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4年ぶりの通常開催となった京王百貨店新宿店の駅弁大会! “令和流”の駅弁大会の楽しみ方とは?

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年1月17日 11時55分

4年ぶりの通常開催となった京王百貨店新宿店の駅弁大会! “令和流”の駅弁大会の楽しみ方とは?

【ライター望月の駅弁膝栗毛】
「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。

「一年の計は京王にあり」。駅弁業界でしばしば語られる言葉です。“京王”とは、京王百貨店新宿店で毎年1月に開催されている「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」のこと。京王百貨店新宿店の開店60周年を記念した今回の第59回大会は、6日から始まり、22日までの予定で開催されています。今回の見どころと令和流の駅弁大会の楽しみ方について、京王百貨店の方にお話を伺いました。

京王百貨店新宿店 横山和正バイヤー

京王百貨店新宿店 横山和正バイヤー

京王百貨店新宿店「第59回元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」見て歩き

東京・新宿と八王子の間を甲州街道に沿って結んでいる京王線。甲州街道は1964年の東京オリンピックでマラソンコースとなりました。その興奮冷めやらぬなか、地下化された始発の新宿駅の真上に京王百貨店新宿店がオープンしたのは、昭和39(1964)年11月のことでした。今年(2024年)は、オープンから60年の節目を迎えます。

京王5000系電車「京王ライナー」、京王線・国領~柴崎間

京王5000系電車「京王ライナー」、京王線・国領~柴崎間

毎年、新年の恒例催事となっている京王百貨店新宿店の「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」も、第59回となる今回は、「新宿店開店60周年記念」の冠が付いたメモリアルなイベントとなっています。さっそく、今回の見どころについて、バイヤーの横山和正さんにお話を伺いました。

横山和正(よこやま・かずまさ) 京王百貨店新宿店 バイヤー
昭和61(1986)年生まれ(37歳)。入社時から催事に携わり、酒や弁当・おせちのバイヤーをはじめ、さまざまなセクションを経験して、元祖有名駅弁と全国うまいもの大会の担当は4回目となる。

元祖有名駅弁と全国うまいもの大会のチラシ(前半の一部)

元祖有名駅弁と全国うまいもの大会のチラシ(前半の一部)

●対決より協調、4年ぶりの通常開催!

―今回の大会のチラシを拝見して従来から変わった印象を受けました。どんな変更点があるのでしょうか?

横山:今年(2024年)、京王百貨店新宿店は、昭和39(1964)年の開店から60周年を迎えます。これまでのお客様への感謝の気持ちと、これからのお客様への(弊社の)挑戦の気持ちを合わせて、「つなげよう、その先へ」をテーマとしました。加えて過去2回はコロナ禍で会場も分散しておりましたので、チラシの作りも変えていました。今回、4年ぶりの通常開催に当たって、駅弁のカタログのようにご覧いただけるようなチラシにいたしました。

―以前は「対決シリーズ」が1つの目玉でしたが、今回はずいぶん変わりましたね?

横山:対決シリーズは、数ある駅弁調製元の数社にしか、スポットが当てられないんです。コロナ禍で旅行に出かける方が少なくなった影響で全国の駅弁調整元は大きく疲弊されています。加えて、私自身も全国のお店を回って感じたのですが、駅弁業界は横のつながりが非常に強いんです。そこでみんなで駅弁を盛り上げていきたいという気持ちを企画として形にしました。

越前かにめし三昧

越前かにめし三昧

●60周年に合わせて、具が「60%」増量!

―今回の見どころの1つ、「贅沢盛り新作駅弁」を打ち出したのは、どうしてですか?

横山:お客様にとって何が最も嬉しいのかを考えたとき、いつものなじみのある駅弁の“少し豪華な形”がいいのかなと。それも、ご飯の上に載っているおかずが多いと喜ばれるお客様が多いのではないかということで、いつもより多く詰め込んだ上で、多くのお客様にお越しいただける駅弁大会ならではのスケールメリットを活かして、価格を抑えた弁当を作れないかと、各社様にご協力いただいてメイン企画としました。

―具材「60%増し」って、面白いですね!

横山:いつも食べている駅弁のおかずがたくさん載っていたら嬉しいなと思い、生まれたアイデアです。自分もコンビニエンスストアなどでも実施されている増量キャンペーンに魅かれて、調整元にご協力いただき、実現することができました。さすがに価格据え置きは難しかったんですけれど(笑)。会期の前半では、福井駅弁・番匠さん(越前かにめし三昧)のほか、旭川駅弁・旭川駅立売商会さん(ほたて華寿し)、草津駅弁・南洋軒さん(近江牛 極)にご協力いただきました。

日本縦断コラボ駅弁(北陸編、敦賀駅・焼き鯖すし、福井駅・越前かにめし、加賀温泉駅・小松しし肉弁当、新津駅・えんがわ押し寿司、会期前半で販売)

日本縦断コラボ駅弁(北陸編、敦賀駅・焼き鯖すし、福井駅・越前かにめし、加賀温泉駅・小松しし肉弁当、新津駅・えんがわ押し寿司、会期前半で販売)

●家族や仲間とシェアして楽しめる「日本縦断コラボ駅弁」!

―もう1つの目玉は、「日本縦断コラボ」ですが、これは駅弁屋さんの間の調整が、大変ではありませんでしたか?

横山:これは大変でした。スタッフと全国を回るなかで、各社様の弁当を一緒に食べられたら楽しいのではないかというアイデアが出てきました。(各社様が一堂に会した)百貨店の駅弁大会だからできる企画ということで、最初は6社一緒の弁当がいいと思ったのですが、さすがに厳しいということで、同じエリアの4社に落ち着いた格好です。各社様に企画の意図をご理解いただくのも大変でしたね。

―JRのエリアをまたいで設定された弁当もあって、楽しそうな“夢の企画”ですね!

横山:とくに(財布のひもを握っている)女性のお客様から、いろいろなお弁当を「ちょっとずつ食べたい」という声を聞いていました。コロナ禍で人と集まる機会も少なかったですが、今回は(家族や仲間同士で)シェアしていただくこともできるように、それぞれふたも付けた容器としています。各社様が持ち寄るため、初日はオペレーションで手間取りましたが、軌道に乗ってくれば、存分にお楽しみいただけると思います。

うずみいなり(丼、特製どんぶりでの販売は1日150食限定、売り切れ後は通常容器)

うずみいなり(丼、特製どんぶりでの販売は1日150食限定、売り切れ後は通常容器)

●駅弁が持つ「郷土の食文化」にも光を当てたい!

―さまざまな企画が目白押しの今回ですが、ぜひ「注目」して欲しい企画はありますか?

横山:恒例の「特製どんぶり企画」ですね。今回は、広島・糸崎の「浜吉」さんにご協力いただきました。「うずみいなり」という駅弁を丼にしたものです。最初は穴子の駅弁を考えていたのですが、(福山城築城400年記念に合わせて開発された駅弁で)福山の郷土料理として、具材を隠してお揚げを載せた駅弁を作られていると知って、郷土の食文化を大切にされているところに私も感銘を受けました。

―今回、初出店のお店はありますか?

横山:敦賀駅弁の「塩荘」さんです。敦賀は3月北陸新幹線が開業します。そこで初めて実演(越前若狭の味めぐり御膳)で(会期前半に)出店していただけることになりました。私も何度か敦賀に足を運びまして、ようやく出店にこぎつけることができました(ほかに北陸新幹線開業記念として加賀温泉駅「小松しし肉弁当」、福井駅「国産鯖と真鯛の漬け丼」も、会期前半で販売された)。

輸送駅弁コーナー

輸送駅弁コーナー

●駅弁大会のカギを握る「物流」!

―輸送駅弁を含めて、出店にこぎつけるのが大変だった駅弁業者はありますか?

横山:北海道・室蘭の「母恋めし本舗」さんですね。ご家族で経営されている喫茶店で、物流が非常に難しいということで、これまで難しかったんですが、何とかお届けすることができました。とくに空輸される駅弁については、交通事情による影響で、一部の到着が遅れたりして、非常に気をもみました。じつは“物流を制する者が駅弁大会を制する“という側面もあるんです。

―お越しになるお客様には、どんな形で楽しんでいただきたいですか?

横山:コロナ禍で駅弁の予約システムが充実しました。かつての駅弁大会は、混雑して並ぶという印象が強かったと思うんですが、いまはまず(必ず)欲しいお弁当はネットで予約するのが第一。そして、受け取り時間より少し早めにお越しになれば、売り場を見ていただきながら、気になった駅弁をお求めいただくこともできます。そしてご予約の駅弁と一緒にお持ち帰りいただいて、お家で全国の味を存分に味わっていただくのがお薦めです。

W7系新幹線電車「はくたか」、北陸新幹線・新高岡~金沢間

W7系新幹線電車「はくたか」、北陸新幹線・新高岡~金沢間

今年(2024年)3月16日に敦賀~金沢間が開業する北陸新幹線。その話題が盛り上がるなか、元日に能登半島地震が発生し、大きな被害が出ています。駅弁屋さんのなかには、能登の食材を使っている業者もあり、今後が大変気がかりです。すぐ足を運ぶのは難しいかも知れませんが、いまは北陸の駅弁をいただきながら、そして落ち着いてきたら、新しい新幹線と共に、積極的に北陸へ足を運んで、復興を応援したいものです。

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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