台湾総統選 「民進党が勝てば、アメリカは大喜び。国民党が勝てば、中国と経済協力を強める」専門家が読み解く対中関係
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年12月26日 11時20分
中国問題グローバル研究所所長で筑波大名誉教授の遠藤誉氏が12月25日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。2024年1月に実施される台湾総統選を巡り、「民進党の頼清徳氏が勝てば、アメリカは大喜び。国民党の侯友宜氏が勝てば、台湾は中国と経済協力を強めるだろう」と分析した。
2023年は世界的な選挙イヤーとなる。3月のロシア大統領選、11月のアメリカ大統領選のほか、インドをはじめとする新興国などでも相次ぐが、年明け早々、その行方が大きく注目されるのが1月13日に実施される台湾総統選だ。与党・民進党の頼清徳候補と最大野党・国民党の侯友宜候補が激しい火花を散らし、この2大政党の打破を掲げる民衆党の柯文哲候補が追う展開となっている。今後の行方はどうなっていくのか―。
遠藤)民進党の頼清徳氏が勝った場合、現在の蔡英文政権と同様にアメリカは大喜びです。アメリカは台湾の独立を応援していますからね。ただし、台湾が現実的に独立の構えを示せば、中国は「承知しないぞ」と武力的な威嚇に出ます。したがって、アメリカとしては、頼氏が勝っても戦争の方向性だけは歓迎しません。
これに対し、国民党の侯友宜氏が勝った場合、中国との融和路線をとっていますから、経済に関して中国との協力を強めることになるでしょう。つまり、台湾人の生活を豊かにする方向性に全力を尽くすはずです。ただし、台湾人の民心を知っていますから、「一国二制度を受け入れる」「中国との統一はOK」とは絶対に言わないです。また、独立を巡っても、「アメリカに利用されているだけで、台湾人の命が奪われるから駄目だ」との主張です。すなわち、独立に関しては現状維持で、経済関係に力を入れることになるでしょう。
一方の中国にしても、台湾への武力攻撃など、とんでもないことです。ウクライナ戦争の教訓もありますから、自ら戦争をしたいはずがないですからね。中国の反国家分裂法では対台湾武力行使を認めています。しかし、実際に台湾を武力統一したら、中国共産党の一党支配体制は崩壊してしまいます。武力統一すれば、台湾人の「中国嫌い」はより強まるからです。クーデターが起きかねません。
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