阪神・淡路大震災29年「ともに」……能登半島地震への想い【みんなの防災】
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年1月23日 17時20分
「報道部畑中デスクの独り言」(第355回)
ニッポン放送報道部畑中デスクのニュースコラム。今回は、阪神・淡路大震災、また能登半島地震への想いについて—
1995年1月17日、6434人が亡くなった阪神・淡路大震災……あれから29年となりました。毎年、被災地の神戸・東遊園地で開かれる「1.17のつどい」。その「希望の灯り」から分灯された火は東京に渡り、今年(2024年)も日比谷公園の小音楽堂で追悼行事が行われ、私も足を運びました。
「1.17」の形に並べられたキャンドルに灯が次々とともされます。そして、地震発生時刻から12時間後、午後5時46分に東京でも黙とうがささげられました。
「震災当時は2歳。お母さんが覆いかぶさってくれた。おじいちゃんとおばあちゃんが直後叫びながら家に来てくれた。ドアが開くかをチェックしてくれたことを覚えている」
こう話すのは、当時2歳で神戸に住んでいた女性。いまは役者の仕事をしています。「夢を持って活動できているのも、いろいろな人が神戸を支えてくれたから」と振り返りました。
東京・柴又出身の女性は当時、須磨区に住んでいました。「神戸は地震がないと言われていた。安心していた。それが突然の地震、どうなるのかと思った。あの光景はいまでも忘れられない」と声を詰まらせ、「これからも防災を考えながら生きていかなくてはいけないと思っている」と話しました。
一方、未経験の世代……震災後に生まれた人たちも集まりました。震災の記憶は次世代に受け継がれます。
「きょうが誕生日。生まれたのが震災から1年後。誕生日のたびにテレビで特集を見て、忘れてはいけないと思うようになった」と話す女性。「次の世代につなぐために能登半島の地震も含めて祈りをささげに来た」と、しっかりとした口調で話したのは小学6年生の女の子でした。
今年は「1.17」に加えて「ともに」の3文字が加わりました。参加者には、これまでの行事とは違う想いもあったようです。
「(震災が起きたのは)同じ1月だった。私らのときは雪がなかったが、ただでさえ不安で毎日眠れない夜を過ごしているのに、寒さと戦わなければならないのはどんなにつらいことだろう」
元日に起きた能登半島地震、被災地に寄り添う人も少なくありませんでした。
「1.17のつどい」を主催する藤本真一実行委員長は「能登半島地震のことを想われ、あわせて阪神・淡路大震災も忘れずというきっかけになったのがきょうだった」と今年の開催を振り返ります。2019年に始まった東京のつどいは、新型コロナウイルスの影響で2年間取りやめとなり、その後に再開。今年が4回目となりました。
今後必要なことは「続けること。続けていればまだまだ広がる可能性も残っている。どういう状況であれ、続けることが大事」と話しました。来年(2025年)は日比谷公園が再生整備のため、別の場所を探すということです。
阪神・淡路大震災は発生から来年で30年という節目を迎えます。ただ、節目というのはメディア・人が勝手に決めていること。震災の経験や教訓を引き継ぐことは節目にかかわらず、永遠の課題と言えます。そして、地震はこの「地震大国日本」のどこに起こってもおかしくない……その気持ちを新たにしました。(了)
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