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海外のレースより「有馬記念」で勝つ方が難しい 調教師・矢作芳人

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年12月26日 11時20分

海外のレースより「有馬記念」で勝つ方が難しい 調教師・矢作芳人

黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「黒木瞳のあさナビ」(12月21日放送)に調教師の矢作芳人が出演。競馬における調教師の仕事について語った。

【競馬中山有馬記念】11R 第64回有馬記念 1着6番 リスグラシュー ダミアン・レーン騎手=2019年12月22日 中山競馬場 写真提供:産経新聞社

【競馬中山有馬記念】11R 第64回有馬記念 1着6番 リスグラシュー ダミアン・レーン騎手=2019年12月22日 中山競馬場 写真提供:産経新聞社

黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「黒木瞳のあさナビ」。12月18日(月)~12月22日(金)のゲストは調教師の矢作芳人。4日目は、日本の競馬会のレベルの高さと有馬記念について—

黒木)矢作厩舎にとって、初めての有馬記念で勝ったと伺いましたが。

矢作)ファン投票で選ばれる1年の総決算のような大きなレースなので、「有馬記念に出る」というのが目標ではあるのですが、なかなか縁がなく、2019年に初出走しました。

黒木)リスグラシューのときですか?

矢作)リスグラシューで初めて有馬記念に出走し、勝ったのです。

黒木)2005年に厩舎を開業なさってから、かなり時間が経ったのですね。

矢作)大事なレースですので、「勝てない馬は出したくない」という思いもありました。

黒木)海外制覇なさっている厩舎であっても。

矢作)それくらい、いまの日本競馬のレベルは高いのです。海外で勝つこと以上に、日本のダービーや有馬記念というレースに勝つことは難しい。

黒木)みんな、しのぎを削っているわけですね?

矢作)まずは出すことが目標で、勝つのはとてもハードルが高いです。有馬記念という目標に向けて、日本のホースマン全員が頑張っています。そのようなところを見ていただけたら嬉しいです。

黒木)有馬記念は、3回くらい競馬場に行きました。歓声が気持ちよくて。

矢作)当たったことはありますか?

黒木)ないです。でも、すごく感動するのですよね。

矢作)「これぞ年の瀬」という。

黒木)「最後!」という感じですよね。

矢作)その盛り上がり、熱狂がまた私たちの力にもなっています。

矢作芳人

矢作芳人

黒木)ジャパンカップで引退した馬がいますよね?

矢作)世界最高賞金レースのサウジカップを2023年に勝ったパンサラッサが、ジャパンカップで引退しました。

黒木)やはり調子を見て引退を決めるのですか?

矢作)そうですね。足や全体の状態です。そして、その馬は来年から種馬になりますので、引退の時期を見ていたところはあります。

黒木)ドバイ、香港、アメリカなど、海外のビッグレースで勝ち、歴史的偉業を成し遂げていらっしゃいますが、地方から中央、中央から海外という夢が叶っていますよね?

矢作)ツイてる男なのです。周囲の人、そして馬に本当に恵まれています。ただ1つだけ思うのは、人に対しても馬に対しても「自分の思いが伝わっているのかな」ということだけは感じていますし、その思いだけは忘れないようにしています。

黒木)自分の思いを伝えるということですか?

矢作)「勝つのだ」という強い決意です。スタッフもその思いを背負って頑張ってくれますし、馬も応えてくれるといういい循環になっていると思います。

黒木)これからまた、世界で活躍するような馬を育てられるのですね?

矢作)2023年の2歳馬、これは2024年にダービーを走る馬なのですが、その世代に多数いい馬がいます。

黒木)2024年の春ですね。

矢作)そして2024年の暮れの有馬記念には、1頭と言わず2頭も3頭も出せるようにしたいと考えています。

黒木)東京と関西で右回り、左回りと違いますが……。

矢作)そうですね。ただ、馬は一般的には左回りが得意なのです。

黒木)そうなのですか?

矢作)人間の陸上競技のトラックと同じで、何も問題なければ左回りが得意です。右回りは調教していくということですね。

黒木)難しいのですね。面白いです。

矢作)特に有馬記念が行われる中山競馬場は小回りの右回りなので、コースに適応する馬を育てなければいけませんし、そこに合った馬を出す必要があります。

黒木)短距離・長距離だけではないのですね。そのような目で私も競馬を楽しみたいと思います。

矢作芳人

矢作芳人

矢作芳人(やはぎ・よしと)/調教師

■日本中央競馬会(JRA)栗東(りっとう)トレーニングセンター・調教師。
■1961年3月20日生まれ。東京都出身。
■開成高校卒業後、1年余りオーストラリアの厩舎、牧場で修行。
■帰国後、大井競馬場の父・矢作和人厩舎を経て、1984年・栗東で厩務員、1986年からは調教助手を務める。
■2004年2月、調教師試験に合格。2005年3月、厩舎を開業。
■2005年3月26日、テンザンチーフで初勝利。2014年、JRA賞(最多勝利調教師)など表彰多数。

■2018年以降、国内外で歴史的活躍馬を送り出し、“世界のヤハギ”と称される。
・国内G1レース4勝、オーストラリア屈指の大レース「コックスプレート」を日本調教馬として初めて制した2019年JRA年度代表馬『リスグラシュー』。
・2020年、史上8頭目の無敗の3冠馬『コントレイル』。
・日本調教馬として世界最高峰のレース「米ブリーダーズカップ フィリー&メアターフ」を初めて制し、日本競馬界の歴史的快挙を成し遂げるなど、海外G1・3勝を達成した『ラヴズオンリーユー』。アメリカの年度表彰で最優秀芝牝馬を受賞。
・日本調教馬として史上初めて「米ブリーダーズカップ ディスタフ」で優勝した『マルシュロレーヌ』。
・世界最高の1着賞金1000万ドル(約13億6000万円)を誇るサウジアラビアのレース「サウジカップ」を日本調教馬として初めて制した『パンサラッサ』(*日本G1の最高賞金は有馬記念とジャパンカップの5億円)。
……など、海外G1をはじめ、日本のホースマンの夢と言われる数々のビッグレースを制してきた日本を代表する調教師。

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