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小説家・凪良ゆうが思わずうなずいた「小川哲の文章」

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年12月21日 11時20分

小説家・凪良ゆうが思わずうなずいた「小川哲の文章」

黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「黒木瞳のあさナビ」(12月14日放送)に小説家の凪良ゆうが出演。本を書くときの感覚について語った。

※画像はイメージです

黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「黒木瞳のあさナビ」。12月11日(月)~12月15日(金)のゲストは小説家の凪良ゆう。4日目は、本を書くときの感覚について—

黒木)今年(2023年)、『汝、星のごとく』で2度目の本屋大賞を受賞された凪良ゆうさんですが、小説家と呼ばれることに対してはどのように受け止めていますか?

凪良)自分がそう呼ばれていいのだろうかと……。

黒木)謙遜していらっしゃる。

凪良)先日読んだばかりなのですが、小川哲さんの『君が手にするはずだった黄金について』という小説のなかに、こんな文章があるのです。

—–

「作家は、むしろなんの才能もない人間のために存在する職業だ」

~『君が手にするはずだった黄金について』(小川哲/新潮社/2023年)より

—–

黒木)えー、何それ!?

凪良)私はそれにうなずいてしまったのです。そのあと、こう続いています。

—–

「普通の人が気にせず進んでしまう道で立ち止まってしまう愚図な性格や、誰も気にしないことにこだわってしまう頑固さ、強迫観念のように他人と同じことをしたくないと感じてしまう天邪鬼な態度。小説を書くためには、そういった人間としての欠損——ある種の『愚かさ』が必要になる。何もかもがうまくいっていて、摩擦のない人生に創作は必要ない」

~『君が手にするはずだった黄金について』(小川哲/新潮社/2023年)より

—–

黒木)なるほど。

凪良)私は小さいころから寂しい境遇だったので、物語は別の世界に連れて行ってくれる、いちばん身近な手段の1つでした。

黒木)子どものころから本屋さんが好きで、よく本屋さんに行っていらしたと。

凪良)家に帰っても家族がいなかったので、寂しくなったり人恋しくなったりすると近所の本屋さんに行っていましたね。本屋さんが近くにあって幸せだったな、よかったなと思っています。

黒木)本屋さんに入ると独特のいい香りがしますよね。

凪良)そうですね。

凪良ゆう

凪良ゆう

黒木)凪良さんは本屋大賞を受賞され、本屋さんを回っているではないですか。書店の方と接してみて、いかがですか?

凪良)本を読む方々にいちばん近い方たち、最前線が書店員さんなので、その方たちと話せるのは嬉しいし、刺激にもなります。どのお店に行ってもベストセラーと呼ばれる本は当たり前に展開されているのですが、そうでないものは、書店員さんの好みによって展開される本が違うのです。そういうことが興味深いですね。いまは個性的な本屋さんも多く、1店舗ごとに全部違うので面白いです。

黒木)置かれる場所も店員さんによって違うのですね。

凪良)違いますね。いちばん目立つところは、どうしても置かなければいけない本で占められているのですが、書店員さんが独自につくられている棚などがあって。

黒木)ポップとかね。

凪良)そういうところに書店員さんの好みやお店の個性が出ていて面白いです。

黒木)私も高校時代に初めてアルバイトしたのは本屋さんでした。

凪良)若いときから本がお好きだったのですね。

黒木)私は寂しがりやではなかったのですが、空想の世界に行くのが好きだったので。子どものころは近代文学で、そこから大人になるにつれ、「いまを生きていらっしゃる作家の本を読まなければ」と思い、とにかく本を読もうと感じました。

凪良)高校生ぐらいのときは、どんなジャンルがお好きだったのですか?

黒木)島崎藤村、石川達三、谷崎潤一郎など、その辺りを網羅しました。三島由紀夫とか。

凪良)それはすごいですね。私はその時期に恋愛小説などを読んでいました。

黒木)「読まなければいけないだろう」というか。

凪良)通らなければいけない門のような。

黒木)そういう思いと、やはり大人になる階段で谷崎潤一郎さんの本を読んでいると「こんな世界があるのだ!」と思って、小説で大人の階段を勉強していきました。

凪良)それはいいですね。

凪良ゆう

凪良ゆう

凪良ゆう(なぎら・ゆう)/小説家

■2007年、『花嫁はマリッジブルー』で著書デビュー。
■2014年、『美しい彼』を刊行。2021年には連続ドラマにもなった人気シリーズ。
■2017年、BL作品ではない『神さまのビオトープ』が非BL作品として高い評価を受ける。
■2019年に『流浪の月』と『わたしの美しい庭』を刊行。2020年には『流浪の月』で第17回本屋大賞を受賞。2022年には実写映画化。2020年刊行の『滅びの前のシャングリラ』で2年連続で本屋大賞にノミネート。2023年、『汝、星のごとく』で第20回本屋大賞受賞。直木賞候補となった。
■2023年11月、『汝、星のごとく』の続編となる最新作『星を編む』を刊行。

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