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大阪万博費用の全体像を初公表 「批判だけではなく、経済が循環する全体像を把握することが大事」佐々木俊尚が指摘

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年12月20日 17時30分

大阪万博費用の全体像を初公表 「批判だけではなく、経済が循環する全体像を把握することが大事」佐々木俊尚が指摘

【2025年大阪・関西万博 夢洲会場定点撮影】工事が進む夢洲会場=19日午前、大阪市此花区■■■大阪灯台から撮影■■■

ジャーナリストの佐々木俊尚が12月20日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。政府が初公表した大阪・関西万博の費用の全体像について解説した。

【2025年大阪・関西万博 夢洲会場定点撮影】工事が進む夢洲会場=2023年12月19日午前、大阪市此花区 大阪灯台から撮影 写真提供:産経新聞社

【2025年大阪・関西万博 夢洲会場定点撮影】工事が進む夢洲会場=2023年12月19日午前、大阪市此花区 大阪灯台から撮影 写真提供:産経新聞社

政府が大阪万博費用の全体像を初公表

政府は12月19日、2025年大阪・関西万博の費用の全体像を初めて公表した。直接開催の準備などに掛かる国費の総額は最大1647億円で、これとは別に万博との関連性が高い会場周辺のインフラ整備などの事業費を合計8390億円と見積もった。

飯田)費用の執行状況等を確認するため、有識者委員会を設置することも明らかにしています。建設コンサルタントらで構成され、来年(2024年)1月にも初会合が行われる予定です。

佐々木)数字を透明化するのは大事なことです。ただ、「8000億円も使うなんて無駄金だ」と怒る人が多いけれど、経済波及効果も考えてバランスを取らなければいけません。実際、発表した自見万博担当大臣も、「経済波及効果も再度試算する」と発言しています。「どのくらい国費を投じて、それに対して経済効果がどのぐらいあるのか」ということです。

インフラも含め8390億円の費用に対して、経済波及効果の試算は2兆4000億円

佐々木)開催準備が1647億円、インフラも含めて合計8390億円ですが、それに対する試算が出ていて、経済波及効果自体は2兆4000億円くらいあると言われています。大阪で行われるであろうイベントも含めれば、2兆8000億円ぐらいになるのです。仮に8400億円を投じて、経済波及効果が2兆8000億円ぐらいあるのだとしたら、言い方は変ですが、大儲けではないですか。財政を投入するというのはそういうことです。「使って終わりで、何も残りませんでした」ではなく、使ったことによって仕事や雇用が増え、インフラも整備される。それによって経済が循環するという全体像の把握が大事だと思います。

飯田)経済が循環する全体像を。

佐々木)「使ったらなくなる」と思っている人が多すぎるのです。使うことによって効果が出て、それが経済を回す1つの原動力になるという発想を持たないと、「何もやらない方がいい。万博なんかやめて、浮いた8000億円を国庫に納め、一切使わないように貯めた方がいい」という話になってしまうわけです。これでは誰も得しませんよね。

万博と組み合わせて人を地方に分散させることを考えてもいいのでは

飯田)この手の大規模イベントに関しては、「金も掛かるし、やめた方がいい」という声が最近多いですよね。

佐々木)1ヵ所にパビリオンを集め、そこに海外からも含めて人が集まるという万博の方式がいいのかどうかは、検討する必要があると思います。例えば1ヵ所に集めず地方に分散させるなど、いろいろな考えがあるでしょう。「オーバーツーリズム」などとよく言われますが、京都などに人がたくさん集まっている。

飯田)集中してしまっている。

佐々木)これを分散して、日本の知られざる田舎……私が家を借りている福井もそうですが、景色のいいパワースポットがたくさんあるのです。「こういうところに外国人が来ればいいのに」と思うのですよ。でも、現状では外国人は1人もいない。例えば、そういう場所に人を呼ぶ仕掛けと万博を組み合わせるような方法を考えてもいいのではないでしょうか。とは言え、国家財政を投入して万博を開くこと自体を否定するのは違う話なので、きちんとお金は使って欲しいと思いますね。

「空飛ぶクルマ」をなぜ批判するのか

飯田)予算が膨らんでいるのと、一義的には政府が行うという話ですが、大阪維新の会、あるいは大阪府市、経済界なども関わる話ですものね。

佐々木)万博で運行を予定している「空飛ぶクルマ」についても、東京新聞などが「ただのヘリコプターではないか」と噛みついています。見た目はただのヘリコプターかも知れませんが、「日本が率先して新しいテクノロジーを導入しようとしているのだから、見守ってあげましょうよ」と思うのですが、何か新しいことをやると「無駄金を使っている」と言って叩けば済むような感じになっている。本当に残念ですよね。

飯田)ヘリコプターとの大きな違いは、内燃機関ではなくモーターで動くところだそうです。いままでだと非力なモーターでは、ものを飛ばすことはできませんでした。

佐々木)ドローン技術の進展で、ここまでできるようになってきた。車の自動運転やドローン技術などさまざまな組み合わせで、ようやく21世紀の新しい乗り物として「空飛ぶ無人タクシー」の可能性が出てきているのです。そこを否定して、「東京新聞などはいったい世の中をどうしたいのか」と思ってしまいます。「みんながタンスにお金を貯め込んで地味に暮らす日本」を目指しているのかと。確かにあの世界の人たちは、すぐ「江戸時代に戻れ」と言いたがるところを見ると、実際に鎖国のようなことを望んでいるのかも知れませんが、若い人たちはたまったものではないですよね。

飯田)空飛ぶクルマや物流ドローンを開発している「SkyDrive(スカイドライブ)」という会社の開発現場を取材したことがありますが、航空法などの縛りもあるから、まずはネットで編んだ巨大なバスケットコートのような場所で浮かばせていました。「これは私有地だから大丈夫」というような体をつくらないと難しいと言っていました。イノベーションというのは、いろいろな縛りのなかでやらざるを得ないのですね。

佐々木)そうですよね。

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