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八雲ふみねが選ぶ2023映画ニュース4選

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2023年12月31日 11時30分

八雲ふみねが選ぶ2023映画ニュース4選

【Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね 第1153回】

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。

今年も多くの名作、珍作(!?)、快作が公開された2023年。

興行収入100億円を超えた作品は3本。2022年の4本よりも1本少ないものの、映画業界全体としての興行収入は底上げされており、それだけ観客の心を掴む作品が数多く公開された年だったと言ってもよいでしょう。

そこで今回は、私、八雲ふみねが印象的だった映画トピックスをピックアップ。2023年公開作とともに振り返ります。

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』:日本発の洋画アニメーション映画が世界的に大ヒット!

2023年の年間映画興行収入ランキングで特徴的なのは、アニメーション映画が4位までを独占したということ。

『THE FIRST SLAM DUNK』(1位)、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(2位)、『名探偵コナン 黒鉄の魚影』(3位)、そして『君たちはどう生きるか』(4位)。アニメのメガヒットが映画業界を牽引していくという傾向は、今年(2023年)も変わらずという結果になりました。

そのなかで特筆したいのが、第2位にランクインした『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』。任天堂の大人気ゲームシリーズから生まれたキャラクター、マリオの大冒険を描いたエンターテインメント超大作です。

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』

正直、観るまではキッズ向けのファミリームービーなのかなと思っていましたが、コレが大人が観ても面白い! あの人気ゲームの世界観を、大きなスクリーンで味わうことができるのですから、一度でも「スーパーマリオブラザーズ」や「マリオカート」といったマリオゲームをプレイした経験がある人なら、そりゃあテンションもアップしますよね。

本作を任天堂と共に映画化したのは、『怪盗グルー』シリーズや『ペット』シリーズなどを手掛けるイルミネーション。

魅力的なキャラクター描写に定評のあるアニメ製作会社だけに、マリオやルイージ、クッパといった人気キャラクターたちの魅力も倍増。コミカルで可愛らしい動きに魅了されてしまった人も多いことでしょう。

現時点で正式発表はされていませんが、続編も期待したいところです。

『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』

『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』

『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』:トム・クルーズの来日中止も、物ともせずに大ヒット

巨匠スティーブン・スピルバーグ監督の少年時代を描いた『フェイブルマンズ』に、アカデミー賞最多7部門受賞の異色作『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』。

前作から15年ぶりの公開となったハリソン・フォード主演作『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』など、洋画の良作が数多く公開された2023年。

「洋画を観る人が減ってしまった」と言われて久しいものの、ハリウッド映画ならではの華やかで痛快な作品が戻ってきているのは嬉しい限りです。

そんな2023年に公開された洋画のなかで、八雲的に特に印象に残っているのが、やはり『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』。トム・クルーズ主演、待望のスパイアクションシリーズ第7弾です。

『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』

『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』

とにかく、トム・クルーズが凄い! 本作でも断崖絶壁をバイクに乗ってジャンプしたり、走行中の列車の上でバトルを繰り広げたり。

たとえほんの数分のアクションであっても、そのシーンをより良いものとするために、何年もの歳月をかけてトレーニングを行っているトム・クルーズ。彼のあくなき探究心と半端ないプロ根性には、ただただ驚愕するばかりです。

さて、親日家としても知られているトム・クルーズ。本作のプロモーションのために25回目の来日を果たす予定でしたが、アメリカ俳優・脚本家組合のストライキが決行されたため、急遽中止になってしまいました。

2022年、『トップガン マーヴェリック』のプロモーションで日本を訪れ、その効果もあって、映画は大ヒット。コロナ禍以降、厳しい状況にあった映画業界が活気を取り戻すきっかけとなっただけに、今回の来日中止はとても残念な出来事でした。

本作の続編は2025年に公開。そのときにはリベンジ来日を果たしていただいて、素敵な笑顔を見せて欲しいですね。

『ちひろさん』

『ちひろさん』

『ちひろさん』:有村架純が新境地を開拓したNetflix映画

すっかり私たちの映画ライフに定着した感がある、NetflixやPrime Videoといった動画配信プラットフォーム。既存の作品を配信するだけでなく、オリジナルコンテンツも充実。その作品性の高さから、映画ファンたちの注目を集めています。

2023年も、20世紀を代表する大指揮者レナード・バーンスタインの伝記映画『マエストロ:その音楽と愛と』や、ルパン三世の相棒・次元大介が主人公の実写映画『次元大介』など、枠に囚われない創造性に満ちた作品が数多く配信されました。

Netflix映画『ちひろさん』も、そのひとつ。配信されるやいなや、Netflixの週間グローバルTop10(非英語映画)で3位にランクインするなど、国内外を問わず、大きな反響を呼びました。

『ちひろさん』

『ちひろさん』

安田弘之による人気同名コミックを、有村架純主演で実写映画化。海辺の弁当屋さんで働く元風俗嬢・ちひろと、彼女に惹かれて集まってくる人々との交流を描いたヒューマンドラマです。

熱狂的な支持を集める漫画が実写映画化されるということで、原作ファンの間では話題騒然。しかも、主人公のちひろ役は、いまや国民的女優となった有村架純。“可愛い”の代名詞のような彼女が、元風俗嬢役!? ということでも、ちょっとしたニュースとなりました。

常識にとらわれず、他者を包み込むような懐の深さを持っている一方で、自身も孤独を抱えている。一見すると複雑な人間像を、有村架純は繊細な演技で体現。新境地を開拓しています。

不器用ながらも人間味あふれる“ちひろさん”に、あなたもきっと魅了されるはず。

『ほかげ』

『ほかげ』

『ほかげ』:日本映画、俳優たちが海外で躍進

日本映画が、海外をフィールドに大躍進を遂げた2023年。

「第76回カンヌ国際映画祭」では、『怪物』の坂元裕二氏が脚本賞を受賞。またヴィム・ヴェンダース監督『PERFECT DAYS』では、主演の役所広司が最優秀男優賞に輝きました。

そして、2024年1月23日(現地時間)に発表される「第96回米アカデミー賞」のノミネート候補作品、通称“ショートリスト”には、先述の『PERFECT DAYS』をはじめ、『ゴジラ-1.0』『君たちはどう生きるか』といった複数の日本映画が候補入り。今後の動向が気になるところです。

塚本晋也監督の最新作『ほかげ』は、トロント、モントリオール、ウィーン、台北など世界各国の映画祭で正式上映され、「第80回ヴェネチア国際映画祭』では、NETPAC賞(最優秀アジア映画賞)を受賞。2023年の映画シーンを語るにおいて、外せない日本映画のひとつです。

『ほかげ』

『ほかげ』

本作は、『野火』『斬、』に続く、塚本晋也監督が手がける戦争三部作。終戦直後の日本を舞台に、絶望と闇を抱えながら生きる人々の姿を映し出した衝撃作です。

戦争や紛争のニュースが絶えることがなかった2023年。いまこそ、1人でも多くの人に観て欲しい。“平和とは何か!?”と、現代人に問いかける祈りの物語です。

さて、2023年も残りわずかとなりました。今年もニッポン放送 NEWS ONLINE「Tokyo cinema cloud X」をご愛読いただき、誠にありがとうございました。

私は年間500本以上の映画を観ていますが、仕事をすっかり忘れて、感動に浸ったり元気をもらったりすることが度々あります。そんな“映画のチカラ”を、「Tokyo cinema cloud X」を通じて読者の皆さまにお届けできるよう、2024年も励んでまいります。

どうぞ良い年越しをお過ごしください。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』

Blu-ray&DVD発売中 デジタル配信中
声の出演:クリス・プラット、アニャ・テイラー=ジョイ、チャーリー・デイ、ジャック・ブラック、キーガン=マイケル・キー、セス・ローゲン、フレッド・アーミセン、ケヴィン・マイケル・リチャードソン、セバスティアン・マニスカルコ
脚本: マシュー・フォーゲル
監督:アーロン・ホーヴァス、マイケル・ジェレニック
製作:クリス・メレダンドリ(イルミネーション)、宮本茂(任天堂)
日本語吹替版声優:宮野真守、志田有彩、畠中祐、三宅健太、関智一、武田幸史
原題:The Super Mario Bros. Movie
配給:東宝東和
(C) 2023 Nintendo and Universal Studios

『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』

『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』

『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』

Blu-ray&DVD発売中 デジタル配信中
監督・脚本:クリストファー・マッカリー
出演:トム・クルーズ、ヘイリー・アトウェル、ヴィング・レイムス、サイモン・ペッグ、レベッカ・ファーガソン、ヴァネッサ・カービー、イーサイ・モラレス、ポム・クレメンティエフ、ヘンリー・ツェニー
日本語吹替版:森川智之、根本泰彦、手塚秀彰、甲斐田裕子、広瀬アリス、江原正士、津田健次郎、園崎未恵
原題:Mission: Impossible – DEAD RECKONING PART ONE
配給:東和ピクチャーズ
(C) 2023 PARAMOUNT PICTURES.

『ちひろさん』

『ちひろさん』

『ちひろさん』

2024年2月23日(金)Blu-ray&DVD 発売 デジタル配信中
Netflixにて配信中

出演:有村架純、豊嶋花、嶋田鉄太、van、若葉竜也、佐久間由衣、長澤樹、市川実和子、鈴木慶一、根岸季衣、平田満、リリー・フランキー、風吹ジュン
原作:安田弘之『ちひろさん』(秋田書店「秋田レディース・コミックス・デラックス」刊)
監督:今泉力哉
脚本:澤井香織、今泉力哉
音楽:岸田繁
主題歌:くるり「愛の太陽」(VICTOR ENTERTAINMENT/SPEEDSTAR RECORDS)
Blu-ray&DVD発売・販売元:ギャガ Blu-ray:¥5390 (税込) DVD:¥4290 (税込)
英題:Call Me Chihiro
配信:NETFLIX
(C)2023 Asmik Ace, Inc. (C)安田弘之(秋田書店)2014

『ほかげ』

『ほかげ』

『ほかげ』

ユーロスペースほか全国順次公開中
監督・脚本・撮影・編集・製作:塚本晋也
出演:趣里、森山未來、塚尾桜雅、河野宏紀、利重剛、大森立嗣
英題:Shadow of Fire
製作:海獣シアター
配給:新日本映画社
(C)2023 SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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