このままいくと中国は「日本の失われた30年」と同じ道に
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年11月21日 11時55分
杭州アジア大会の開会を宣言する中国の習近平国家主席=23日、中国・杭州(共同)
経済アナリストのジョセフ・クラフトが11月21日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。3ヵ月据え置きとなった中国の政策金利について解説した。
中国の政策金利、3ヵ月連続で据え置き
中国の中央銀行にあたる中国人民銀行は11月20日、事実上の政策金利で企業への貸出金利の目安となる「ローンプライムレート(貸出基礎金利、LPR)」の1年物を3.45%のまま維持した。据え置きは3ヵ月連続。中国人民銀行は6月と8月に利下げしており、景気への影響を見極めているとみられる。
90年代の日本のバブル崩壊時に似ている中国の状況
飯田)中国経済の見通しが厳しいのではないかとも指摘されています。どうご覧になりますか?
クラフト)欧米、日本などがインフレの圧力で悩んでいるなか、唯一デフレになっているのが中国です。経済が減速し、特に消費者需要が減速している。その背景には、やはり不動産バブル崩壊の余波があり、90年代の日本に似ていると思います。
経済の50%以上を占める地方政府の負債を減らさなければならないが、その対応が遅れる
クラフト)当時の日本では多額の住宅ローンを返済するため、みんな消費を縮小しました。需要が減ると、ものの値段が下がる。さらに政府が不良債権処理をためらったので、30年という長いデフレとなってしまったわけです。家計が需要を減らし、ものの値段が下がっているなかで中国政府が何をしようとしているかと言うと、不良債権の処理ではなく、金利を下げ、住宅ローンの頭金の補助金を出し、また不動産の需要を上げようとしている。そうするとまた負債が増えて、家計の需要が減り、日本のように長いデフレトレンドに入るリスクが高まっているという状況です。
飯田)まずは本来、ここを清算しなければいけない。
クラフト)いま1200兆円と言われる地方政府の負債があります。すべてが不良債権ではありませんが、経済の50%以上を占める地方政府の負債をある程度減らさないと、今後さらなる企業の破綻、地方政府の財政難に直面してしまう。結局は需要が低迷したまま、日本のように長いデフレ環境に入るリスクが高まります。日本の失われた30年を教訓として、政府が動かなければいけないけれど、やはり劇薬は飲みたくない。何とかうまくやりたいという思いで、行うべき対応ができていないのではないでしょうか。
飯田)ある意味の損切りをする状況になると、一時的な経済の後退はやむを得ないけれど、それはなかなか……。
共産党の威厳を維持するためにも一帯一路を棚上げすることなどはできない ~不良債権の処理をしなければいけない
クラフト)「とりあえず一帯一路戦略は棚上げしましょう。アメリカとの覇権争いも現在はできません。半導体に関する経済安全保障も難しく、南シナ海の領土問題も積極的に動けない」となってしまうと、やはり経済よりも共産党の力を維持したい習近平氏としては、なかなか受け入れられないと思いますね。
飯田)経済をどう立て直すのか。打つ手としてはどんな方法がありますか?
クラフト)金利を下げたり、いろいろな景気刺激策は行っていますが、景気が一向に上がらないわけです。やはり不良債権の処理、負債の軽減を進めないと、国民や地方政府に余裕が出ません。それをやらない限り、いまの状況から脱却できない。いまはまだ世界経済がアメリカの景気に下支えされていますが、もし今後、世界経済が減速するようなことになると、ダブルパンチで中国経済も痛手を被ることになります。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
豪当局、厳格な住宅ローン規制維持 雇用市場減速を警戒
ロイター / 2024年11月25日 13時17分
-
中国人民銀、最優遇貸出金利据え置き 予想通り
ロイター / 2024年11月20日 12時36分
-
台湾株などが上昇する一方、インド株や香港株などが下落 ~アジア・マーケット動向の振り返り【解説:三井住友DSアセットマネジメント】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月11日 10時25分
-
情報BOX:中国の1兆4000億ドル規模の地方債務対策、その中身は
ロイター / 2024年11月11日 9時29分
-
中国の大手銀行、第3四半期は増益 一部は純金利マージン低下
ロイター / 2024年10月31日 10時22分
ランキング
-
1剣道部の同級生に暴行加え死なせた罪 元近大生に懲役3年、執行猶予4年
ABCニュース / 2024年11月29日 17時27分
-
2「クラフトナイフを事前に購入した」加古川女児殺害の容疑者が任意調べで供述、凶器か
産経ニュース / 2024年11月29日 14時0分
-
3維新・馬場氏「後悔ない」=代表退任控え、涙も
時事通信 / 2024年11月29日 18時35分
-
4石破首相、幅広い合意形成に全力=「103万円の壁」見直し―政治改革に意欲・所信表明
時事通信 / 2024年11月29日 19時3分
-
5《沈黙続ける折田楓社長》「朝、PR会社の方から直接連絡がありました」兵庫県HPから“同社記事が削除された理由”
NEWSポストセブン / 2024年11月29日 7時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください