このままでは安倍派が自民党から出ていく可能性も 青山繁晴議員が指摘
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年12月12日 17時40分
参院予算委員会に臨む岸田文雄首相=8日午後、国会・参院第1委員会室
作家で自由民主党・参議院議員の青山繁晴とジャーナリストの須田慎一郎が12月12日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。岸田政権の今後の運営について解説した。
臨時国会、13日に会期末
政治資金パーティーをめぐる問題で岸田総理大臣は12月11日、記者団に対し「状況を把握しながら国民の信頼回復のために、国政に遅滞を生じさせないために、適切なタイミングで適切に対応を考えたい」と述べた。総理は臨時国会の会期末となる13日に記者会見を行い、人事を含めた今後の政権運営について説明する考え。
飯田)安倍派の政務三役を辞めさせるのかどうかなど、さまざまなことが言われています。人事についても「適切に」と言っていますが、15人もいきなり代えられるのでしょうか?
青山)その前に、「適切に対応」という言葉をいい加減やめたらどうでしょうか。不適切な言葉ですよね。何も言わないように、覆い隠すために言っているのと同じです。日本の政の決まり文句がありますが、まずはそこから追放しましょう。
安倍派を外すことが適切な対応とは思えない
青山)安倍派だから「政務三役から出ていけ」と言うなら、根拠を示すべきです。安倍派の閣僚のなかで、具体的に言うと、鈴木総務大臣と宮下農水大臣がいますが、「キックバックはしていない」と全否定しています。パーティー券の売り上げが少なければ、キックバックどころではないですよね。それを言っているのかも知れないので、事実関係も確認しないまま安倍派だったら全部クビ、まだ当選1回の政務官もクビだとするのは、根拠が希薄です。総理自身が把握していないとしても、岸田派の人に何かあったら全部終わりですよね。それを適切な対応と言うのでしょうか?
飯田)整合性がまったく取れないですよね。
政権基盤を変えようとしている
青山)本人が否定したら、「そうですか」と言うわけにもいきません。捜査の進捗に合わせて考えるべきです。現状は前のめりで、とにかく「安倍派だったら全部クビ」と、つまり総理の頭のなかでは政権基盤を変えようとしているわけです。いままで安倍派にすがってきましたが、岸田派・茂木派・麻生派を合わせると150人くらいになるので、切り替えようとしているわけです。もう一度言いますが、それは適切な対応でしょうか? 単に政権を守るための判断に過ぎず、正義に基づいているとは言えないですよね。
飯田)ものすごく派利派略な感じがします。
青山)派閥そのものに関して問われているのに、視点が違いますよ。一国の総理、GDP世界4位の……円安で4位になっているだけで、本当はアメリカと中国の次ですから、ドイツよりも日本は経済力が上です。その責任を感じたら、パーティーも当面自粛ではなく、止めなくてはいけない。根幹である派閥も止めないといけませんし、国会議員がつくった国会議員に都合がよすぎる政治資金規正法も変えないといけません。
飯田)政治資金規正法も。
青山)本来はそれを「適切な対応」と言います。それなのに、いい加減な対応を「適切な対応」と総理が言っていたら、国民の信頼が回復するでしょうか? 私は自由民主党の現職議員であり、完全に無派閥です。自分でパーティーは開きませんし、献金も受けない。後援会もなく後援会長もいない立場から申し上げます。私のやり方をみんなが真似てくれとは思いませんが、こういうモデルも示していますので、メディアもそれを取り上げるべきだと思いますし、総理がお考えになるのは根本のところです。
飯田)根本のところ。
青山)自由民主党の総裁である以前に、内閣総理大臣は日本の責任者ですから、いまのやり方が適切な対応とは思えません。
深刻そうな顔をしていない岸田総理
飯田)基盤の入れ替えを行って、もしも塊の大きな安倍派が弱体化していくことになれば、「来年(2024年)の総裁選を有利に進められる」というところまで考えていると思ってしまうのですが。
須田)先日、直接岸田首相に会った複数の人から話を聞きました。「どんな様子でしたか? 相当なダメージを受けていましたか?」と聞いたら、「あまり深刻そうな顔ではなかった」と言っていました。意外と平常心のようです。そこで疑問に思うのは、「この人は適切な判断ができるのかどうか」ということです。
飯田)支持率は約22%で、不支持率が70%を超えてきたという話ですからね。
須田)精神的に大きなダメージを負っているのではないかという感じで……。
動揺する内閣のなかで、意外と粘り強い岸田総理
青山)話の途中ですが、私は意見が違います。11日に参院本会議が開かれましたが、決算をめぐる審議なので、全閣僚が並んでいるわけです。議員席から見るとわかりますが、明らかに動揺している閣僚がいました。私は政治記者時代から18年間、本会議を見ていますが、あのような光景は初めて見ました。
飯田)18年間でも。
青山)そのなかで、1人だけまったく普通の人がいました。それが総理です。以前、安倍元総理が岸田さんに対して厳しいことを言っていましたが、「でも粘り強いですよ」と反論したことがあります。安倍さんは第1次政権で失敗して粘り強くなりましたが、岸田さんは案外粘り強いのです。だから、いま飯田アナウンサーが言ったような計算をしていると思います。
飯田)総裁選も有利に進められると。
青山)「何が起きているのかわからなくなっている」のではなく、冷徹に計算しているのだと思います。11日の本会議では、野党から派閥パーティー券問題ばかり聞かれるわけですが、答弁する閣僚は「適切に対応します」としか言いません。総理も似たようなものですが、政治家が顔色に出ないというのは嘘で、世界の政治家でも顔には出るのです。出ないのは、顔に出したら殺される独裁国家の閣僚たちです。民主主義ではかなり顔に出るのですが、11日は異様に動揺した内閣がある一方で、総理は平常心と言いますか、褒めすぎかも知れませんが、粘り強いのです。
このままでは安倍派が自民党から出ていく可能性も
青山)いままでは安倍派に「ああしろ、こうしろ」と言われ、安保3文書なども進めたのに評価してくれないから、「ここで切ってしまう」ということです。議員会館の部屋からは党本部が正面に見えるのですが、急に党本部が小さく見えました。このままいくと、安倍派の99人が出て行くかも知れないですよね。
飯田)党からも。
青山)日本民主党と自由党が合併し、自由民主党になったのが1955年であり、68年前のことです。
飯田)そこに戻っていくかも知れないのでしょうか?
青山)そうなるかも知れません。
飯田)いまの清和会のルーツをたどっていくと、日本民主党になるので、宏池会の自由党系とはまた別ですものね。
青山)ルーツがあるから戻っていっても不思議ではないのです。日本の政にとっては、その方がいいかも知れませんね。
自民党総裁選出馬への気持ちは何があっても変わらない
飯田)青山さんは、いち早く総裁選に出馬するとおっしゃっていますが。
青山)出ます。何があっても、もう気持ちは変わりません。最初は私が考えたのではなく、ある派閥に属する議員……その後「護る会(日本の尊厳と国益を護る会)」に入りましたが、この問題が出る前に、その若手議員から「世の中がおかしくなっている」と聞き、「出てください」と言われたのが最初です。
飯田)そうなのですね。
青山)その人の地元にある党の正式な集まりで、私が講演したのです。私が席に戻ったら、その議員がやってきて、いきなり「次の総裁選挙に出てください。いまの講演を聴いてそう思いました」と言われた。それが最初なのです。2年以上前ですが、この前本人に「あなたが最初だ」と話したら、「わかっていますよ」と言っていました。
須田)失礼を承知で伺うのですが、青山さんは参議院議員であり、もし仮に首相になるとしたら初ですよね。その辺りの、ある種の障害と言いますか、違和感はおそらく衆議院議員を中心に感じているはずなのです。初めてそれが実現する確率や勝率は、どのくらいだと思われますか?
青山)参議院議員であっても、憲法上は(首相になるのに)何の問題もありません。日本の選挙制度で全国を見るのは、参議院の全国比例だけですから、私はむしろ資格があると考えています。例えば「解散権はどうするのだ」と言われますが、「自分も解散されるから解散します」という、そんな理屈はないでしょう。日本のために衆議院を解散して国民に信を問うという流れですから、参議院議員でも何も問題はないと思います。
飯田)なるほど。
青山)ただし当然、須田さんがおっしゃったような反発は必ず出てきます。勝率に関しては、野球ではないので、数字で何でも言おうとするのは間違っていると思います。野心・野望でやろうとしているのではありません。でも、今回の問題が起こる前から「可能性はある」と考えています。
須田)繰り返し、「野心・野望ではない」とおっしゃっていますよね。
青山)仁を通すためにやりますので。もっと言えば、仁や仁義を知らない人に総理になってもらっては困ります。それが失われている。言い方を変えたら人の道です。
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