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不登校生が「アメリカ留学」を決意するまで 同時通訳者・田中慶子

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年11月28日 11時20分

不登校生が「アメリカ留学」を決意するまで 同時通訳者・田中慶子

黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「黒木瞳のあさナビ」(11月21日放送)に同時通訳者の田中慶子が出演。同時通訳者という職業について語った。

田中慶子

田中慶子

黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「黒木瞳のあさナビ」。11月20日(月)~11月24日(金)のゲストは同時通訳者の田中慶子。2日目は、アメリカに留学するまでの経緯について—

黒木)日本人はなぜか英語に苦手意識がありますよね。田中さんも自著『不登校の女子高生が日本トップクラスの同時通訳者になれた理由』のなかで、「日本人は英語のスキルを持っているにも関わらず、間違っていたらどうしようと思う人が多い」と書かれています。

田中)ありがとうございます。

黒木)不登校の話から伺いますが、「みんなと同じ」というのが好きではなかったのですか?

田中)不器用な人間なので、すべて納得しないとできないのです。日本では学校、もっと言えば保育園や幼稚園の段階から、「みんなでこれをやりましょう」という教え方をしますよね。私はそう言われることに対し、いちいち立ち止まって「どうしてやらなければならないのか」となってしまうような、不器用な子だったのです。

黒木)それはみんなが思うことですよね。「でも、みんながやっているからやらなくてはいけない」と、何も考えないようにして、みんなやっているのかも知れないですよね。

田中)そうかも知れませんね。でも、自分の納得できるペースでやっていると、「気付くと人と違うところに居る」というような子だったのです。

黒木)「なぜ勉強しなくてはいけないのかしら」ということで、不登校になってしまったのですね。

田中)そうですね。高校2年生のときに不登校になってしまいました。

黒木)そのときはどうなさっていたのですか?

田中)日中は家でずっと本を読んでいましたが、近くに演劇集団があったのです。演劇と言っても華やかな世界ではなく、社会問題について大人も学生もみんなで話し合って、一緒に演劇をつくるような地元のサークルです。そこに行くと大人もいるし同年代の子もいて、いろいろな人と議論するのが楽しかったのです。学校に行かず、昼はずっと本を読んでいて、夕方になると仕事や学校が終わった人たちが集まってくるので、いそいそとそこに行って議論していました。

田中慶子

田中慶子

黒木)ご自分の好きなことだけをやっていらしたという感じですか? でも、高校は卒業なさったのですよね。

田中)ギリギリですね。

黒木)卒業してから、逃げ出すようにアメリカに行ったということですが、アメリカを選んだ理由は何かあるのですか?

田中)正直、他は何も知らなかったのですね。海外に行くなら「アメリカかな」という。恥ずかしいのですが。

黒木)でも、「それなら行ってみようかな」と思われたのですね。

田中)子どもにとって、学校は社会ですよね。社会に馴染めないということと、社会問題について議論しているときに、「日本社会ってどうなのだろう」という疑問がどこかにあったのだと思います。だから「違う世界を見てみたい」という気持ちがあったのでしょう。ある日、そんななかで「これからは英語が必要だと思う」と母親に「ポロッ」と言ったら、親もすごく心配していたようで……。

黒木)それはそうでしょう。

田中)私は何も考えずに「ポロッ」と言った一言だったのですが、翌日、母が「あの話をちょっと真剣に考えてみたら?」と言うのです。そう言われて、「あの話って何?」みたいな。

黒木)「軽く言ったつもりが」ということですか?

田中)「海外に留学したいのでしょう?」と言われて、「そういえばそんなこと言ったなあ」と思ったのですが、このチャンスを逃してはいけないと思い、「そうそう留学したいの」と言い出したのですね。

黒木)そのお話が、『不登校の女子高生が日本トップクラスの同時通訳者になれた理由』という本なのですね。

田中)トップクラスかどうかわかりませんが。

黒木)トップクラスだと思いますよ。錚々たる方々の同時通訳をなさっているので。そういう経緯があったのですね。

田中慶子

田中慶子

田中慶子(たなか・けいこ)/同時通訳者

■愛知県出身。
■劇団研究員、NPO活動を経てアメリカ最古の女子大であるマウント・ホリョーク大学を卒業。
■帰国後は衛星放送、外資系通信社、NPO勤務ののち、フリーランスの同時通訳者に。
■天皇皇后両陛下、総理大臣、ダライ・ラマ、テイラー・スウィフト、ビル・ゲイツ、デビッド・ベッカム、U2のBONO、オードリー・タン台湾デジタル担当大臣などの通訳を経験。
■2010年、コロンビア大学でコーチングの資格を取得し、現在は通訳の経験をもとに、ポジティブ心理学なども取り入れたコミュニケーションのアドバイスをするコーチングの分野にも活動を広げている。
■2020年、慶應義塾大学大学院システムデザインマネジメント研究科修了。著書に『不登校の女子高生が日本トップクラスの同時通訳者になれた理由』、『新しい英語力の教室 同時通訳者が教える本当に使える英語術(できるビジネス)』。

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