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なぜか日本の基金は「1年間の利回り分」だけしか使えない 高橋洋一が指摘

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年1月10日 17時45分

なぜか日本の基金は「1年間の利回り分」だけしか使えない 高橋洋一が指摘

数量政策学者の高橋洋一が1月9日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。米民間企業が開発した月着陸船について解説した。

※画像はイメージです

アポロ計画以来 アメリカで月着陸船を打ち上げ

アメリカのアストロボティック社が開発した無人の月着陸船「ペレグリン」が1月8日、打ち上げられた。アメリカの月着陸船はアポロ計画以来半世紀ぶりで、着陸が成功すれば民間企業で初めてとなる。

飯田)「アポロ計画以来」と言うと、すごく昔になりますね。

高橋)飯田さんは生まれていないのではないですか?

飯田)そうですね。高橋さんは鮮明に覚えていらっしゃいますか?

高橋)アポロ11号の月面着陸は1969年でしょう。中学2年でしたから、猛烈に覚えています。

飯田)そのころから考えると、50年以上ぶりです。

日本でも月面を目指す民間企業がある

高橋)民間だというところがポイントです。もはや民間でもできてしまうのですね。

飯田)日本のスタートアップ企業「ispace(アイスペース)」も、「HAKUTO-R」というプログラムで月への着陸に挑んでいるそうです。民間でこういうことをやる時代になったと考えると、大分違いますね。

高橋)でも民間となると、どういう利益になるのでしょうか。資源なのですかね?

飯田)月の資源を求めて、というところなのか。月面に補給所などが設置できれば、火星に向かうロケットを搭載できるなど、壮大な夢があるのですかね。

高橋)火星に行って何をするのでしょうか?

飯田)火星探査が本格化することになるのか。火星に人を送り込むなど、そういう時代になるかも知れません。

高橋)いつか地球に住めなくなったら、ということはありますけれどね。火星に住むのは大変ですから。でも、夢があっていいですね。こういうことによって、いろいろな科学技術が発達するのは間違いありません。

10兆円規模の基金でも1年間に利回り分だけしか使えなかった「大学ファンド」

飯田)日本も科学技術に関しては、いろいろと予算をつけています。高橋さんも資産10兆円規模の「大学ファンド」という基金に携わっていましたが、いかがですか?

高橋)「基金は全部使い切ってしまえばいい」と思っていましたが、使い切らずに「利回りだけを使う」などとセコイ話をするから、驚いてしまいました。10兆円つくったのだけれど、そんなものは10年ぐらいでなくなるだろうと考えていました。

飯田)1年に1兆円ぐらい使って。

高橋)それがずっと残っているから、「何だこれは」と思いましたね。

飯田)なかなか支出されないところがありますか?

高橋)基金を残しておいて、利回り分だけしか使わないから、すごく使い勝手が悪いですね。使い切ってしまう形にして、例えば5年で使い切れば、2兆円ずつ毎年使えるでしょう? でも、利回りだけなら数千億円ですよ。5%で回したって1年に5000億円しか使えない。

飯田)規模が変わってきますね。

高橋)全然違います。

飯田)でも、なぜ元本に手をつけないのでしょうか。使いづらいのですか?

高橋)途中でそうなってしまったのだけれど、私も経緯がよくわかりません。

飯田)そういう規約にしてしまったのでしょうか?

高橋)あるときに「何か違うな」と思ったら、そうなっていました。

残っているのは利回りだけを使う基金ばかり

飯田)それだけ資金があれば、いろいろなところに集中投資できるかも知れないですよね。宇宙もそうですけれど。

高橋)使い切りにした方がすっきりします。使い切りにしたところで、財政的には影響がありませんから。

飯田)予算的には、基金に予算を入れた時点で執行済みという形になるのですか? 「あとは基金の方で差配してください」という感じで。

高橋)本当は、最初から使い切ることを前提に組めば、何年かしたらもう1回、国債を発行して、また基金をつくるだけなのですが。国債を発行して基金をつくる形にしなかったということですかね。安倍元総理も「なぜこうなったの?」という感じで、怪訝そうにしていましたよ。

飯田)そうだったのですね。もともと「単年度予算では長期投資ができないけれど、基金でやればもっと柔軟にできる」という発想だったはずですよね?

高橋)基金でやるとき、「使い切るか、基金を残して利回り分だけでやるか」ということで大きく違うのですよ。

飯田)いま、いろいろな基金ができていますが、利回りだけで進めているところが多いのですか?

高橋)そればかりです。使い切った方が、例えば5年で使い切ると、コストパフォーマンスを計算できるのですよ。「このようにやって、こういう成果があった」とできればいいのに、そうなっていないですね。

飯田)手仕舞いすると「誰がよくて、誰が悪かった」ということがわかってしまうからですか?

高橋)「それでいい」と思ったのですが、意外とそうなっていません。

飯田)何だかもったいない話ばかりですね。

高橋)もったいないですね。

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