総理が岸田派離脱表明 「打つ手打つ手がすべて遅すぎる」共産・小池書記局長が指摘
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年12月8日 12時50分
日本共産党の小池晃書記局長が12月8日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。自民党派閥による政治資金パーティーをめぐる疑惑について語った。
総理が岸田派の離脱を表明、会長は空席に
岸田総理大臣は12月7日、自民党の派閥パーティーで政治資金のキックバック(還流)があったとされる問題をめぐり、自身が会長を務める岸田派を総理在任中、離脱する考えを表明した。
飯田)一連の話をどうご覧になりますか?
小池)深刻な問題だと思います。パーティー券の収入を政治資金収支報告書に記載していなかったところから始まった。これは共産党の新聞「しんぶん赤旗」で去年(2022年)スクープした問題なのですが、それがどんどん広がっていった。報告書に記載していないだけでなく、キックバックがあるのに記録せず、報告書に出さず、裏金にしていたのではないかと。裏金として、もし意図的に秘匿していたとすれば、脱税の問題にもなりかねないわけです。しかも朝日新聞では、個別に「松野官房長官」と名前まで出ています。
自民党ぐるみで裏金づくりを行っているのではないか
小池)しかも、安倍派だけではなく、二階派でもキックバックがあったのではないかと言われていますし、今週の「しんぶん赤旗」日曜版では、麻生派もやっているということをスクープしています。自民党ぐるみで裏金づくりが行われていた可能性がある。
飯田)自民党ぐるみで。
小池)普通の政治献金であれば、5万円以上は記載しなくてはいけないのですが、パーティー券は20万円からになっています。「できるだけお金の流れを見せないようにする」という仕組みになっているのです。また今回、記載していないことが明らかになったのは、政治団体分なのです。政治団体の方も収支報告を出さなくてはいけないので、派閥の収支報告と政治団体の収支報告を照らし合わせれば、書いていないことがわかります。
企業・団体のパーティー券購入を禁止するべき
小池)ただ、圧倒的にパーティー券は企業が買っているわけです。企業には報告義務がないので、もしかしたら企業分はもっと記載されていないものがあるかも知れません。
飯田)企業が買ったパーティー券には。
小池)だから、私たちは政治資金規正法の改正案を出しました。個人献金はいいと思いますし、パーティー券も個人で買えばいい。私たちは、パーティー券を禁止するとは言っていません。「企業や団体によるパーティー券の購入は禁止すべきだ」と言っているのです。企業が政治家にお金を出すということは、見返りを求めているわけです。その見返りは結局、企業にとって有利な政策を進めて欲しいというもので、はっきり言って本質的には賄賂です。やはり、そういったものは禁止するのが、問題解決の道ではないかと思います。
飯田)各国いろいろな形があり、アメリカなどは献金OKで、それに乗った主張をするのもOKです。しかし、それを議会で議論することによって、歪んだ政策がそのまま進まないようにする。そういうイメージですが、日本の場合、なかなかそぐわないのでしょうか?
小池)そぐわないと思います。そもそも企業・団体献金を禁止する代わりに、政党助成金の制度をつくったわけです。約320億円の政党助成金が税金で入ってきています。ところが、その議論がどこかにいってしまい、政党助成金も受け取り、企業・団体献金も受け取るという構造になってしまったわけですから、やはり1度合意した「企業・団体献金をやめよう」という中身に戻る必要があると思います。
「支持する人たちから個人献金をいただく」ことに徹すれば、十分にやっていける
飯田)政治にはお金が掛かるのですか?
小池)選挙などでお金が掛かると言えばお金が掛かります。ただ、そういうお金はその政治家、あるいはその政党を支持したい、応援したいという人たちが個人で支えるのが筋だと思います。個人献金制度があり、企業・団体献金もあり、政党助成金もありとなれば、一生懸命お金を集めようという努力をしなくなってしまう。政党が本来の在り方として、「自分たちを支持する方々から個人献金をいただく」という形に徹すれば、十分やっていけるはずです。共産党は一切受け取っていないわけですから、
飯田)政党助成金も。
小池)政党助成金も受け取らず、しんぶん赤旗などの事業活動と、あとは個人献金でやっています。実際にできているわけですから、やれないことはありません。そういう方向にすべきだと思います。岸田総理のやることはすべて後手後手です。「派閥を抜ける」と言っていますが、「何をいまさら」という感じですよね。国民から見れば、「派閥の評判が悪くなったから逃げ出した」としか見えないではないですか。
岸田派離脱表明も「いまさら」 ~「打つ手打つ手」が遅すぎる岸田総理
飯田)さすがに自民党内でも、「このタイミングではないだろう」という声があるようです。
小池)そうなると思います。そもそも歴代首相には、派閥の輪から外れる方もいたわけですから、いままで岸田派を名乗り、会長を務めてきたこと自体が問題だと思います。しかも、あまりにすべての「打つ手打つ手」が遅すぎます。
飯田)経済政策なども含めてですか?
小池)全部そうではないですか。所得税の減税に関しても、「減税」と言えば大体皆さん「よかった」と思うのですが、今回は65%ぐらいの人が評価していないわけです。「減税する」と言って評価されないのは前代未聞です。
飯田)珍しいパターンです。
小池)しかも、実施予定は来年(2024年)6月です。いまの物価高対策だと言っているのに、どうして来年6月なのか。やることなすこと遅すぎる。後手後手としか言いようがないと思います。
給付金でつなぎ、消費税の減税を行うべき
飯田)共産党であれば、どういう手を打ちますか?
小池)いろいろな世論調査を見ても、減税するならば、やはり消費税だと思います。まず給付金でつなぎ、消費税の減税を行う。「消費税の減税は時間が掛かる」と言う人もいますが、消費税を導入した当時は、1988年12月24日に法案を通して、(翌年)4月から導入しているのです。始めたときも年末年始を挟み、そのくらいの間隔で行ったわけですから、本気でやればもっと早く下げられます。年明けの早い段階で、私たちは5%に戻すべきだと思っています。一時的にやろうという方もいますが、それでもいいから緊急に行うべきだと思います。
飯田)一時的に消費税を減税する。
小池)そして、インボイス制度も大変評判が悪いです。複数税率であるためにインボイスを入れるわけですから、5%に揃えて複数税率をなくし、インボイスを廃止する。これがいまの経済対策として最も効果的ではないかと思います。
恒久的な措置を取るのであれば、しっかりと財源を考えるべき
飯田)さすがにこれだけ物価が上がってくると、苦しい人がたくさん出てきています。
同志社大学特別客員教授・兼原信克)私は大学で20歳くらいの生徒に教えているのですが、彼らは減税やばら撒きをまったく評価しません。「全部ツケは自分たちにくる」と思っているわけです。「使う人とお金を返す人は違う。返すのは私たちだ」という感じがあるので、私は消費税を10%上げて、ヨーロッパ並みにする。そうすれば税収が約20兆円入ってくるので、25%にすればトントンになり、約30兆円の赤字が消えていきます。若い子たちはそちらを望んでいると思います。
小池)私も減税だけでいいとは思いません。「財源なしに減税しろ」という立場を我々も取っていません。「国債を発行すればいい」と言う人もいますが、それは違うと思います。もし恒久的な措置を取るのであれば、しっかりと財源を考えるべきです。その点で言えば、法人税の減税が続いており、所得税の最高税率も下げてきたし、金融所得課税、株取引の税率も下げている。「1億円の壁を変える」と岸田総理はおっしゃっていましたが、要するに所得が1億円を超えると所得税の負担率が下がるという話で、1億円の壁を克服すると言っていたけれど、なぜか1億円ではなく30億円になってしまった。
飯田)向こうにいってしまった。
小池)30億円だと本当に一握りなのです。それらを見直して、しっかりと財源をつくることを合わせて進めるべきだと思います。
飯田)現役世代の可処分所得が減ったというのは、共通の悩みとしてあります。
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