4日でもマウンドに上がることも珍しくなかった。

しかも、「100球が目処」と決めつけるのではなく、試合展開によっては直訴して120球以上投げた試合が4試合も。そのうちの1つ、シーズン4度目の中4日で8回120球の熱投を見せた試合では、球数について質問され、次のように答えている。

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『自分の中ではまだまだいけると思った。ボールの動き、スピード、体の状態も良かったので1イニング、3イニング、5イニングでもまだまだいけると感じた』

『今度は中3日で150球投げるっていうのをぜひやってみたいです』

~『日刊スポーツ』2023年8月20日配信記事 より

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もともと、メジャーは100球で中4日や5日。日本は100球中6日固定でいいのか? という議論もあっただけに、今後の「登板間隔論」「球数論」に一石を投じた形になったかも知れない。その意味でも、バウアーの果たした役割は大きい。

■相手選手へのエール

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『どんなにいい投手でもこういう日がありますし、誰もがこういう経験をしています。このような結果に落ち込むことなく、落胆することなく、これからも前を向き続けてもらいたいという、メッセージを送らせていただきたいです』

~『日刊スポーツ』2023年8月25日配信記事 より

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バウアーの数々のインタビューのなかでも、多くの共感を呼んだのはこの言葉ではないだろうか。8月25日、節目の10勝目を挙げた中日戦の試合後、バウアーがまず語ったのは、勝利についてでも、10勝目についてでもなく、この試合の9回に中日のマウンドに上がり、10失点した近藤廉への励ましの言葉だった。

■来季へ向けて

さて、気になるのはバウアーの来季球団がどこになるのか? DV問題の影響でメジャー復帰はまだ厳しい状況が続き、日本国内での争奪戦になるのでは、と報じられている。

ただ、どの球団に落ち着いたとしても、今季同様にプレーでも言葉でもファンを喜ばせてくれるのではないだろうか。最後は帰国する際にファンに向けて残したメッセージで締めくくりたい。

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『皆さんは世界最高の野球ファンであり、皆さんの前で1年間プレーできたことは本当に光栄でした。特別な1年にしてくれてありがとう!』

~『BASEBALL KING』2023年10月31日配信記事 より

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