黒木瞳が苦労した映画『東京タワー』での役づくり
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年1月4日 11時20分
黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「黒木瞳のあさナビ」(12月28日放送)にニッポン放送アナウンサーの飯田浩司が出演。アナウンサーの仕事について語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「黒木瞳のあさナビ」。12月26日(火)~12月29日(金)のゲストはニッポン放送アナウンサーの飯田浩司。3日目は、黒木瞳の役づくりについて—
飯田)黒木さんは数え切れないくらいの役を演じていらっしゃいますが、これまでで苦労した役は何ですか?
黒木)すべてに産みの苦しみはあります。「フッ」と思い浮かぶのはいくつかありますが、江國香織さん原作の映画『東京タワー』のとき、どうしても役の女性になれなかったことがありました。1日の撮影が終わって家に戻り、もう1回、反省するのですよ。きょう撮った台詞を言ったりするのです。
飯田)もう終わっているのに。
黒木)明日のセリフを言ってみても、どうも自分のなかでしっくりこない。「どうしようかな」と思って、深夜だったのですがお酒を飲み出したのです。「こう言ってみよう、ああ言ってみよう」といろいろ試行錯誤したとき、ふと、「あ、風だ」と感じたのです。
飯田)感情が「サアッ」と抜けていくような。そういうことは、何がきっかけになるか……。
黒木)わからないですね。あと、『黒い十人の黒木瞳』というシリーズを3回やりましたが、1本で10人の違う黒木瞳が出てくるのですよ。トータルで30人の違う黒木瞳を演じました。そのときは、ミュージカルのように髪型も衣装も全部変えたのですね。声の出し方も演劇のマニュアルなのですが、高い声で言ったり、低い声で言ったり、ゆっくり言ったり、速く言ったりする。そういうものを取り入れて人物を変えていくのです。
飯田)9月にWOWOWで湊かなえさん原作の連続ドラマ『落日』がありましたが、原作の小説を読んで、そこからという感じなのですか?
黒木)小説は出た時点で読んでいたのですが、『落日』をドラマ化したいという話をプロデューサーから伺ったので、本棚から取り出してもう1度読み、脚本も読みました。次は、監督にその人のイメージがどんなものかを伺います。あとは監督が「こういう役割で出てください」というようなことをおっしゃるのです。作品におけるポジショニングですね。それらを伺っているうちに、徐々に出来上がっていく。あとは監督のジャッジです。監督が「OK」とおっしゃれば、それでOKです。
飯田)自分が思っていたものを、最後に現場で微調整する感じですか?
黒木)2人の会話だとすると、もう1人の役者の方が右にいると仮定して、セリフを覚えていたとします。そうすると、現場で左側にいらっしゃったらセリフが出てこないのですよ。そのため、監督にどう言われても対応できるように準備します。「歩いてください、座ってください、右を向いてください、左に来てください」など、何をおっしゃっても対応できるよう、家でシミュレーションするのです。
飯田)右にいるバージョンだったらこう、左のバージョンはこう、ということを家で練習する。
黒木)現場に行けば本番ではないですか。テストしたら本番ですから、そこで撮影を止めてはいけないので。
飯田)カットごとにすべてシミュレーションするわけですか?
黒木)そうですね。
飯田)膨大な数になりますよね。
黒木)舞台のときは1ヵ月ぐらいお稽古があるのでいいのですが、映像の場合はいろいろなシミュレーションを考えて準備します。
飯田)出来上がりしか観ていない素人としては、「素晴らしいな」と思いながら観るだけなのですが、その映像は氷山の一角なのですね。
黒木)でも、準備は大変ですが、楽しいです。
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