国民民主・玉木代表 「トリガー条項」凍結解除が必要な「これだけの理由」
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年12月5日 17時35分
記者会見で記者団の質問に答える国民民主党の玉木雄一郎代表=5日午前、国会内
国民民主党の玉木雄一郎代表が12月5日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。「トリガー条項」凍結解除について語った。
「トリガー条項」凍結解除の結論時期
岸田総理大臣は12月2日、ガソリン税の一部を軽減する「トリガー条項」の凍結解除に関し、自民、公明、国民民主3党で進める協議に触れ「政府としても3党間の協議を踏まえて適切に対応したい」と語った。また結論時期については「現時点で予断を持って申し上げられない」と述べるにとどめた。
パーティー券と密接に結びつく補助金制度
飯田)結論時期については明確にはなりませんでしたが、玉木さんとしては、いつまでとお考えでしょうか?
玉木)間もなく3党の実務者協議が始まります。我が党は自動車総連出身の礒崎参議院議員にお願いする予定です。ダラダラと交渉する気はまったくありません。去年(2022年)に1回行い、いろいろな論点も出尽くしていますので、あとは総理が政治決断するかどうかです。自民党の派閥がパーティー券を売って裏金にしているという報道が出ていますが、これは補助金制度と密接に結びついています。
10円補助を出しても現場では8円しか引かれない補助金制度 ~2円は元売り各社かガソリンスタンドに
玉木)我々も当時は減税が難しいということで、補助金制度に合意しましたが、やはり取って配って、しかも石油元売り各社に出していくというやり方は厳しい。10円値引きのための補助金を元売り各社に出し、ガソリンスタンドに安く出してもらい、安いガソリンを届けるという政策なのですが、10円補助を出しても現場では8円しか引かれていないとなると、2円は元売り各社あるいはガソリンスタンドに抜かれてしまうのです。100%きれいに自動車ユーザーへ還元されないという制度上の問題点があります。
62億円を全国石油協会に出して調べた価格調査 ~無駄な補助金制度ではなく減税を振り返るいいチャンス
玉木)ただ今回、私が予算委員会でも取り上げたのは、「下がっているかどうかを調査」するということです。別途、下がったかどうかは調べないとわからないので。そのため、62億円を全国石油協会に出して調べた。
飯田)全国石油協会に。
玉木)しかし、全国石油協会は自分たちでは調べられないため、博報堂に委託し、博報堂がさらに関連4社に再委託率77%で出し、調べるのです。全国石油協会には、経産省から5名、総務省から1名、財務省から1名の天下りが行われています。バケツに穴が開くように少しずつ税金が漏れていき、よくわからないところに回って、そのお金の一部で自民党のパーティー券が買われているのです。
飯田)漏れ出た税金で。
玉木)だから今回、総理が派閥の説明責任を果たしてこの問題をきちんと解決する、あるいは補助金制度に伴う弊害も合わせて改善すると言うのであれば、補助制度で行っているような現在のガソリン値下げを見直す。取って配って無駄が生じるやり方ではなく、最初から取るのをやめるという減税に振り返るいいチャンスなのです。
補助金制度はすべてが行政の裁量で決められる ~変な利権が忍び込む余地をなくすという意味でもトリガー条項を発動するべき
玉木)それを自民党総裁として決断して欲しいです。「税調がどうこう」などの問題ではなく、年内には一定の方向性を出してもらいたいと思います。我々も、いま行われている補助金制度は年度内、つまり春までは続けたらいいと思っています。ただ、その先は決まっていませんので。
飯田)春以降は。
玉木)トリガー条項は「1リットル160円を3ヵ月連続で超えたら下げる、130円を下回るとまた戻す」という制度ですが、さまざまな問題を指摘されます。一方で、いまの補助金制度は始めるのも止めるのも、いくらにするかを決めるのも、すべて行政の裁量なのです。
飯田)補助金制度の場合は。
玉木)それだと裁量行政で、お金が欲しければ「またパーティー券を買うか」という話になりますので、始めることも止めることも法律でルールが透明に、明確にされているトリガー制度に変えた方がいい。行政の透明性の観点や、おかしな利権が忍び込む余地をなくすという意味でも、いま決断すべきです。
国民と一緒につくり上げていく政策決定を重視する国民民主党
戦略科学者・中川コージ)玉木代表は、いまの政権与党である自民党・公明党と違い、明確な解答を持たれていると思います。例えば自民党なら、政策決定の過程が部会などから上がってきます。一方、国民民主党は玉木代表を含め、顔が見えすぎるところがあります。つまり、組織的に別の方が代表になった場合、政党内の意思決定の過程を今後、どのように考えているのか。「優秀な方が続くわけではない」という政党構図になった場合、政党内シンクタンクをどのように考えているのでしょうか?
玉木)我が党は、そこは厚いですよ。私は代表なので外に出て話す役割ですが、政策決定は合理的に多数決で決めています。私が1人で何かを決められるほど、やわな組織ではありませんし、私も党内の政策議論のなかで反対されることもあります。
飯田)党内の議論のなかで。
玉木)例えば、私はずっと洋上原子力発電所をやるべきだと言っているのですが、党内ではまだ少数派ですので、いま党内で根回しをしている状況です。もう1つ、ガソリン値下げやトリガー条項発動という案がどこから出てきたかと言うと、私が2年前に長崎県に行った際、あるガソリンスタンドでユーザーの方から言われたことが発端としてあるのです。まだロシアによるウクライナ侵攻が始まる前でしたが、「ガソリンが高すぎるので何とかして欲しい」という現場の声を踏まえてつくり上げてきた政策です。
飯田)そうだったのですか。
玉木)そもそも私単独ではなく、まずは党内で議論しますし、一般の方々の声も聞いています。党としては、まだ人数が少ないため、ある意味で外付け政務調査会のように、国民の皆さんと一緒につくり上げていく政策決定を重視しています。
台湾の「ジョイン」のようにSNSを通して一般からの意見を上げる直接民主主義的なプロセスを導入
中川)自民党の問題は、「霞が関シンクタンクにフリーライドしている」ということですよね。国民民主党が今後、連立与党になる可能性もありますが、そのときに自民党における官政との関係と、違うところはあるのでしょうか?
玉木)いま制度化しようと思っていることがあります。例えば総理に対して代表質問をする際に、X(旧ツイッター)やインスタグラム、YouTubeで意見を募集するのです。何万件も来ると思いますが、そのなかから意見を抽出し、総理にぶつけていく。ある種、直接民主主義的なプロセスを導入しています。
飯田)SNSで一般の方から意見を募集して。
玉木)例えば台湾では、オードリー・タンさんが提案した「ジョイン」という行政プラットフォームがあります。そのなかで、女子高生からの訴えによりタピオカミルクのプラスチックストローが禁止になり、紙ストローになったのです。ネットの発展により、かつては難しかった直接民主主義的なアプローチができるようになってきました。例えばスイスでは、5万人くらいの声を集めると、憲法改正の発議を必ず取り扱わなければいけないという制度があります。
飯田)なるほど。
玉木)「業界団体・霞が関経由で国民のニーズやウォンツを集める」というルートそのものを変えていく。国民の意思の届け方に関するイノベーションが本質だと思うのです。
中川)フィルタリング機能も発展させているということですね。
玉木)そこにAIを入れて、より賛同のついた意見を上に上げていくという実験的なこともしています。いまは私が目検で週末にかけ、5000件くらいの意見を全部見ています。
中川)いまは粗いのですね。
玉木)スピードアップさせているところです。
中川)楽しみですね。
覚悟を持って「トリガー条項」凍結解除へ
飯田)現在は臨時国会の最中ですが、会期末になると不信任案がどうなるかという話も出てきます。この辺りについて国民民主党はどう対応していくのでしょうか?
玉木)まずは、全力でトリガー条項の凍結解除を目指します。ガソリン減税による補助金ではなく、値下げを実現していきたいと思います。いままでは総理に予算委員会で質問しても、「駆け込み需要だ、買い控えだ」と、できない理由ばかり述べていました。しかし、この前はそういうことを一切言わず、3党協議を踏まえて「結論を尊重し、私自身が判断する」と明確におっしゃいました。ただ、また同じことを繰り返すのであれば、これまでと同じような岸田政権との付き合い方はできなくなります。我々としても、厳しく追及する姿勢に変わらざるを得ないと思います。
飯田)「トリガー条項の凍結解除ができなかったら、代表を降りる覚悟はあるのですか?」との声をメールでいただきましたが……。
玉木)これは私だけでなく、榛葉幹事長をはじめ幹部も覚悟を持って取り組んでいます。
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