宮崎哲弥が中学生のときに語彙収集した「単語帳」 黒木瞳も驚くその整頓のされ方
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年12月13日 11時20分
![宮崎哲弥が中学生のときに語彙収集した「単語帳」 黒木瞳も驚くその整頓のされ方](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/nipponhoso/nipponhoso_483336_0-small.jpg)
黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「黒木瞳のあさナビ」(12月6日放送)に評論家の宮崎哲弥が出演。『教養としての上級語彙』について語った。
![宮崎哲弥](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2023/12/ea2fe2b3becdda1588446cc274d41b61.jpg)
宮崎哲弥
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「黒木瞳のあさナビ」。12月4日(月)~12月8日(金)のゲストは評論家の宮崎哲弥。3日目は、ルビの存在価値について—
黒木)宮崎さんは中学生のころから初めて出会う言葉、それから未知なる言葉を書き留めて、ノートに単語帳としてつくっていたそうですね。日本語だけでなく、英語や仏教にまつわるサンスクリット語も含めて。
宮崎)仏教の方は、もう少し大人になってからですが。
黒木)つくった単語帳の1つが、自著である『教養としての上級語彙 知的人生のための500語』(新潮選書)の土台になっているのですよね?
宮崎)その単語帳の写真も掲載されています。
黒木)きれいに整頓して書かれていますが、本当に中学生ですか?
宮崎)字が下手ですみません。これは中学生のときにつくりました。
黒木)しかも難しいですよね。
宮崎)知らなかった言葉について「こんなにも知らなかったのだ」と、1つひとつ感動があるわけです。
黒木)中学生というと、語彙を覚えていく最中だから、知らなくて当然ではないですか。でも、知らないことを「知らなかった」と感じ、単語帳をつくられたところがすごいなと思います。
宮崎)中学3年生にもなると、少しずつ背伸びして大人の本を読むようになるではないですか。
黒木)そんな時期ですよね。
![『教養としての上級語彙 知的人生のための500語』](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2023/12/014c58bf7dbee50a8dc2c75d27f2a52c.jpg)
『教養としての上級語彙 知的人生のための500語』
宮崎)そうすると知らない言葉がたくさんあるでしょう。特に夏目漱石なんて、『吾輩は猫である』のなかにも知らない言葉が満載されています。それをいちいち拾って新しい言葉に出会うと、美しい蝶々や甲虫を見つけたような喜びを感じるのですよ。
黒木)甲虫がお好きだから、採集するような雰囲気で言葉を集められた。
宮崎)そんな感じですよね。
黒木)私は学生時代、近代文学の夏目漱石や島崎藤村、芥川龍之介などの小説を読み耽っていましたが、ルビはふってありましたか? 記憶にないのですが。
宮崎)戦前の本は、基本的に総ルビなのです。私がいちばん最初に読んだ『吾輩は猫である』はポプラ社から出たものですけれど、これは総ルビでした。子ども向けであったとしても原文そのものですから、子どもにとっては少しハードルが高い。
黒木)私が学生のころもルビはふってあったのでしょうか?
宮崎)あったと思います。戦前は新聞にもルビがふってありました。ルビには歴史があって、太古の昔からあるのです。漢字で構成された熟語を日本に入れて日本語化していくなかで、日本語の文法体系にはめ込んでいくわけです。そんな太古の昔からふりがながある。これは、1つの日本人の知恵と言っても過言ではありません。「どのように日本語化していくか」という1つの知恵なのですよね。そう考えると、言語の歴史や日本語の成り立ちも考えられて、楽しかったですね。
黒木)日本語の意味が少しずつ変わってくるという美しさがありますよね。
宮崎)語源を調べると「こんな言葉があったのだ」、「こんな成り立ちだったのだ」という驚きがあります。エッセイでもブログでも、あるいは詩や小説でもいいのですが、何かを表現する場合、特に詩は、辞書に書かれてある言葉というより、言葉と言葉の間の意味を言葉によって表現するところが多いではないですか。例えば、「夜の青空」というと……。
黒木)私の詩集のタイトルですね。
宮崎)普通の人は「何を表現したいのか」と一瞬、戸惑うと思うのですよ。言葉と言葉の連なりのなかから「言葉を超えたものを言葉のなかに見出す」ということも、やはり、言葉を多く知らなければ難しいと思うのです。
黒木)本当に「語彙を増やしたい」と心から思いました。
![宮崎哲弥](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2023/12/ea2fe2b3becdda1588446cc274d41b61.jpg)
宮崎哲弥
宮崎哲弥(みやざき・てつや)/評論家
■慶応義塾大学文学部社会学科卒業。
■政治、経済、宗教、漫画、映画などを対象に評論活動を展開。
■単に政治経済を専門とするだけの評論家とは違い、矢沢あい氏の人気漫画『NANA』に関して評論したり、ヴィジュアル系ロックバンド「LUNA SEA」のヴォーカリスト・河村隆一と対談したり、日本のヒップホップについて語ったりと、サブカルチャーやオタク文化全般に対しても深い理解を示し、好意的なスタンスにある。
■2022年に『教養としての上級語彙 知的人生のための500語』を発売。中学生のころより本や雑誌、新聞からメモしてきた「語彙ノート」の1万語から500余語を厳選。読むだけで言葉のレパートリーが拡がり、それらを駆使できるようになる異色の「文章読本」となっている。
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