桂宮治 31歳からの「落語家人生」師匠の決め手は一目ぼれ
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年1月8日 11時20分
黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「黒木瞳のあさナビ」(1月1日放送)に落語家の桂宮治が出演。落語家になった経緯について語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「黒木瞳のあさナビ」。1月1日(月)~1月5日(金)のゲストは落語家の桂宮治。1日目は、落語家を目指した理由について—
黒木)落語の長いお話はどのように覚えるのですか?
桂)ノートに書いて、カラオケボックスで耳栓をしながら何十回も必死に覚えます。
黒木)カラオケボックスに1日中いるときもあるのですか?
桂)そうですね。フリータイムで入り、テレビも音楽も消して、耳栓を付けてぶつくさ言っています。
黒木)覚えられるものですか?
桂)教わった話をノートに書くのですが、ノートに書き出した時点で意外と6~7割ぐらい入ってくるのですよ。あとはたくさん喋ります。でも我々の場合、高座で忘れたら、自分で話を少しつくってしまえばいいのです。正解がないので、少しラッキーなところもあります。
黒木)舞台の方も目指していたのですよね?
桂)小・中学生のときは、テレビに出たいというわけではなく、舞台に憧れていました。最初はザ・ドリフターズさんのように人を笑わせるコントがやりたいなと思ったところから始まり、演歌歌手の吉幾三先生の座長公演なども新宿コマ劇場へよく観に行きました。また、高校を卒業してから少しだけ舞台の養成所、加藤健一さんの周りにいました。すぐに辞めてしまいましたが。
黒木)そんなときにYouTubeで桂枝雀師匠の「上燗屋」という高座を観て、「落語なら好きになれるかも」と感じ、師匠探しが始まったのですね。
桂)30歳のときですかね。
黒木)一般的な落語家としては遅いのでしょうか?
桂)遅いですね。いま私は春風亭昇太師匠が会長を務める落語芸術協会にいるのですが、落語協会さんという団体もあるのです。いま、30歳だと落語協会さんには入門できません。私のときは、まだそういう決まりはありませんでしたが。
黒木)いまは。
桂)落研でもなく、30歳まで落語を聞いたこともなかった人がYouTubeで出会ったものの、どうやったら入門できるのだろうと考えたとき、「そうか、師匠を探さなければいけないな」と思って調べました。でも、どこに入ればいいかわからないのですよ。テレビに出ているような落語家の方はちょっと違うなと。「世の中に自分の父親以上に愛せる人はいるのだろうか」という思いを持ちながら、いろいろな寄席を回ったのです。
黒木)30歳のときに。
桂)面白い師匠方はたくさんいるのですが、「何か違うな。一生、自分の体をあずけるのはこの人ではないな」と思って何ヵ月も回りました。そんなとき、うちの師匠・三代目桂伸治が国立演芸場の落語会で袖から、トリでも主任でもなかったのですが、出囃子に乗りながらヘラヘラと出てきたのですよ。
黒木)ヘラヘラと?
桂)ダラダラしながら笑顔で出てきた瞬間、袖から見えた瞬間に「この人だ」と思ったのですよね。
黒木)まだ話される前に。
桂)何も聞いていないです。本当に一目惚れでした。(門下に)入ったら理想通りの素晴らしい師匠だったので、ありがたいなと思っています。
黒木)まったく違う職業から弟子入りされますが、既にご結婚もされていたのですよね。奥様が「好きにしていいよ」とおっしゃった言葉が励みになったということですが。
桂)そうですね。それまでは営業マンを続けようと思っていたのですが、結婚すると決まったとき、「一生に一度の人生だから好きなことをやりな」と言ってくれたのです。落語に出会って、「じゃあ」と、そのまま結婚式の日に「会社を辞めます」と言って辞めて……。
黒木)結婚式の日に。
桂)結婚式の最後の新郎謝辞で「会社を辞めます」と言ったのですよ。
黒木)それがもはや創作落語になりそうですね。
桂)落語でご飯を食べられるなんて思っていなかったのですが、人生で一度ぐらい何かに真剣に取り組んでみたいなと思って入ったら、いま、こういうところにいるわけです。
桂宮治(かつら・みやじ)/ 落語家
■1976年10月7日生まれ。東京都品川区出身。
■2008年2月、桂伸治(しんじ)門下として2月下席より浅草演芸ホール楽屋入り。
■2008年3月、浅草演芸ホールにて初高座「子ほめ」。
■2012年3月、下席より二ツ目昇進。
■2021年2月、中席より真打昇進。落語芸術協会の落語家としては、春風亭昇太師匠以来、5人抜きでの抜擢真打。
■2022年1月、日本テレビ系『笑点』の新メンバーに就任。
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