「今国会初の自由討議」と言いながら、いままでと同じ「重箱の隅をつつくような議論」 ~衆院憲法審査会
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年11月19日 11時35分
外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が11月17日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。11月16日に今国会初の自由討議を行った衆院憲法審査会について解説した。
衆院憲法審査会、今国会初の自由討議 ~緊急事態条項で自民と立憲民主が平行線
衆院憲法審査会は11月16日、今国会初の自由討議を行った。緊急事態条項の創設が主なテーマの1つとなり、積極的な立場の自民党と消極的な立憲民主党の主張が平行線をたどった。
飯田)緊急時の国会機能の維持について討議されました。
宮家)「今国会初の自由討議」ということは、いままで自由ではなかったということですかね。
国会の議事録を残すためではなく、もっと自由に討議するべき
宮家)自由討議を行うというのであれば、自由にやればいいと思うのですが、中身を読むと、「緊急時の国会機能を維持するため、いろいろ変えなくてはいけない。」いやいや、それは「無原則な国家権力の発動を可能とする」からダメだという議論。いままでと同じではないですか。どこが自由な討議なのでしょうか? 真の意味で「もっと国会を自由にして欲しい」と思います。徹夜で国会答弁をつくり、朝、それを大臣に説明して、委員会で大臣が読む……。それで「国政を運営している」と言うのはおかしいと思います。国会の議事録を残すためにやっているような状態です。
飯田)議事録を残すために。
宮家)それでは自由討議ではありません。もっと自由にやっていただきたいし、所属する政党とは別に、自分の意見があってもいいわけです。アメリカ議会の話ですが、ウェストバージニア州のある上院議員は「あなたは民主党を辞めるのですか?」と聞かれたとき、「私はもともと独立している」と言っています。最近は増えてきましたけれど、元々アメリカの議会では党議拘束が少なかったのですから。
飯田)アメリカの場合は。
宮家)もう少し日本の国会も、初めてでではなく、もっと自由討議を行う場であって欲しいですね。
法律を通すときに、重箱の隅をつつくような議論をするのが日本のやり方
飯田)議事録に残ると「言質を取った、取らない」という話になり、それがそのまま先例のように続いていくというような……。
宮家)それが日本の法律のつくり方なのです。法律を通すときも、重箱の隅をつつくような議論を行う。それが議事録に残れば、「何年何月にこういう形で既に答弁した通りでございます」と言えばいい。それが事実上の解釈になっていくのです。それはもちろん間違いではないのですが、ちょっと硬直的すぎませんか? 「もっと自由にやってくれ」と思います。国会答弁と言いながら、議事録に残すことだけを考えているのであれば、それは本末転倒だと思います。
飯田)国会の場でブレインストーミングのようなことはできないから、与党の事前審査などで行う形になる。国会は形式的に決める場で、「実際に権力が動く場所はどこだ?」という話になります。
党の部会では自由に討議するが、国会では記録が残るため硬直化してしまう
宮家)各党ともそうだと思います。私も現役の時代は、よく自民党の部会に呼ばれました。自民党の部会では、役人は静かにしなければいけませんが、部会に出てくる議員たちはかなり自由に議論をやっています。
飯田)議員たちは。
宮家)あれは本当に自由討議だと思います。最後はまとめる人が出てきて、何となくまとまるのだけれど・・・、そうしないと終わりませんしね。あの自由討議のよさはすごいと思います。しかし、それが国会に進むと議事録という記録が残ってしまうから、急にご論が硬直化してしまうわけです。私も若いころはこのギャップがとても新鮮でした。でも国会では部会と同じ議論はできないし、そこが難しいところだと思います。
飯田)決めるための委員会と、案出しを行う場を別にするなど、そういうことも国会改革なのかも知れませんね。
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